「デッド・ガール」

デッドガール

2015年のアメリカ映画「デッド・ガール」。
2008年の映画「デッドガール」(日本では2013年に公開されたのかな?)は、私が大好きなゾンビ映画。ゾンビになった女の子を地下室に閉じ込めて、その女の子に性的なイタズラをしようとする男子たちの話なのですが、キワドイというよりも、際立っていく孤独が感じられて好きです。それと同タイトルなので、若干混乱します。

ただ、原題が「SOME KIND OF HATE」=いくつかの憎悪ってタイトルらしいですね。なぜ「デッド・ガール」?

たしかに幽霊の少女が出てきますが、復讐のためにいろんな人を殺していきます。問題児を集めるキャンプで繰り広げられる殺人劇、そして孤独な主人公が選んだ最後の手段は?

面白いかは個人の判断にまかせますけど……。

ネタバレ

いじめられっ子の主人公・リンカーン。家庭環境にも問題があり、いじめも受けているが、それ以上にキレやすい性格をしており、いじめっこを逆にボコボコにしてしまう。

彼は「心の目アカデミー」という、問題児を集めたキャンプにブチこまれるリンカーン。同室のデブ(高校のパソコンをポルノ汚染したというサイバー系問題児)・アイザックと仲良くなるが、施設でも浮いてしまう。

だが、彼はかわいい女の子・ケイトリンと仲良くなる。リンカーンをいじめる男子もいるが、彼は突然、教室に倒れていた血まみれの女の子に殺されてしまう。
彼はカミソリをにぎったまま、発見される。「卑怯者」というメッセージがそこにはあった。

殺人犯の女の子=自殺した少女、モイラだった。リンカーンに話しかけてくる少女。彼女はカミソリのネックレスをしている(見ているだけで痛いけど、この子はリストカットの常習犯みたいですね)。一方、殺人はリンカーンのせいではないかと皆は疑っている。

いじめっ子の仲間がまた死んだ。幽霊の少女が自分の体を傷付けると、それを見ている人間も連動して体が傷付いてしまうのだ。彼は首を切って死ぬ。
主人公が恨んでいた人物が死んでいく。「あなたが頼んだのよ モイラ」というメッセージも残されている。

ケイトリンは、モイラの行動を肯定して、復讐すべきだと言い出す。だが、リンカーンはモイラの行動に耐えられない。リンカーンとケイトリンは喧嘩になる。
ケイトリンは、モイラとシンクロしていく。

施設には警察官もやってくるが、ホラー映画らしくアホな感じで、やっぱり殺される。

施設の大人たちもどんどん死んでいく。なぜか土を食わされる男もいる(そういういじめがあったのかもしれないけど、突然すぎてシュールです。「土食え」って)。操られるまま、温室を突き破り、首を掻っ切る男。
ケイトリンの友達も死にそうになるが、ケイトリンは自分の友達は殺したくないとごね、モイラを怒らせる。

いじめの主犯は、スタッフのクリスティーンだった。
モイラの頭を撃ちぬいたら、クリスティーンにそれが連鎖し、頭が吹き飛んでしまう。

地下室で、モイラとリンカーンは対決する。
自分で腕を折るモイラだが、それはケイトリンに跳ね返る。だが、主人公が自分を傷つけると、それはモイラに跳ね返っていく。
それを利用して、リンカーンはガソリンをかぶって自殺する。号泣するケイトリン。モイラの死体らしきものをボコボコにする。

感想

という、よくわからないところで終わるんだよなあこの映画。
低予算映画なのか、全体的に「安い」感じ。ロケ場所とか、演技とか、映像の質感だけで安いのがわかってしまう。安くてもいいのですが、この映画のタイプとはあまり合っていないかな。
「プロム」「ハロウィン」系のイベントホラー映画のように、アホみたいな若者たちがアホみたいなトリックで殺されてしまう、というおバカ映画、もしくはちょっとシリアスサイコ映画を期待していただけに、「幽霊の少女の自傷が、人間に連鎖して死ぬ」というアイデア1本勝負の映画だとわかってちょっと物足りなかった。
いや、ユニークなアイデアではあるのですが。あと、登場人物の誰も魅力的じゃない(感情移入できないというか、誰もかわいそうとも何とも思わない)というのが悲しいですね。