「ストレイン」シーズン2・第1話のネタバレ

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登場人物

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エフ:エフラム・グッドウェザー博士。CDCのカナリアプロジェクトリーダー。前シーズンで上司に逆らったため、指名手配犯となる。プライベートでは離婚調停中で息子の親権を奪い合っていたが、現在は不倫していたノーラと行動を共にしている。元アル中。現在は酒をまた飲み始めてしまった。元嫁・ケリーがヴァンパイア化したため、息子を守ろうと躍起になっている。

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ザック:エフの息子。事実を理解しつつも、変成した母が元に戻るかもしれない(本質は変わっていないのではないか)と信じており、父と対立。他の人物とは距離をとっているが、ノーラに心を許す瞬間も。なお、前シーズンから子役が変更になったため、今シーズンからのキャストである。

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エイブラハム:エイブラハム・セトラキアン。ユダヤ人であり、強制収容所を経て生還。ナチス軍人だったアイヒホルストとはこのころ知り合っている。その後ヴァンパイアハンターとなるが、妻を殺したマスターを追い続けている。今シーズンではマスターの弱点が記されているらしい「オクシド・ルーメン」を追う。また、パーマーとの知られざる関係やその年齢も今シーズンで明らかになる。

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ノーラ:エフの部下で、有能な科学者。前シーズンで母を失った。エフを支えながらもザックにも配慮する優しい性格である。今シーズンで、エフとの不倫関係は彼がケリーに離婚を切り出された日に始まったことが描かれている。

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ヴァシーリ:ヴァシーリ・フェット。市の害虫駆除課に勤めていた。ネズミ駆除のプロであり、下水道やトンネルにも詳しい。建築家の父の影響で、古い建物にも詳しい。だが、父の望む進路に進まなかったため、両親とはうまくいっていない(なお、父は前シーズンで登場したが今シーズンで登場しない)。皮肉屋だが腕っぷしが強く、爆弾を自作することもできる。武器は鉄筋。ダッチと恋愛関係になるが……。

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ダッチ:ダッチ・ヴェルダース。前シーズン、パーマーに雇われてネットを不通にさせた張本人。ハッキング以外にも、サイバーセキュリティに詳しい。バイセクシャルであり、今シーズンでヴァシーリと恋に落ちるが、元カノの登場で三角関係になり……。

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アイヒホルスト:トーマス・アイヒホルスト。元ナチス軍人。今シーズンでは、ナチスドイツに入る前のうだつのあがらない姿も描かれる。マスターに忠実だが、苦汁をなめる立場になることもしばしば。パーマーとは折り合いが悪く、エイブラハムとは犬猿の仲。エイブラハムを変成させ、世界の終わりを見せたいと願っている。

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パーマー:エルドリッチ・パーマー。世界屈指の金持ち、ストーンハート財団を率いている。生まれつき体が弱く、ずっと車イスで生活していた。前シーズンでマスターの体液(白い血液)を与えられたが、仲間には迎えられていない。彼は自身をマスターのパートナーだと主張しているが、マスターたちはそう思っていない。前シーズンでずっと彼の執事を務めてきたフィッツウィリアムが去り、今シーズンで新しい専属秘書を迎える。そして、生まれて初めての恋を体験する。

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ケリー:エフの別れた妻。ザックを追い求め、彼らを探し続ける。マスターに与えられた“感知者”(夜の子どもたちとも評される)を使い、執拗にザックを追う。なお、マスターに知能や感情を戻されたため、やや人間らしい面が残っている。ストリゴイになったせいで薄毛になる。

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ボリバル:前シーズンで飛行機事故を経験して、変成したヴァンパイア。アイヒホルストと同じく、マスターのしもべとして選ばれる。そのため、他のストリゴイとは異なり、過去の記憶や今まで通りの知能を持っている。決してハンサム学園ではない。

【その他の登場人物】

ガス:前シーズンでマスターと敵対するストリゴイにスカウトされたチンピラ。母や親友が変成してしまい、その復讐に燃える。

ヴァーン:ガスをスカウトしたストリゴイ。戦闘能力が高い。

長老:マスターと敵対する高齢ヴァンパイアたち。捕食の時以外はほとんど動かない。自分たちが勝利するため、ガスを仲間に引き入れ、さらに今シーズンではエイブラハムとも取引をする。

感知者:今シーズンから登場。アイヒホルストが聾学校の子どもたちを誘拐して作り出したストリゴイ。目が見えないが、その分嗅覚などに優れ、動きもすばしっこい。

ニッキー:ダッチの女友達であり、実は恋人でもある。死んだと思われたが生きており、ダッチの心をかき乱す。なお、彼女の母も生きているが、ダッチをひどく嫌っている。

フェラルド議員:今シーズンから登場。ストリゴイと正面から戦うことを選んだ女性議員。やり手である。だが、パーマーとも接触して……。

フランク:今シーズンから登場。議員の腹心。非常に有能な警官である。

市長:金持ちの市民を優先して救おうとして、フェラルド議員としばしば対立する。

フィッツウィリアム:前シーズンでパーマーのもとを離れ、兄のもとに身を寄せる。エイブラハムから助けを求められ、それに応じる。

エンジェル:今シーズンから登場。ガスがたまたま入ったタンドーリのお店で働く店員。元プロレスラーだが、膝を怪我して引退した。ガスは彼の大ファンだった。

アーニャ:美人の女の子。医大を目指して勉強している。エンジェルは彼女の両親の店で働いている。ガスと恋仲になる。

ロブ:今シーズンから登場。ワシントン在住であり、エフの友人である。対ストリゴイの薬を作るために、エフは彼に協力を求める。

リー:今シーズンから登場。ロブから紹介された製薬会社の女性。エフは彼女とワンナイトラブを楽しむが……。

バーンズ:エフと仲の悪い上司。現在は出世しており、パーマーの傀儡と化している。

ココ:ココ・マルシャン。今シーズンから登場。パーマーに秘書として引き抜かれ、彼のもとで働く。パーマーと恋をするが、秘密の多い彼に嫌気がさし、彼のもとを去る。

クインラン:今シーズンから登場。マスターを憎んでおり、エイブラハムよりさらに前から彼を追っているストリゴイ。非常に強い戦士であり、ヴァーンを仕込んだのも彼である。

枢機卿:今シーズンから登場。「オクシド・ルーメン」の仲介者となるが、金に汚い。

ラドヤード:今シーズンから登場。かつて、エイブラハムがストリゴイに襲われている修道院で助け出した少年。彼が「オクシド・ルーメン」の鍵となる……??

ヘルガ:今シーズンから登場。アイヒホルストがかつて愛した女性。彼女がユダヤ人だったことで、恋は悲しい結末を迎える。

ジム:前シーズンで死亡した、エフとノーラの同僚。3人はかたい友情で結ばれていた。優しくて責任感が強いが、過去にマスターに利用されてしまった。今シーズンでは回想シーンに登場する。

第1話「ブルックリン」(BK,NY)

1932年、ルーマニア。

少年時代のエイブラハムが祖母と夕飯を食べている。お話をねだるエイブラハム。スープを飲み終わるまで、「サルデュー」の話を聞きたがる。彼が何度もねだっている話だ。

昔、貴族がいた。名前はユセフ・サルデュー。巨大な体を持ち、持病のせいで体全体が痛み、杖がなければ歩けなかった。その杖の中には、仕込みの刃が入っていた。刃はもちろん銀。自分の病気を知り、彼は周囲の人間、とりわけ子供に優しかった。しかし、男爵だったユセフの兄は彼を恥じていた。兄は従妹と弟と共に狩りに出た。タイリクオオカミの血が、弟を癒やすと信じていたからだ。彼らは延々と歩き続けた。だが、森にいたのはオオカミとは違う何かだった。やがてその何かは、一行を襲い始めた。狩りの仲間は1人ずつ姿を消し、気が付けば生き残ったのはユセフ一人だけになってしまった。ユセフは確信した。仲間の死と、彼らを殺した者へ復讐しなければならないと。そしてついに彼はそれを見つけた。オオカミとは似ても似つかない何か。ユセフが踏み込んだ洞窟には、顔を噛みちぎられた男たちの死体がたくさん落ちていた。その顔を食べていたのは、「いにしえの飢えた生き物」だった。そしてそれはサルデューを見て微笑んだ。彼はユセフに話しかけ、挑発した。「私より素早いつもりなのか?」ユセフの喉元に噛みついたそれは、彼の口の中に寄生虫を土ごと詰め込み、「恵みとしてこれを授けよう」と、口の中に大量に寄生虫を吐き戻した。苦しんでいたユセフ・サルデューは、目を開けた瞬間ストリゴイになっていた。マスターの古い体は抜け殻のように倒れていた。
ユセフはこっそりと城に戻り、夜以外は出てくることがなかった。性格もすっかり変わってしまった。しばらくして、村の子どもたちが次々姿を消した。夜中に寝床から姿を消してしまうのだ。ユセフはその後、姿を見せなくなったが、杖を突く音だけは夜、村に木霊していたという……

「悪魔は、この世に潜んでいるんだ。いろんな姿でね」
スープを飲みながらも目を丸くしているエイブラハムに、祖母は警告する。
「親しげなもの、そうでないもの。食い止めなきゃいけない。皆で必ず」

現代。
マンハッタン トライベッカ ヴェストリーストリート
そこに立つエイブラハム。
(シーズン1で彼らがマスターと戦ったビルです)
エイブラハムはそのビルを見つめ、太陽光の下を逃げていったマスターのことを苦々しく思い出す。そして彼はマスターの足取りを探ろうと、地下に伸びる梯子を下りていく。

ビルのボイラー室などを通り抜けながら、聞こえてくる物音のほうへと足を進めるエイブラハム。
「姿を見せろ」
「ここにいる」
ストリゴイがそこに立っている。(シーズン1で人間たちを助けていた&ガスを雇った男。マスターとは敵対派閥に所属するストリゴイ)
「やつはどこだ」
「私も同じ男を探している」
気が付けばエイブラハムは彼らの手下に囲まれており、戦いが始まる。武器を奪われたエイブラハム。
「何者だ」
「私はヴァーンだ」
ヴァーンと名乗ったストリゴイは、エイブラハムの顔に袋をかぶせる。

俯瞰でニューヨークの街並みが映る。パトカーのサイレンが鳴り響く街。ところどころ煙も上がる。

ブルックリン レッドフック リチャーズストリート
屋上で作業をしているヴァシリーのもとを、エフは訪れる。エイブラハムの「太陽の光でマスターは死ぬ」という言葉を信じて行動したのに、それが嘘だったことを苛立っているエフ。だが、ヴァシリーはエイブラハムのことをかばう。
「間違いは誰にでもある。ヴァンパイアハンターでも、“医者”でもな」
(エフだって間違いを犯すことはあるだろうと皮肉っている)
「じゃあまだ彼の仲間か?街中のトンネルを彼の後ろをついて歩いていくのか?」
「ああ、だが俺にもプランがある」
「どんな?」
ヴァシリーのプランは守りを固めるというもの。まずは自宅、そして隣室、その範囲を広げていく。実践は向かないと自負するエフ。じゃあどうするんだ?と尋ねるヴァシリー。
「僕はヴァンパイアハンターとしては使い物にならない、医者に戻るよ」
ヴァシリーはその肩を笑いながら叩く。

エフは部屋に戻り、ノーラに声をかける。エフの息子のザックはまだ眠っている。ダッチも室内で何かの研究ているようだ。ザックの面倒を頼まれたダッチは、吸血鬼対策と子守りをいっぺんに押し付けるなんてと皮肉る(前シーズンで、エフは知らないとはいえパーマーの悪事に加担したダッチを仲間から追い出したことがある)。
「アンタはまじで自分本位」
「そうかな」
それに大いに同意するノーラに、エフは観念してダッチに改めて頭を下げる。にっこりしてザックの面倒を見ると約束するダッチ。

一方、顔が崩れたマスター(日光を浴びたせいか?)がアイヒホルストを呼びつけている。
「この肉体は、滅びかけている。ユダヤ人にやられたのだ」
「私にできることは?」
「準備をせよ、復讐と‐ わが血の継承のために。まはボリバルに土を準備させろ。そして 子供たちを連れてこい」
マスターの姿を見つめているアイヒホルスト。

エイブラハムはどこかに拉致されている。ヴァーンという男に連れてこられた場所には、ガスもいる。ガスは「こいつ知ってるぞ」と笑う。エイブラハムの杖をいじるガス。
彼らはお互いの名前や立場(前シーズンでガスの兄は、エイブラハムの質屋から時計を盗んだことがあり、それをガスが返しに行ったというエピソードがあった)を確認して、また別の場所へ歩き出す。

エイブラハムが連れてこられたのは、長老たちの前だ。
「長老たちは実在したのか」
「今は眠っているが、全てを聞き理解している。話は私がする。お前は7番目の長老について何を知っている」
「7番目?」
「お前がマスターと呼ぶものだ。ケガを負わせたな」
「なぜ知っている?」
「7人は同じ思考を共有している。だが、7番目は思考を混乱させるパワーを持っている。お前と戦っている時にパワーが弱まり、皆が状況を読み取れた」
「じゃあ、今のあいつはもう思考を読ませないほどに回復したのか」
何も答えないヴァーン。
「何が望みだ」
長老とヴァーンたちは、エイブラハムたちと同盟を結びたいという。エイブラハムはどうやって彼らが自分たちに力を貸すのか尋ねるが、ヴァーンはそれは反対だという。エイブラハムが彼らに力を貸すのだ。
長老たちがマスターを完全に殺せる方法を知っているのか?と尋ねるエイブラハムだが、彼らはそれについて答えないだろう(マスターを殺す方法=長老たちを殺す方法でもある)と笑うヴァーン。知識ではなく、ハンティングのために必要な財源をエイブラハムに与えるから、それでマスターを狩れというのだ。

エイブラハムは「オクシド・ルーメン」という狩りについて書かれた本について話題にする。「実在する証拠を握っている」というエイブラハムの言葉に、激しく反応する長老たち。彼らは、ヴァーン曰く「お前を活かしておくかどうか考えている」。
ここでエイブラハムは「命尽きるまでマスターと戦う」意志を明らかにする。ヴァーンはエイブラハムを生かしておくことを約束するが、マスターを見つけたら必ずヴァーンたちに知らせろと命令する。とても断られる雰囲気ではなく、エイブラハムはそれを受け入れる。

長老たちはビクビクと体を動かす。長老が目覚める前に、ここから出ていった方がいいというヴァーン。鎖につながれた裸の男がひっぱられてきて、長老の目の前に拘束される。喚いている男のまわりを踊るようにまわりながら、3人の長老は彼の血を吸う。
「太陽のもとを歩く時も、決して忘れるな。この光景を」
エイブラハムはガスに囁く。ひきつっているガス。

ブルックリン キャロルガーデンズ スミスストリート
エフとノーラは、建物の中に入っていく。病理学ラボの中には、誰もいない。荒らされてもいない。同僚のエリオットという男について噂をする彼らだが、「もう街を出ているだろう」というエフ。薬を持ち帰らず、ラボで研究を進めようという彼らだが、その瞬間にストリゴイが出てくる!変わり果てた姿になったエリオットにとどめをさすノーラ。

ブロンクス スロッグスネック イーストトレモント街
パーマーとアイヒホルストが廃墟のようなビルの中を歩いている。
「彼はどこだ?」
「すぐ近くだ。常に近くにいる」
もったいぶったアイヒホルストの言い回しに飽き飽きしているパーマー。
「マスターは、どこに、いるんだ?」
その言い方に、「マスターの血のせいで大胆になっているのかもしれないが、大胆になりすぎるのも考えものだ」と牽制するアイヒホルスト。だが、パーマーはアイヒホルストは友人ではないし、意見など求めていないとつっぱねる。
彼はアイヒホルストに「指図するな」と言い、「私はマスターのパートナーだ」という。だがパーマーに、「マスターはその言葉に興味を持つでしょうな」とアイヒホルストは返す。カチンときたパーマーはアイヒホルストの怪我(前シーズンの戦いでエイブラハムたちにつけられたもの)を見つけ「誰かに襲われたのかな?」といじる。それを聞き、明らかにイライラしだすアイヒホルスト。お互いにマウンティングを繰り返す2人。
「あなたも来たるべきものを知っていさえすれば」
「それはどういう意味だ?」
そこに、女性が現れる。パーカーという男(不動産屋)の部下のマルシャンだと名乗るが、パーカーは家族のゴタゴタで姿を現さないらしい。彼らは不動産の契約でここに集まったのだ。元は洗剤工場だったというビルで「大量の液体を流せるか」ということを気にするアイヒホルスト。パーマーも改築が大丈夫なのかを確認している。マルシャンに盛んに話しかけるパーマー。野球好きでレッドソックスのファンの彼女に話しかけるパーマーに、アイヒホルストはイライラする。
パーマーは不動産の契約書にサインをして、ご機嫌で彼女を送り出す。

エフとノーラは2つの案に直面している。「ワクチンを開発して、感染を止める」「治療法を見つける」。エフは酒を飲みながら「バハマに行くのは?」とからかう。
エフはワクチンの可能性について語る。変成前に宿主を殺してしまうので、死んだ人間からはワクチンは作れない。ワクチンを運ぶのには血液が必要だが、それも彼らに吸われてしまう。ノーラは寄生虫を殺す薬が作れないかと提案するが、血を吸われるのは止められない。ノーラはストリゴイが変成していく途中で、数時間でオリジナルの臓器を作り上げる仕組みを解明すべきだと主張。エフはどうでも良さそうに酒を飲み続ける。しかもウォッカを!ノーラは呆れている。
「君だって、飲んでる僕が好きだろう?」
「じゃあなんて言い訳するのよ」
と、裏からヴァシリーとダッチが現れる。夜の街に、ヴァシリーは出ようとしている。戻ってこないエイブラハムを探しに行くのだ。ダッチは彼を止めようとするが、そこにタイミングよくエイブラハムが帰還する。エイブラハムは何も話さない。「わしのことは気にするな」「わしは死んでない、ヴァンパイアでもない」

ヴァシリーはエイブラハムの後を追う。食欲がない彼に食事を差し入れようとするヴァシリー。彼なりの優しさだろうか。エイブラハムは今日見た光景に打ちのめされていて、呆然としている。やはりエイブラハムはヴァシリーにも語らない。
しかし、エイブラハムは隠し倉庫にある備品を取りに行くことを指示する。ヴァシリーは彼のいつもの調子が戻ってきたとにんまりする。ヴァシリーはエイブラハムがマスターに傷を負わせたことを挙げ、「しくじったなんて思うな」と励ます。しかし、老人は疲れ切ってしまっていて、目を閉じている。

マンハッタン セントルシア盲学校
恐ろしい“感染”が起きている最中なのに、ここでは授業が行われている。教師も生徒も、盲人のようだ。そこに別の教師がやってきて、学校を街の外に移すことに決めたと言う。街の外には出られないように検問が敷かれているが、“ストーンハート財団のはからいで”彼らは外に出られるのだ。生徒たちは準備を始める。

ザックは投げナイフの練習をしている。やや反抗的なザックに話し合おうと持ちかけるエフ。「現実を受け入れないと」という言葉に、父をにらむ息子。
「ママは死んだ」
「ママは死んでない、あそこにいたのに。パパが脅かしてママを追い払ったんだ」
「あれはママじゃない」
「ママは病気だ、パパがそう言ったんだ」
ザックは、ママがストリゴイになったことを認められない。彼は走り去ってしまう。

ザックは作業中のダッチのところに行き、横にある酒に手を伸ばす。
「1人だけ(での飲酒)は相手がいないダンスと同じだ」
「それじゃあ、サバイバルに」
「勝利にさ」
乾杯する2人。ふと、エフはダッチの作業に疑問を投げかける。ダッチは何をしているのか明かさない。エフは「自分本位」という単語をわざと辞書で調べる。お互いをからかいあう2人。
「芸術はなかなか広まらない、悪事は感染しやすい」というダッチの言葉にはっとするエフ。「変なやつ」とダッチはつぶやく。

深夜。子供たちを乗せたバスが目的地に到着した。その前には、アイヒホルストが立っている。盲人の教師は「橋を渡る音がしなかった」と心配そうにしているが、バスから次々生徒を下ろす。子供たちの目が生まれつき見えないのかを問いただすアイヒホルスト。そうではない子もいると教師はいいながら「ここが新しい学校ですか?」と尋ねる。

「皆さんの旅はたしかにここで終わりだ、でも冒険は始まったばかりなのだ」

エフは、ノーラのだした2つの案を却下する。その代わり、伝染病を食い止めるために伝染病を起こしたらどうか、と言い出す。つまり感染者への感染を起こし、連鎖を断ち切るのだ。ストリゴイの脳幹を刺激する何か?を作り出すのだ。効果が早すぎても、遅すぎてもダメだとノーラとエフは熱く議論する。そこにエイブラハムが現れ、彼らに協力を求める。

マンハッタン 西57丁目156番地 ストーンハート・グループ
パーマーがスピーチを行っている。マスコミが殺到しており、彼の多額の寄付を称賛している。そこに不動産業者のマルシャンが現れ、売買が成立したと報告する。そして彼のことを「この街にとって英雄」だとほめそやす。そこで、パーマーは彼女を秘書として引き抜く。最初は困る彼女だが、パーマーの押しに負けてしまう。

ダッチは外出から戻ってくる。食べ物を盗んできた彼女を見咎めるザック。だが、あっけらかんとしたダッチに、ザックも思わず笑顔になる。ダッチは好物のラーメンを盗んできたといい、ザックにはペプシを渡す。「ぬるい」と言い、ザックはふと落ち込む。不安そうに窓の鉄格子を触るザックは「これで塞げるの?」というが、ダッチは「あったりまえじゃん」と笑う。

ストリゴイたちが床に転がって眠っている。そこにアイヒホルストが現れ、その中にいたケリーに呼びかける。寝ていたケリーは立ち上がり、呻く。アイヒホルストは、マスターがケリーに思考力と声を返すと話しかける。ケリーが幸運だと強調するアイヒホルスト。
「お前は選ばれしものだ」
「……ザック……」
「ほらな、声が戻った。これが始まりだ」
ケリーの目が赤く輝いている。アイヒホルストに促されるまま、ケリーは歩き出す。

トランクルームの中に荷物を預けていたエイブラハム。だが、番号を忘れてしまっている。ヴァシリーにノーラ、エフも彼に付き合っている。鍵がない(質屋においてきた)ため、鍵を切るしかない。最初に開いたトランクルームは外れだ。だが、何かの気配を察知した彼らはそっと鍵のないトランクルームの扉を開ける!そこにいたのはストリゴイ!ではなく、老夫婦だった。彼らはここに隠れていたのだ。
ノーラは彼らから話を聞いている。
エイブラハムはようやく自分の倉庫を探し出す。そこには武器はもちろん、初出の「銀の手りゅう弾」もある。また、エイブラハムの研究ノートも隠されていた。

ノーラは老夫婦に一緒にくるように説得しているが、彼らは拒否する。エフもそこに合流するが、電気のブレーカーが落ちてしまう。電気を元通りつけるも、やはりストリゴイが現れて彼らを襲う!銀の弾でノーラは彼らを次々撃ち抜く。別の場所にいたヴァシリーもストリゴイに遭遇するが、エイブラハムと切り抜ける。また電気が消えてしまう。銃撃戦の瞬きだけがストリゴイを照らし出す。彼らは逃げるしかない。
エフたちに導かれてトラックに乗ろうとした老夫婦は、ストリゴイに噛まれて感染する!感染した夫婦を殺そうとするヴァシリーだが、エフはそれを止める。
「必要だ」
彼は何かを考えているようだ。

アイヒホルストは、ケリーの手を取って歩み続ける。彼は何度も、いかにケリーが恵まれているかを説く。マスターのために働く彼女に、偉大なるマスターの手によって「新たな家族の恵み」を授けられたというアイヒホルスト。
「夜の子どもたちだ」
それは見えるもの以外の事象も感知する“感知者”たち。土の中から、子どもたちが次々と這い出して来る。彼らは盲学校の子どもたちだろう。真っ黒な目を持つ子供たちに、ケリーは操るように手を掲げる。彼女は微笑んでいるようにも見える。

※写真の出典はFOXのHP