「タイムシャッフル」

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予告編を見てレンタルしてみた映画「タイムシャッフル」。2014年のアメリカ映画です。全体を通して、脚本は非常にユニークで面白いと思う。ただ、タイムループとかタイムシャッフルもの(意味同じか?)って、ややストーリーが難解になるからでしょうか。この飲み込みにくさ。すごくよく噛まないと、喉を通りません。

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あらすじ

24時間先の未来を撮影できるカメラの存在を知った三人の男女。
彼らは、その力を何に使うのか。

登場人物

フィン 売れない画家
ジャスパー フィンの親友であり、居候
キャリー フィンの彼女

ネタバレ

売れない画家をしていてスランプのフィン。
その日暮らしのような生活をするジャスパー。
堅実なキャリー。
この3人は共同生活をしています。

ある日、部屋を貸している老紳士・ベゼリデスさんが死んでいるのをフィンが発見。
彼の部屋には大量の写真が貼られており、そして彼らの家の居間に向けて大きな機械が備え付けられています。
それこそ、未来を撮影できるカメラ。
ベゼリデス氏は未来が撮影できるカメラを作ったようですが、そのせいで死んでしまったのか?

既定の時間にプリントアウトされて機械から出てくる写真。写真と同じことが起こる現実。

なお、じいさんはコゲコゲになって死んでいますが、服はそのままです。これはなぜ?
主人公たちは「これは、写真の通りにしないと燃えて死んでしまうから」と推測。写真の通りに行動することにします。そして、じいさんの死体を隠蔽することになります。

ジャスパーは、ギャンブルの結果を窓に張り、写真にうつりこませるようにします。
つまり、昨日の自分に見せるためにそれを掲示しているのです。
そのせいで、ジャスパーは大金持ちになります。

そして写真に書かれた絵を描くことでスランプから脱出するフィン。写真の通りにしているのか、それともスランプから脱したい一心なのか?

ですが、一方でトラブルも。キャリーとジャスパーがキスをしている写真が出てきてしまったので、フィンは耐えて彼らにキスをさせます。
さらに、賭けの胴元である男・アイヴァンがバカづきのジャスパーを怪しみ出します。このアイヴァンに写真のことがバレてしまい、毎日未来写真を取り上げられてしまうジャスパー。

また、フィンがキャリーのヌードデッサンを描いていて、それをジャスパーが覗いている写真も。胸糞悪いながらも、最近あまり会話がなかったフィンとキャリーは、愛が復活し始めます。ヌードデッサンでトキメキが戻ったというわけ。なんなんだこの展開。

胴元にピンハネされるジャスパー。しかし、警官になった友人(元警備員)が遊びに来ているところを、アイヴァンの部下が目撃しちゃいます。
そして彼らに「てめぇ警察にいったな!」と怒鳴りこまれます。拷問として、おろし金に手をつっこまされそうになるキャリー。しかしフィンの機転で「お前の部下がお前を殺そうとしていたのが、写真に写っていたぞ!」と言ってアイヴァンに部下を殺させ、さらにはアイヴァンの隙をついて彼をも殺してしまいます。

これで心おきなく大金を手に入れることができてご満悦のジャスパー。
しかし、そこに博士を名乗る女性が尋ねてきます。この女性はじいさんの研究のすべてを知っており、
「未来を変えても、人は燃えない」(じいさんの炎上の理由はそのせいではない)
「写真を撮れるのは、明日だけじゃない」
などということがわかります。

しかし、この女性をさっさと始末してしまうジャスパー。そしてなぜか、それをかばうキャリーであります。

そして新しく出てきた写真。フィンがうたたねをしている横で、キャリーとジャスパーがセック○をしている写真です。ショックを受ける面々。
出ていこうとするフィンを監禁するジャスパーですが、「彼女を好きになったから、俺は別にやってもいい」「フィンにはあと1日だけは生きていてもらう」と囁きます。

しかしフィンは脱走。機械を壊そうとします。その代わり、キャリーを人質に取るジャスパー。
ややジャスパーが不利ですが、彼は銃を捨てたふりをして、隠しておいた武器でフィンをなぐり殺そうと画策します。

フィンはキャリーにプロポーズの指輪を渡そうとします。ジャスパーをかばっていたキャリーですが、彼に殺されそうになって初めて目が覚めた様子。
なんと、結局ジャスパーを殺したのはキャリーだったのです!

しかし、なんだか違和感があるフィン。彼女の行動に違和感を覚え、確かめると……。

なんと黒幕はキャリーだったのであります。
彼女は実はジャスパーと浮気しており、それを隠したかった。過去に撮影された(じいさんの部屋に資料として残されていた)浮気写真と、未来の写真を混ぜてフィンに渡し、それをごまかしていたのだ。「酔っていただけ」「気付いてほしかった」というキャリー。「ジャスパーに立ち向かってくれたアナタ、素敵だったわ。だからうまくいったのネ」みたいな浮気女のクサレ常套句みたいなのを並べまくるのでありますが、ジャスパーがお金が欲しくて写真に固執・フィンが絵を諦めたくなくてそれを黙認していたように、キャリーもまた写真に固執する理由があったんですね。
※なんか、キャリーの意見にピンと来なかったのでこの理論であっているか自信がない

実は写真を撮影するタイミングは1日1回ではなく2回あり、1回はジャスパーとフィンが監視していたものの、もう1回分の撮影はキャリーしか知らない。だから、写真を撮影する時にその都度、昨日の自分へ警告の文句を窓に貼り付け、事なきを得てきた彼女。
(「その行動はしないで」と未来からメッセージを送っていた)
今回も、そうやって現実を修正しようとします。

機械を壊そうとするフィン。過去を修正し続れば、なんとかなると信じているキャリー。
彼女はフィンを殺して、メッセージを窓に貼り付け、昨日の自分に全てを防ぐように指示を出します。
しかしそこにやってきた、新人警官の友人。彼は家の中に入り、何が起こったのかを知ります。そして連行されるキャリーですが、「この現実は修正してもらえる」「フィンは生き返るから」と余裕しゃくしゃく。しかし、その瞬間、メモがぺらりと下に剥がれ落ちてしまいます。それを止めようとするも、連行中だからどうにもできないキャリー。
大暴れする彼女は過去を変えられなかった。自らの愚かしい行為のせいで。

という、見事なバッドエンドであります。他にもいろいろ伏線はあるのですが、説明が難しいから軽く書いちゃいました。

しかし、もう少し試行錯誤したりするのかと思いきや、そんなことはなかった。3人芝居に近いニュアンスの映画でしたが、脚本の面白さが光る。
どうでもいいけど、じいさんが何で死んでたんだかなんとなく補足。
フィンが絵の中に薬品(というか、部品?)の絵を描いていて、それをじいさんが「写真の絵の中にあるから、薬品のせいで何か起こるのかも。確認で見とくかね」(写真には血飛沫も映っていた)と倉庫に確認しに行ったら、部品を割ってその中の薬品?をこぼして死んでしまったのですが、その写真を見たフィンが「よく意味は分からないけど、この部品のせいで何か起こるのかな。よし、この通りに描こう」と意味なく絵を描いたりしているという、どうしようもないループ。(伝わりますか?)
ちなみに、血はフィンがキャリーを撃った時のものでした。
しかし、この薬品はなんなんだ。なんでじいさんの肌だけ燃えてるの?と、薬学に詳しくない私は悩んでしまった次第であります。

タイムループはおバカなほうが私は好きだなあ。そういう素晴らしい能力は、バカバカしく使うに限る。アニメ版の「時をかける少女」を見ていると、そんな気持ちになりました。