まぎれもない名作だった「来る」。お笑い芸人さんを起用した悪ノリCMのせいか(少なくとも私はこれで見に行くのをやめた)、非常に興行成績が悪かったと記憶しているのですが。
最近話題になった邦画ホラーの中ではダントツで好きでした。これは素晴らしい映画ですよ。映画館でお金を払う価値のある映画です。
ある邪悪なモノに魅入られた一家と、それを祓う人たちの奮闘が描かれているのですが、妻夫木聡演じる夫のパート、黒木華演じる妻のパート、そしてその二人の子供を守ろうとする部外者の岡田准一のパートという感じ。
とにかく非常に不快な人間関係が丹念に描かれており、自己中心的で内心妻を見下している夫(イクメンきどりで育児ブログ中毒)と、夫を憎んで不倫に走る妻それぞれの視点から話が進行するけど、それぞれの死に様がとにかく恐ろしい。妻夫木聡が物理的に半分になるところなんてなかなか見られないです。
後半は「祓い」がメインとなりますが、ありとあらゆる宗派や科学者たちが祓いに挑戦する(しかも同時に)場面は面白い。海外だと悪魔祓い映画はとにかく多いですが、日本だとメジャーなジャンルじゃないだけに取り扱ってもらうだけで嬉しい。あと、柴田理恵の霊媒師姿がかっこよかったんだなぁ。あの演技だけでも見る価値ありますよ。
ラストシーンまで挑戦的だったので驚きましたが…助け出した女の子が呑気にオムライスの国の夢を見ていた、ということを知り、つっこむ岡田准一。緊張感がぽかんと抜けきるというラスト。ただ私はケチャップをかけたオムライスよりデミグラスソースのオムライス派なので、その点でなぜかイライラしてしまった。
というわけで、いい映画だった。おわり。