プラムハウス・プロダクション。
白人一家にターゲットにされた黒人青年のホラーコメディ『ゲット・アウト』、最悪の誕生日を何度もやり直す『ハッピー・デス・デイ』、キチキチ監禁ドラマ『スプリット』などを製作している制作会社。
あと『パージ』(このシリーズ、手を広げすぎて嫌いになってきたゾ)とか『パラノーマル・アクティビティ』シリーズとかも手掛けているらしいが。
この製作会社が手掛けた『レフト -恐怖物件-』が面白い。見たけど、あまりに好きすぎてレビューを渋っていたくらい。2020年、アメリカ/イギリス映画。
ケヴィン・ベーコンとアマンダ・セイフライトが夫婦役で共演しているのですが、甘ったるさはまったくなく、ひたすら不気味。奇妙。狂いそう。
若い女優と再婚した主人公・テオ。過去に嫁が風呂場で溺死しており、そのせいで悪評が立っている(ストレートに言うと殺したのでは?と言われている)。
彼らはぎくしゃくしながらも子供を連れてイギリスの一軒家で休暇を過ごすことに。しかし、嫁の浮気が発覚し、夫婦関係はほぼ破綻。テオは娘とふたりきり、奇妙な家に翻弄されていく…
この奇妙さがすごいんですね。
そもそも家が歪んでいるとか、家の外から測るよりも部屋のほうが広い、とか。家の中でウロウロ迷ってしまうこともある。
そもそも、この敷地には人の魂を集める悪魔の塔が建っていたと知るテオ。
そのため、夜には危険を感じ子供を連れて家を出るが、中に誰かが立っているのが見える。必死に歩き続けるが、家に戻ってきてしまった…。
そもそも、「家の中に誰かがいる」という感覚がずっと続いているのですが、それは悪魔ではなく…
なんと、テオ自身のしたこと。つまり、家に取り込まれた未来のテオが微妙にタイムループしており、現在の自分を翻弄していたんですね。
逃げていく自分と娘を見ていたのも、テオ本人だったのです。
彼はあることに気が付き、朝を迎えると娘を妻に引き渡し、自分は家に残ると告げます。家が、彼を離さないから。
そして、元嫁の殺人も告白。自責の念もあったのか…?
この家は借り手は多いが、立ち去らない人も多い。
そう、家が借り手を選んでいるから―。
テオは家に取り込まれてしまいます。
秘密の地下室がキーポイントだったらしいのですが、怯えるケヴィン・ベーコンの顔が全部持っていった。地下室(あんまり覚えてない)よりも、部屋それぞれの冷たくて空虚な感じが心に残っている。
あと印象深いのは、嫁の撮影現場に行ったら思いっきり濡れ場を撮影していて気まずい… スタッフに旦那だと告げても「はぁ?(あんたみたいなオッサンがぁ?)」と言われてさらに気まずい… というシーンでした。不憫な役が似合うぞケヴィン。
呪怨といい、家のホラーってなんだか好きだわ。『HOUSE』も好き。