ネットフリックスで話題のゾンビ映画『アーミー・オブ・ザ・デッド』を見てみました。『ドーン・オブ・ザ・デッド』を撮影した監督であり、近年はマーベル関連の映画ばっかり撮っているイメージ。
感想。バカみたいにゾンビがたくさん出てきて、バカみたいに爆発が続き、バカみたいにパカパカ人が死んでいきます。偏差値マイナス30って感じ。面白かった。
『ドーン・オブ・ザ・デッド』の見どころといえば
- 通勤ラッシュや花火大会どころじゃない!本人たちも歩くのが大変そうなほどの大量のゾンビ!
- 愛すべきユニークなキャラクター。特に悪党に魅力あり(冒頭の小ボス・クソ警備員とか、ヨット遊びで半裸の女性をはべらせていたクズセレブおじさんとか)!
- 愛すべきキャラクターでも一切容赦なし!ゾンビ強すぎ・生存者は皆殺し展開!!
- ゾンビの子供出産シーン
あたりですが、ご安心ください。このあたりの場面や設定はすべてそのままです。ゾンビが早い!賢い!とかは設定が変わっているのかな~と思いきや、『ドーン・オブ・ザ・デッド』の時点で猛ダッシュしてたよね。主人公の旦那とか、俊足だったなあ。
登場人物をまとめよう。
スコット:主人公。とにかくめちゃくちゃ強い。ゾンビになった妻を娘の目の前で殺して以来、親子関係が破綻しているのが悩み。娘のために壊滅状態のラスベガスのカジノホテルから金を回収する計画のリーダーになる。
ケイト:スコットの娘。正義漢。友達を助けるために計画外の動きをするなど、ゾンビ映画における攪乱役。
マリア:スコットの昔馴染み。スコットのことを好きだが、鈍感な彼には気付かれていない。
ヴァンテルローエ:スコットとマリアの仲間。インテリだがやや悲観主義。
ピーターズ:ヘリコプターの操縦士。おしゃべりで毒舌家。
グーズマン:ユーチューバーもこなす地元の札付きワル。マリアの推薦で仲間入りする。
チェンバーズ:グーズマンの友達。彼の紹介で仲間入りする。
ディーター:金庫破りをするために雇われた鍵師。戦闘能力はゼロに近いが、ヴァンテルローエに銃の使い方などを教わり、先生と生徒のような関係に。叫ぶ時に女の子のような声を上げる。
リリー:「コヨーテ」の呼び名を持つ、荒廃したラスベガスを知り尽くした謎の女性。ギータをラスベガスに案内するも、置き去りにしたことでケイトに恨まれる(ただし、本人はあくまで忍び込む手伝いをするだけと明言しており、ボディガードをするとは言っていない)。ゾンビの生態に詳しい。
マーティン:タナカの警備責任者であり、監視役として計画に参加。しかし、チェンバーズやリリー、ピーターズは彼を警戒していた。
タナカ:演じるは真田広之。めちゃくちゃ裏がありそうな態度で、金庫破りの計画をスコットに依頼してきた。マーティンのボス。すごくいいところに住んでいる。羨ましい。
ギータ:ケイトの友達。避難キャンプから子供たちを逃がすため、スロットマシンの金を盗もうとラスベガスに忍び込み、そのまま行方不明になった。
では、お話を反芻していきましょう。
アホな新婚カップルに激突され、秘密裏に運ばれていたゾンビが逃走。
オリジナルに噛まれた人間はアルファと呼ばれるゾンビに変化し、意思疎通でき組織化された動きができる・素早い・賢いという特徴を持ちます。アルファに噛まれたゾンビは普通のゾンビに変化します。で、そのせいでラスベガスが壊滅状態に。
オープニングもいいですね。『ゾンビランド』のオープニングに劣らない出来。カジノのコインが舞い散る中で食い殺されるギャンブル中毒の老人とか、ジャグジーの中でダンサーに襲われて食い殺されるハゲとか、ミスコンの出場者がじじい食ってたり。
パラシュートでゆっくり落ちてきてゾンビの群れに食われる(パラシュートの内側で食われているのが血しぶきでわかる)、戦車でゾンビを殺そうとして失敗した軍人がまたまたゾンビの群れに殺されたり。
もう、ゾンビゾンビゾンビ!アプリゲーのCMみたいに大量のゾンビが出てきますね。そして、しょっちゅうどこかが爆発してます。開始10分で3回爆発したと思ったら、さらにボーンボーンと燃えてたのでもう数えるのやめた。
オープニングはこの死にざまショーだけでなく、ゾンビの中で生き残った人たち(この生存者が主人公グループなのですが)の簡単な紹介も兼ねています。で、いかにも主人公っぽく映っていた女性は女の子を守るために自分が盾になり、ゾンビに噛まれ、自分から離れない女の子を抱きしめながらコンテナにつぶされ圧迫死。もう、情報量が多い!
生存者はラスベガス近辺エリア(コンテナで仕切られている)に残されており、避難キャンプを作って生活している人たちも。バーガーショップの店員に甘んじているスコットは過去の活躍を買われ、タナカにラスベガスのホテル内に残されたお金を回収する計画に誘われます。
娘と不仲なスコットは大金で娘に豊かな暮らしをさせてやるために仕事を引き受けることに。ファミリーであるマリア、ヴァンテルローエに声をかけ、3人で取り分を多めに分け、他に声をかける人たちには報酬は少なめに渡すというみみっちいプランを考えます。
もともとの知り合いであるヘリ操縦士のピーターズ(ただし、ノリがスコットとは合わないので彼は信用するほど仲良くないよう)、地元のチンピラ・グーズマンと彼の知り合いのギャル・チェンバーズ、金庫に詳しい乙女青年・ディーターに声をかけていくスコットたち。
タナカの推薦で彼の警備責任者・マーティンも仲間に入り、計画には32時間しかない(その後、ゾンビの巣窟であるラスベガスは政府によって爆発させられる)ことも明白に。グーズマンの仲間のひとりはここでビビッて逃げるのですが、これは伏線でもなんでもなし。なんだったんだコイツ。
ラスベガスに行くために娘のケイトの協力を仰ぐスコットですが、ギータがラスベガスから戻らないことを心配したケイトは無理やり同行することに。さらに、警備のクソ男(避難キャンプで女性たちにセクハラしまくっている)カミングスもついてきます。
ラスベガスはまさに荒廃状態。白骨化したゾンビもいますが、これは雨が降ったらもとに戻るらしい。ドラえもんの漫画にこういうインスタント幽霊あったなあと思いだす。ちなみに雨降りませんでした。残念。
ゾンビ虎と遭遇するも逃げることに成功、するといきなりカミングスを生贄に差し出すため拘束するリリー。ゾンビたちとの協定で、一人差し出せば無事に通してくれるらしい。
普通のゾンビ=シャンバーズは敵ではないが、異常に賢く素早く組織化されたアルファには敬意が必要だとリリーは説明。彼らの根城・オリンパスホテルに行きたがるケイトですが、とりあえず意見は無視されます。そしてカミングスはアルファたちにたべたべされます。
目標のホテルにたどりついたものの、冬眠状態のゾンビの間をすり抜けようとして失敗したチェンバーズ。この子がもう、果敢に戦いまくるのですが(レストランのキッチンから腕がたくさんはみ出してきてひっぱろうとしているのが地味に怖い)、マーティンにハメられて犠牲にされてしまいます。窓ガラスをバリーンと割ってダイナミックに後を追いかけてくる彼女ですが、もう間に合わずにゾンビに噛まれ、グーズマンが彼女の背負っていたヘリ燃料を撃って炎上死。
ヘリのほうに行ったピーターズは、あまりにぼろぼろの機体に怒り笑い。
発電機を直すスコットとケイトは和解します(彼女は父が母を殺したことを怒っていたのではなく、母を失った後に父が自分をひとりにしたことを怒っていた)。
マーティンとリリーは外へ。アルファの血液を採取したいというマーティンですが、なんと初代(アルファのボス)の嫁の首を切り落としてお持ち帰り。リリーは何も言えずに黙りますが(もうやっちゃったし…)これがバレて、アルファたちはスコットがいるホテルを襲いにやってきます。実は彼女は妊娠しており… この監督、ゾンビの妊娠(というよりゾンビ赤ちゃん、ゾンビ胎児)好きだねぇ。めちゃくちゃ発光したゾンビの胎児はちょっとホタルイカっぽかったです。
金庫のトラップを解除しようとするディーターとヴァンテルローエ、グーズマンはゾンビを使って様子を見ますが、壁からの吹き矢、マシンガン、さらには両壁が閉まるというぺっちゃんこトラップに唖然とします。
しかも爆破が24時間早まってあと90分程度しかないというムチャクチャな事態に。
それでも金庫は無事に開き、大金に喜ぶメンバー。ここで突然マリアがスコットに「私の気持ちわかってるくせに…鈍感!」「アンタがいたから、この計画に参加したんだっつーの!」と告白を始め(本当にこういう感じ)、フラグをビンビンに立ててきます。そして案の定、怒り狂った初代がわざわざエレベーターでやってきて、マリアの首を180度ねじきりました。ニコッとした顔で死んじゃうんだよね。薄笑いが哀しい…
ゾンビに襲われるだけでなく、ケイトはホテルを抜け出してギータを助けに行っているし、マーティンはみんなを裏切ってみんなを金庫フロアに閉じ込めて逃亡。リリーは電ノコで穴を開けて逃げようと頑張ります。そしてスコット、リリー、グーズマンは別部屋へ。
一方、初代ゾンビに追い詰められるディーターとヴァンテルローエですが、ディーターが自分を犠牲にしてヴァンテルローエを金庫に閉じ込めます。このあたりのシーンは熱いなあ。人間味を見せたキャラクターから欠けていくのがしんどいですね。
ひとりだけ逃げようとしてるマーティン、ゾンビ生首を確認したらリリーにすり替えられていて呆然。いや、生首とコンポ?って間違えることある…?しかし彼はゾンビ虎に捕まり、おもちゃにされながら死亡します。
カジノフロアに出たスコットたちは、札束が舞い散るなかでマシンガンをぶっぱなし、血しぶきやら肉片やらが飛び散りまくります。うーん、最高にバカだなあ。このあたり、お金がかかってますねえ。銃の弾が切れたらテーブルを投げ、ゾンビを散らすスコットくんであります。まるでゴリラ。
しかしグーズマンが噛まれてしまい、手榴弾で自爆エンド。
エレベーターでヘリまで向かうスコットとリリー(エレベーターの中の軽快な音楽がムカつく感じでいいですね)。ピーターズと合流するも、初代も屋上まで追いかけてきてさらなる修羅場に。
リリーは自分が犠牲になり、初代の嫁の生首で彼をひきつけます。ゾンビの投げたヤリで貫かれるリリーもカッコイイなあ。なお、嫁の生首は粉々になり、初代はますます怒りまくります。
ヘリで逃げるスコットですが、目指すはケイトがいるホテルオリンパス。
拠点のなかではギータの友達を食べるゾンビ・カミングスの姿も見られましたが(ギータの友達2人はあっという間に脱落)、ギータとケイトを連れて戻ってきたスコットはヘリがいなくなっていて愕然。しかし、良心の呵責で戻ってきてくれたピーターズのヘリに乗り込みます。
でも!初代はまたまた追いかけてきてヘリに飛び乗り、スコットを噛みます。腕を引っ張られ骨まで飛び出したスコットですが、初代の頭を吹っ飛ばして(チーズみたいにキレイに裂けた)戦いには勝利。
ケイトも消火器で参戦します。意外と効いてて笑った。ゲーム『クロックタワーGHOST HEAD』のオマージュ?そんなわけないか。それなら般若の仮面にオノ持った男が出てくるか… ただし、このラストシーンは『バイオハザード』のボス戦みたいでした。完全なる肉弾戦。
しかし、流れ弾に撃たれたピーターズは操縦不能。ヘリは墜落し、スコットとケイトだけが助かります。彼は夢見ていたキッチンカーについてジョークを飛ばした後、少しだけ持ち出せた金をギータの子供のために使うように遺言。その直後にゾンビ化した父親(この人、初代よりも強くなりそうだけど…)の頭を撃つケイトでありました。ギータ本人のことはガン無視なんですけど…
ちなみに、金庫に入っていたおかげで助かったヴァンテルローエはなんとか人がいるところまで戻り、メキシコ行きのプライベートジェットを借ります。その飛行機の中で、自分が噛まれてたことに気が付くヴァンテルローエ。「あ~あ、アハハ(皮肉笑い)」で終了。
まさかの娘以外の全滅エンド。もう数人は生き残るかと…
『ドーン・オブ・ザ・デッド』との比較が続いて申し訳ないですが(未見の方はぜひ見てほしい)、ともに絶望ラスト好きにはたまらないですね!
あと、今までマッチョ軍人系ゾンビ映画はさほど当たりがなかったですけど(Z級映画にはわりとある)、この作品はよかったです。カジノゾンビ映画では『カジノゾンビ』というどストレートな映画もありましたけど、これもひどかったなぁ…。
初代のキャラクターがローマ帝国風(『スパルタカス』みたいな感じ?)で、ゾンビ馬にまで乗っていたのはオリンパスホテルとひっかけてるからかな?
まあ、この映画から学べることといえば、地道に働け・強盗はするなってことなんですかね。