インフルエンサーや動画配信者を主人公にしたホラー映画が増えていることに皆様もうすうすお気付きだとは思いますが、その役割は意外とホラー映画によって違う。
映画冒頭に挿入される「やられ役」として(不遜な態度でやらかす役割として)登場するものもいるし、クズみたいな行為をしながらも「俺は有名だから」と調子にのりまくって制裁を受けるタイプのものもいる。
でも、この映画の主人公はどちらでもない。ちょっと迷惑系な印象もあるが、若くてむこうみずでエネルギッシュでハンサム。私が想像する「海外の元祖人気者ユーチューバー」って感じ。
(遊び半分で樹海に入り自死者を捜したユーチューバーとか、今年話題になった無賃乗車や無銭飲食したユーチューバーのような印象もないわけではない)
今回取り上げたいホラー映画は、2020年のアメリカ映画『#フォロー・ミー』であります。イーガールズ(綴りすら忘れた)がひたすらがなっていた覚えがある単語。
仲間内で挑戦する脱出ゲームの企画が、本当に死のゲームだったとしたら… という内容なのですが。
特筆すべきは、この脱出ゲームの舞台がロシアだということ。
今なら絶対に撮れないよな… 公開もできなさそう…
アメリカ人にとっては言葉の通じない国であり、さらにアメリカ人への風当たりもさほどよろしくない国(つまり、アメリカ人が助けを求めてもフォローが得られにくそうなイメージの国というわけ)なのでしょう。「バカなアメリカ人」って言いまくるロシア人がたくさん出てきてすげえ口悪いなと思いました。
登場人物はわりとシンプル。動画投稿キチで人気配信者のコール、その彼女で彼氏が配信のことばかり考えているのが不満のエリン、同じく配信者仲間のダッシュとサム。サムはLGBTQであり、かつゲーム配信者。ドレッドでタトゥー山盛りで… と、要素が乗っかりすぎてるわりにあまりスポットが当たらない役。ダッシュはお調子者。
そこにコールの親友のトーマス(唯一知的で誠実、まともな人)が加わってコールの誕生日を祝うためにモスクワに行くことに。
モスクワではダッシュの友人だというアレクセイ、そのガールフレンドのヴィクトリアに歓迎されます。モスクワナイトを楽しむ一行…
と、ここで既に賢い視聴者は気付かれるでしょう。
「本題の話に入るまでが長い」ということに。そう、前半は飛行機→モスクワ空港→ホテル→クラブ→ホテルに戻る→彼女とカフェへ…という、ナニコレ?Vlog見せられてるの?という、だるい場面が続きます。
そしてアレクセイが仕切る脱出ゲームが始まるのですが…
こっちは拍子抜けするほど短い!
エリンは水槽、サムは電気椅子、ダッシュはアイアンメイデン、トーマスは…名称はわからないが四肢を引っ張られる機械につながれていて、それぞれの前にあるパズルを解いてメンバーを解放していきます。
この謎解きがなぜかパズルなので、映画を観ている側はただバタバタコマを動かしたり喧嘩したりしているのを見ているだけ。非常につまらない。エリンの謎解きだけはダイ・ハードで出てきた「5リットルの容器と3リットルの容器を使って4リットルの水を量る」という、既視感ありまくりのものでしたが…
エリンだけは解放が遅れて死にかけますが、無事に生還。
そこで逃げようとしたら、今度は別の組織に拉致される羽目に…!?と、コナン並みにトラブルが続きます。
今度はもっとやばそうな組織で、「アメリカ人を○すところを動画配信してお金を稼いでるんだ」という闇組織。コールはサムとダッシュが拷問の末に命を落としたところを目撃。逃げるチャンスを得ますが、やはり仲間を助けに戻ります。
命がけでトーマスを助け、メガネを壊された彼を隙間に隠してエリンを探すことに。しかし、エリンは目の前で撃たれてしまい…?
※このへん、画面が暗すぎて観るのがつらいです。
すべてを失ったコールですが、黒幕のアレクセイがにこやかに目の前に現れて発狂。ボコボコにして撲殺してしまったところに、みんなが「じゃじゃーん!サプラーイズ… ギャーーー!!!」と登場と同時に絶叫するという流れ。
そう、すべては誕生日のドッキリだったのだ…
いやまあ、そうじゃないかとは思ったよ…
アレクセイの護衛が突然「逃げて下さい!鍵をあげます!」とか押し付けてきたところでサプライズヘタクソか!脚本もヘタクソか!!とは思いました。
善意のサプライズがバッドエンドになるのはなんともほろ苦い。あと、お金がかかっているわりに全然面白くないサプライズだったのもビターですね。クロちゃんをとしまえんに設置した檻の中に入れて放置した企画をなぜか思い出しました。