2011年に公開された『ホワイト』を見ました。主演はT-ARAのハム・ウンジョン。韓国のアイドルホラーですね。
バックダンサー出身のウンジュは売れないアイドルグループに所属。必死に努力するが、メンバーは協調性がなくまとまりに欠けていた。しかし、新しい事務所兼住居で見つけた古いビデオに入っていたお蔵入りMVを見かけたウンジュ。彼女たちは再起を賭け、その歌を新曲としてリリースすることになるのだが…
というような話。
少女漫画誌に夏休みになると掲載されるホラー漫画のような、ベッタベタのテイストです。アイドル業界を舞台にしたホラーはとても多いですが、やはり演じている本人がアイドル出身だというケースがほとんど。あと、この映画でも例に漏れず芸能界のいじめと自死、性接待を盛り込んでおります。盛り込みすぎィ!!!
ただ、この映画は幽霊がしつっこいです。そこまでやる?そこまでついてくる?関係ない人に?という感じ。そのぶん、ゴア描写もすごい。
主人公のウンジュは年長者で(たぶん人気も最下位のメンバー)、元バックダンサー出身。歌唱力に優れたジェニ、ビジュアル担当のアラン、ダンスが得意なシンジの4人でピンクドールズというアイドルグループをやっています。
このシンジが誰かに似てるなぁと思ったら、日本エレキテル連合の中野さんでした。そう考えると中野さんは美人なんですね。
あと、ウンジュの友達で現在はボーカルの先生をしているスネも、物語に大きく関わってきます。
ストーリーは、売れないアイドルグループが引っ越しをするところからスタート。
でも、新しい事務所兼スタジオ兼合宿所(共同宿舎みたいな感じ)がそもそもおかしい。火事があったいわくつきの場所なんです。そこを安く借りられたのはウンジュのおかげ…みたいな話があるのですが、ウンジュのお父さんがスポンサーなのかな?つまり、芸能人になるために下駄をはかせてもらっている状況?ただ、大島てる物件を嬉々として借りるのはちょっと…
ウンジュの背景ははっきり描かれないのでよくわからないのですが、とにかくず~っとウジウジしている。そりゃあ芸能人に向いてないわ…と言いたくなるくらいの消極的な性格です。
しかし、彼女が見つけたビデオ(時代を感じる)に入っていた曲を新曲としてリリースしたら、ピンクドールズは大人気に。ただし、この曲のセンターを誰にするかでまたメンバーがぎくしゃく。しかも、センターになった人から恐ろしい目に遭うというお決まりの展開…!
ジェニは薬物の過剰摂取で口から血をダラダラ流しつつスタジオで首を吊ろうとしているところをウンジュに助けられ、アランは自慢の目と顔がただれて(幽霊によって目をつぶされ)撮影中に転倒。
このあたりで、新事務所にて以前起きた火事でたくさんの人が亡くなっていることが判明。前も芸能事務所が入っていたらしいのですが、その事務所の社長もアイドルも全員犠牲になっているという話に… いや、そんなとこ借りるのは正直、現事務所が悪いとしか言えない気がするが…
そして、元バックダンサー兼研究生の女の子が自死していることも明らかに。この女の子が悪霊となり、みんなに悪さをしている模様。
シンジはテレビ企画中にアクシデントに巻き込まれます。このテレビ企画が謎すぎる。合宿所で肝試しするという謎の企画がそもそも「?」だし、その合宿所を出ると熱狂的なファンが出待ちしていて、彼女をもみくちゃにするというこれまた謎の展開。ファンも狂ってるし(収録中だぞ)、製作が無能すぎておののきました。
そのシンジ、髪の毛がカメラのクレーンにひっかかって宙吊りに。その足を引っ張ったりスマホで撮影したりする謎のファンたち。殺しにかかるのはやめていただきたい。
結局シンジはクレーンに潰されて大けがをします。
残されたのはウンジュひとり。まともな経営者なら、ここまで3/4が大怪我しているんですから休業させると思うんですけど、ウンジュだけをデビューさせようとします。
自分を変えようと、ウンジュは自らの意志でスポンサーの設定に行くことに(せ、性接待…)。そこで待っていたのは、火事で亡くなった芸能事務所の社長の息子。
ぼろぼろになりつつも事務所に戻ると、駐車場で寝ているファンたちの姿がウンジュの目に入ります。しかも、テントとかなし。地べたにそのまま直で寝てます。えっ、韓国のファンの人って事務所の前で雑魚寝したりするんですか…?
なぜか覚醒したウンジュはスタジオの機材をぶっこわし、研究生の遺書を発見します。
研究生アイドルは努力の末に新曲のセンターに抜擢されるも、正規メンバーたちのいじめに遭い、センターを降板。自死を選び、その怨念で自分を追い詰めた人たちを道連れにしたんだろうなぁ~的なことが徐々に判明。そして彼女がセンターをするはずだった新曲こそ、ピンクドールズが横取りした曲だったというわけ。だから怒っていると思われる。
しかしウンジュは暴走を始め、髪の毛も染めてセンターとしてのオーラをガンガンに出し始めます。個人的には、髪を染める染料を素手でねっちゃねっちゃ触っていてドキドキした。どんな皮膚じゃ!
ウンジュはたくさんの嘘をつき、自分を良く見せようとし始めます。そのことを危惧するスネ。でも、ウンジュは誰の助言も聞き入れません。
意識不明だったジェニ、シンジ、アランも目を覚ますも、閑職であるレトロ歌謡番組のMCにまわされて、もうアイドルとして再起は難しい状態に。
しかしこの3人が突然番組中に自死(こういうシーンが多すぎて怖い)。実は研究生アイドルは自死ではなく、漂白剤を飲まされていたという事実が明らかに…!?でも、いじめっ子に復讐するために放火したらしい。それで全員が犠牲になったという展開か。
そんなことを知らないウンジュは「ホワイト」に改名してソロデビューを飾りますが、ここで「キャリー」のごとく、晴れの舞台は大荒れで関係者が次々犠牲になります。
スポンサーは照明が落っこちてくるし、社長は舞台演出の花火が噴き出して黒焦げになるし、ウンジュは自分の昔の理想通りにファンに潰されてしまいます。
ひとり残されたのはスネ。彼女はウンジュとよく来ていたカラオケボックスですべてをゴミ箱に入れて燃やそうとするのですが(こういう危険行為はお店でやってはいけません!)突然カラオケにホワイトの新曲がログインし、驚かされるスネ…というところで映画は終わります。
いやぁ、なんだろう。恐怖の展開に驚かされたというよりも、映画と関係ないマナー違反(カラオケでゴミ燃やすとか、駐車場で寝ながら出待ちとか)がえぐくてそっちに引いている気持ちのほうが大きい。あと、バックダンサーをしていたから…ってさんざんバカにされているウンジュ(シンジも、途中で別グループのパシリをしていたことをバカにされるくだりがある)なんですけど、バックダンサーの経験があるくらいだからダンスがめちゃくちゃうまいんだよな~とかしか思わないけどな。韓国だとアイドル>バックダンサーっていう位置づけなのでしょうか。
あと、スネがゴーストシンガーとして、ライブでの歌唱部分を裏で歌って生で差し替えているというシーンがありましたけど、こういう差し替え方も古い感じがした(こんなんあるのか?80年代のアイドル少女漫画とかで見たことあるけど)。
日本だと『バックダンサーズ!』って映画がありましたね。2006年公開。主演の紗栄子の歌唱力がなかなか香ばしかった記憶。この映画と同じくらい古い芸能界って感じ。
映画自体がやや古めだという点を差し引いても、ほんとにベタベタなホラーであります。10代の子たちがさらりと見るには描写がエグいところも多いし、出てくる曲や衣装が全部古めのK-POPなのもそそられないところかも。
いや、私は面白かったですよ。