1か月以上ぶりの更新です。というのもルーターが壊れたり、自宅の外装工事がやかましすぎたりで、更新自体をできる環境になく…
とはいえ、そんなダラけた環境を打破してくれた素晴らしい映画。
それが「ザ・ディープ・ハウス」だ!
フランス/ベルギー映画。2021年製作。「屋敷女」の監督作品ですね。
ユーチューバーカップルが湖底の廃屋を撮影するためにダイビングするも、おそろしい出来事にまきこまれていく… というのが簡単なあらすじ。
てっきり、廃屋のシーンは予算上ちょこっとで、後で自宅やら職場やらに濡れ濡れ幽霊が現れるんだろう?水中にやたらと引きずり込まれたり、黒い水と髪の毛が蛇口から出てきたりとかさ!と思いきや… ちがうんです!
なんと、ほぼほぼ水中シーンのみ。これがもう、スゴイ。怖いの。スタッフに脱帽です。
- 湖底に沈んだ廃屋の奇妙さにまず引き込まれる(ビジュアルも完璧)
- しかも、地下室でまったく腐っていない、しかもリンチで処刑されたらしい男女の遺体を発見
- 空気が残り少ないのに、なぜか廃屋に閉じ込められて出られない
- 目をかっぴろげた瞳孔ランランの遺体が、水中を追いかけてくる
- 暖炉の煙突から脱出しようとするも、カップルは離れ離れに。彼氏は取り込まれてしまう
- 取り込まれた彼氏に翻弄される彼女。生贄になるように強制されかける
- 彼氏を正気に戻すも、幽霊が力業で彼氏を刺殺
- 彼女は脱出に成功するも、湖面に出るギリギリのところで空気が切れ、窒息死する
- そして新たな生贄が連れてこられるのであった…
この手引きをしているおっさんが、実は屋敷で死んでいた一家の末裔なんですね。
実は殺人鬼集団だった彼ら、子供をさらっては地下室で殺害していたという鬼畜過ぎる一族なのです。そのせいで被害者遺族にリンチで殺され、家は湖底に沈む羽目に(当初、悪魔崇拝の一家かと思ったら、悪魔を封印する儀式をされたうえで殺された模様)。しかし唯一逃げて生き延びた長男は、湖底にて怨念をまき散らし続けている自分の家族のために、アホな若者の手引きをして生贄を捧げ続けていたということらしい。
おそらく、水中に作られたセットで撮影しているのでしょうが、普通のオカルトものよりも何倍も怖いのは、悪霊役の一家の皆さんの演技によると思う。
当然酸素ボンベなしの素潜りで空気の粒も吐けないまま、目をかっぴろげ、ぬるぬる動いて迫ってくる。流れるように水中を滑ってくるだけで、もう絵画のような美しさと恐怖が共存している。
洗脳された彼氏の演技もよかったな。
この映画はバッドエンドなんですけれど、そのバッドぶりもちょうどよいという感じ。別に主人公カップルが亡霊に罰せられるような悪者だとは思わないのですが、もう、ありとあらゆる手段で亡霊と戦い続け、抗い、最後に力尽きてしまうというその流れが完璧なんです。
ここまで頑張ったんだから偉いよ!と思えるほどの清々しさ。そしてあまりにも禍々しい悪霊たち。だって、胸にナイフを突き立てる悪霊なんてズルすぎる。物理攻撃じゃないですか。
映画館で見たかった。『ブレアウィッチプロジェクト』並みに恐怖を味わえたと思います。