最近の海外映画ではなかなかお目にかかっていない、ホラー短編集。
青田買いを前提として、若手監督が終結しているようなイメージがありますが、今作では豪華な監督が終結しておりますのよ。
2018年に公開された『マスターズ・オブ・ホラー』。アメリカ映画。
5つの短編なのですが…やや小粒?な感じもありますが、私はわりと楽しめました。深夜に放送してほしいですね。惑わされて眠れなくなりそうな感じ。
設定としては、
映画館に入る
↓
その人の死に関連する映画が流れる
の繰り返し。映写技師がめちゃくちゃマッチョな死の番人なんですが、調べたら彼はミッキー・ロークなんですね。
監督は『グレムリン』のジョー・ダンテ、『30デイズ・ナイト』のデヴィッド・スレイド、『あずみ』の北村龍平(海外でもいろいろ撮ってるけどなんやかんやでこの映画が一番好き)、『ゾンビ革命 フアン・オブ・ザ・デッド』のアレハンドロ・ブルゲス、『ザ・フライ2』のミック・ギャリス。
誰がどれを撮ったのかエンドロールを見ないとわからないの。仕方ねぇから見返してきたわよ。
第1話「The Thing in the Woods」
よくあるティーンエイジャーが仮面の男(溶接マスク)に狩られるマンハンティング。
かと思いきや、内容はSF(ホラーファンならタイトルからわかりますかね)。
宇宙生物に寄生された友達を殺してまわっていた青年の話でした。この設定は面白いな~と思いました。
隕石から大量の蜘蛛が出てくるのですが、コイツが人間の脳内に寄生するんですね。で、ヒロインの頭を蜘蛛が中からメリメリメリッと割って、ヒロインの頭が真っ二つに裂けたところで不謹慎ながら笑ってしまった。めっちゃ力持ちだけど何がしたかったんだコイツと思って。
たぶんジョー・ダンテだな。寄生生物の目線の時に画面が紫色に侵食されているのですが、こういう演出、前にもしていた気がする。と思ったら、これがアレハンドロ・ブルゲス監督でした。
第2話「Mirari」
ミラリってどういう意味だろう?
顔に傷のある女性が整形手術を受けることになるが、勧められるままに豊胸とか目鼻の整形とかマシマシにしてしまったが故に化け物のような姿にされてしまう。
しかしすべては整形依存の彼氏の母と、異形を何より愛する彼氏の仕業だった。
ちょっと納得がいかない話ではありますね。彼氏のママ、整形しているけど、まぁちょっとやりすぎかな?くらいなの。でも彼女は豚のような鼻におっぱいは3つですよ?
おちちを増やすなよ(彼氏の性癖か??)とは思いました。あと、肌がグズグズに変色していたのはなんでなんだ。医者がヘタクソだったのか?
まさかのジョー・ダンテ監督(笑)でした。
第3話「Mashit」
古代の悪魔…と思っていたら天使だったわ、近親相姦を罰する天使というのが存在するらしいのですが(本当かはしらないが)。その天使が神学校に入り込み、少しずつ生徒を洗脳して兵士化。神父とシスターがそれに立ち向かう!という話。
神父とシスターがゴソゴソいやらしいことをしているので、それを罰しにきたのでしょうか。いや、もう、無の戦いですよ。何も生まない争い…
この短編の驚くべきところは、子供たちが悪魔のようになって神父とシスターを襲ってくるというところ。子供をバッサバッサと切り倒す神父。こ、こわい。子供を傷付ける描写ってホラー映画でも規制されているかと思ったんですけど、腕がポーンと空に飛ぶくらいなら許されるのか…??
吸血鬼ドラマ『ストレイン』を思い出した。
結局神父は子供たちに殺され、シスターは憑依されてしまうというラスト。
キャスティングから察するにブルゲス監督だろうか?と思ったらこれが北村龍平監督よ。
第4話「This Way to Egress」
これ、北村龍平っぽいよね。って考えてたらこちらはデヴィッド・スレイド監督。映像の美しさは群を抜いていたけど…
自分と子供たち以外が醜く、汚く見える精神病?に悩む母親。しかし実は彼女はパラレルワールド?(“上”の世界と呼ばれている)からやってきた人間であり、彼女が見ている景色は間違いではないことがわかる。
彼女は自分の担当医を撃ち殺し、自分の子供ではない何か(調査員を名乗っていた)をひったてて帰宅する。現実から目を背けたまま…
知り合った人がどんどん醜く、汚くなっていく描写はリアルではあるのですが、ストーリーが他人から聞かされた夢の話と同レベルにふわっとしていてよくわからない。この短編だけモノクロです。
第5話「Dead」
両親を強盗に殺された少年。自らも死にかけるが、そのせいで死者が見えるようになる。同じように死者が見える少女が味方になってくれるが、彼を死後の世界に連れていきたい母親の幽霊が登場。少女は殺され、少年自身も両親を殺した強盗犯につけ狙われて殺されかける。
なんとか生還した少年だが、今度は死んだ強盗が幽霊として少年の前に現れる。
彼だけが自分の運命から抗おうと映画館を走って出ていきます。
この短編は面白かったな。少女と母親が天使と悪魔みたいに交互に脳内に出てくるシーンがシュールでした。ちょっとカートゥーンっぽいのはなんでなんだ。
これはミック・ギャリス監督ですね。めちゃくちゃ見やすい。
短編集は軽く見られるものが多いのですが、この映画に関してはわりと見入ってしまった。とりあえず『30デイズ・ナイト』、見返したくなったな。「屍鬼」といい、その元ネタともされるキングの名作といい、閉鎖的な田舎で起こる怪異のお話大好きなんですよ。って感じで、気に入った監督の作品に導かれるのが短編集のいいところですね。
あと皆さん、長生きしてほしいっスね。