保険金殺人を決行して即犯人バレする気まずさときたら『サバービコン 仮面を被った街』

サバービコン

変な話だなぁと思っていたら、コーエン兄弟が脚本に関わっていると聞いて納得。ジョージ・クルーニーが共同脚本・監督を務めたという異色の作品『サバービコン 仮面を被った街』を見ました。2018年アメリカ映画。

街全体がおかしい話なのかな?と思ったら、アフリカ系アメリカ人の差別問題に揺れる街(ニュータウンに引っ越してきた善良な黒人一家に嫌がらせしまくる白人たちの姿を描いている)と、その街に住む強盗事件で母を失った一家を中心に作られているサスペンスですね。

まぁ、どう考えても父親のマット・デイモンと母親の義理の姉であるジュリアン・ムーアが怪しいので犯人は見る前からわかっているタイプの映画です。ビックリしたのが、マット・デイモンをずっとディカプリオと勘違いしていた… 老け方が似ていませんか?(ファンの方スミマセン)

強盗に襲われて亡くなった母。しかし、なぜか母の姉(双子なのでそっくり)が同居を始め、こっそり父と地下室でイチャイチャもしている。そう、実は母を殺したのはこの2人。保険金目当ての殺人事件だったのだ!

そのことを突き止め、脅迫してきた保険会社の営業マンを襲って殺してしまう父。しかし運命は皮肉にも?主人公に味方する。

母の姉は死に、強盗を装った雇われチンピラの二人組も死に、家に帰ってテーブルの上にあったドリンクを飲む父。しかし、そのドリンクは主人公を殺すために毒が入れられていたのだった…

食卓で死んだ父を放置し、やってきた朝。主人公はスッと庭に出て隣家の黒人少年とキャッチボールを始める… という、バッドとまではいかなくとも後味が悪い終わり方。いやいや、通報してくれよ…

主人公を助けようと命をかけるおじさん(このおじさんは死んだお母さん&殺した母の姉にとっては、兄にあたる。主人公にベタベタしすぎてウザがられているが、チンピラと格闘して主人公を救い、死んでしまった)のシーンにはグッときましたが、全体を通してはキャスティングとその意外性を楽しむ映画かなという感想です。

マット・デイモンとジュリアン・ムーアが殺人犯としてグイグイ迫ってくるという恐怖!しかも、わりとアホなんですよね。計画に抜けがたくさんあるの。

逆に言えば、ストーリーはちょっと既視感があるような… とか、狂っていると言えるほどスリリングでもなく… 差別表現もなんといいますか、マイルド?(家の前で抗議の歌を歌い続けられるのは嫌ではあるが)な感じ。

いや、もっと過激にしろ!ということではないんですけども。

物足りないというわけでもないのですが、全体的にベタという印象が拭えない。50年代アメリカ、差別、殺人事件…って映画、前にもあったな。って思っちゃうんですよ。殺人事件はなかったけど、『シザーハンズ』とかね。あの色合いの鮮烈さとか、奇抜さとか、演技の凄みとかには負けちゃうかな… と思ってしまった。

保険金殺人なんて絶対バレるのになんでそんなことするんだよ!という前提があるからかもしれませんね。