2018年の韓国映画『ホテルレイク』を見ました。
非常に雰囲気がよく、私は好きですね。「寂れたシーズンオフのホテル」「死霊に惑わされる主人公」「死霊が見える眼帯イケメン高校生」など、ホラー映画好きには刺さる要素がずらり。
ストーリーは、父親違いだったかな?の妹を引き取った姉・ユミが母の友達が経営するホテルに身を寄せたことから巻き起こった惨劇を描いています。
そもそも、ユミは妹を引き取りたくないのですが、「想像力がたくましいのに表現力がないから、施設でたらいまわしにあうかもしれないわ(溜息)」と施設のスタッフに脅されたことからしぶしぶ引き取ることに。それにしてもすごい言いぐさですね。
そもそも亡くなった母親は男に依存してフラれて自殺したため、ユミは家族自体を忌み嫌っている感じ。そんななかで、母の友達の美しく優雅なおばさまだけが救いという印象です。
しかし、明らかにおばさまが怪しい、怪しすぎる。このおばさまには息子がいてユミの幼馴染なのですが、現在の消息を尋ねられて「(目をそらして)アメリカにいるの…」と言われても… 明らかにフラグですよね。
まだ何も起きてないけど、犯人はおばさまの息子がオペラ座の怪人化しているか、息子が死んでいておばさま自身が狂っているパターンじゃないか!フガフガ!!と鼻息を荒くしてみていました。
中盤はひたすら怪奇現象やら悪夢やらのオンパレードですが、首がぼろりと落ちる女など迫力ある絵も出てきます。地下(ボイラー室?)の首を切られた女性たちを描いた落書きもじんわり肝が冷える。
しかし、それよりも気になるシーンもいくつかありました。
たとえば、ホラー映画でよくある「〇〇が転がってきて、視野に飛び込んでくる。顔を上げるとその先に怪奇現象が待ち受けている」というシーン。まぁビー玉とかおもちゃの車とか、そういうものが座りのよい印象がありますが、この映画はひとあじ違うね。トイレットペーパーが転がってきたのですもの。コント?トイレから出られない人からのメッセージ??
また、眼帯の男子高校生がユミが困っているのを見かねて助けてくれるのですが、なんと!ダウジングで霊を探して交信するんですね。ダウジングとか懐かしい。私もリアルで見たことないレベル… 結局、「このケースは自分の手に負えない」と高校生がさっさと帰宅するのもなんだかものすごい展開だと思った。急に出てきて急にいなくなった(しかも別になんの伏線でもない)のはなんだったのでしょうか。首を突っ込んできて殺される、とかならまだ賑やかしなんだなと理解できるのですが。
で、やっとユミが事件を本腰入れて調べ始めたことで真相が見え始めます。この周辺では誘拐された少女の事件や脱北者の失踪事件などが連続して起きているのですが、その事件に自分の母親とおばさまが関係していることがわかるのです!
で、おばさまの息子のサンウが渡米後に精神を病んで自殺したことも発覚。
踏み入ることを禁じられていたホテルの奥へと進むユミ。一方、脱北女性の誘拐事件を追っていた警察もおばさまの犯行を見破り、後を追いかけてきます(まぁ、おばさまに殺されるのだが)。
そこにはうさぎの仮面をつけられたサンウの遺体が…!う、うさぎ?
さらに、壁の中にも遺体がゴロゴロ。おばさまが黒幕だと知るも、発狂している彼女にユミの言葉は届かず。実は母はおばさまに殺されており、そのきっかけは誘拐された少女・ウンギョン(彼女は貧しい家庭に生まれたがピアノを愛し、熱心に勉強していた。そして母はピアニストだった)をおばさまが殺したことを知ったから。
おばさまはユミを死んだサンウと夫婦にしようと思っているのか?両腕を切って血を抜き始めます。しかし、思い出のブローチが不思議な力でユミの手のひらの中に転がり込み、そのブローチをおばさんのこめかみに打ち込むユミ!もう、エクソシストみたいな字面ですね!!
最後、姿を消していた(真相に近付いたため隠されていたが姉が助け出した)妹と脱出したユミと、サンウが生き返って自分のそばに来る幻覚を見ながら事切れる?おばさまというシーンで終わり。
怖いシーンは多いのですが、話がごちゃついていてよくわからないところもあり(おばさまがなんで女性を殺し続けたのかとか、その基準とか、母親は実は悪い人間ではなかったような描き方をしているものの幼い頃のユミに偶然とはいえ性行為を見せていた事実があったりとか、なぜユミが血縁関係がない人に妹を預けようとしていたのかとか)ちょっと残念。あと、ホテルが営業していないのにがっつり電気つけてそこで生活しているのにも違和感。電気代ヤバくない?
そういえば、湖はほとんど出てきていないことにも気付きました。