2017年の映画『キラー・メイズ』を見ました。自宅の中に作ったダンボールの迷路の中で「迷った」と言い張る彼氏を探しに、その彼女と友達が中に入ると、想像もつかないようなスペースがその中に存在しており… という、ホラーとコメディとファンタジーを混ぜたような面白いお話。
ギャグのキレは非常にいい。目まぐるしく展開が変わり、センスの良さに圧倒される。こんなお話思いつけない。思いついても実行に移し難いと思う。
主人公のデイブはなんでも中途半端な男。彼女のアニーが帰宅すると、突然リビングに段ボールの要塞(中は迷路)が。しかもデイブはその中から出てこられないと言い張り、アニーは彼の悪友たちを呼んで助けを求めます。
結局どうにもできず、中に入ってデイブを引っ張り出そうとするアニーたちですが、入り口から足を進めると想像以上に広く、デイブを探すうちに自分たちも迷い始める始末。
デイブとは途中で合流できたのですが、段ボールの迷路は勝手に広がっていき、彼の手に負えないほど拡張していることが判明。迷路の「心臓」を破壊しないと、迷路は広がり続けてしまう…
途中まではほのぼのしているのですが、中盤で仲間がどんどん殺されだしてビックリ。しかも死の描写は赤い毛糸やテープが使用されています。
以下、面白いと感じた展開。
- 全体を通してトランプモチーフが多い。理由はよくわからない
- ゴミの山の中に巨大な段ボールの顔がある。ゴミの中にはダンボールの男性器も…!?
- ミノタウロス(体は人間で足の蹄や頭はダンボール)も出現
- ダンボールで作った騙し絵セット(遠近法を無視)
- 突然登場人物たちがマペット人形化
- 友達が死んでいく中、物見遊山の観光客はピクニック中というギャグ
- 映画を上映している部屋があり、その部屋に入ると映画に自身が登場して体がモノクロになる
- 人間を魅了する隙間があり、そこに体を入れると段ボール化する
- 殺された友達が段ボール人形(女優さんが段ボールをかぶっている)と化す。彼女を撃退しようとすると、唐突に巨大な手が出てくる。この手は段ボールじゃない
- カップルの回想シーンのセットや衣装が段ボール。カットが変わるごとに衣装がころころ変わるのがかわいい
そして彼らは迷路の核を破壊してなんとか脱出。迷路をまとめてゴミ捨て場にもっていくのですが、そこからミノタウロスが出現して…!?
で、エンディングロールはアニメで、クラブに出掛けたミノタウロスが今まで登場したキャラクターたち(死んだ人含む)とあいさつしながらダンスを楽しんでいるというところで終わり。
ものすごい手間と労力とセンスを感じる映画。死んだメンバー(ドキュメンタリー映画の撮影クルーのカメラマン、デイブの友達4人)がちゃんと殺されて見えるのですが、使ってるの段ボールと紙テープと毛糸だけだからね!