『アフリカ館』と竹中直人の狂気には敵わなかった「映画 としまえん」

映画としまえん

としまえんの閉園が決まった今、この映画でしか私達はとしまえんロスを癒やすことができないのでしょうか。「映画 としまえん」。2018年の映画です。主演は元AKB48の北原里英ちゃんです。わりとしっかり演技ができる女優さんが揃っている印象ですが、けっこうトンデモない映画でした。

映画は、なんとニコニコ生配信風の中継映像からスタート。画面の上をコメントが流れていきます。今の若い子はニコニコ動画わかるのか…?と思ったけど、こういうホラー映画を若い人は見ていない気もするからいいのか。
『としまえんの呪い』を確認するために敷地に侵入し、「洋館の扉を叩く」という禁止事項をやってしまった配信者。こういう禁止事項を破ると秘密の場所に連れて行かれ、そこから脱出するにはメリーゴーラウンドに乗ればいいと説明があります。ハイ、もうここで意味がよくわからない。秘密の場所ってなんだよ。
そのうえ洋館をノックすると、謎の「ギェー」みたいな絶叫がこだまするのですが、「鳥だよ、鳥!」というごまかしで納得する人たち。南国の鳥ならあれくらい鳴くかもしれませんが、ここは日本です。

ちなみにとしまえんの呪いとは
「洋館の扉を叩くな」
「お化け屋敷で返事をするな」
「ミラーハウスにある秘密の鏡を覗くな」
みたいな内容。3つしかない!で、これを破ると秘密の場所に連れ去られます。

しかし、この後次々男女が引っ張り込まれるように姿を消し(このあたりは本当に怖い)、流れるコメントは文字化けし、さらにさらわれる男性越しにイルミネーションとメリーゴーラウンドが見えます。ラストだけオシャレ。イルミネーション見ながら死の世界に連れて行かれるってどんな気持ちなんだろう。

ここから本編。主人公の早紀は留学を控えているのですが、たまたま再会した幼馴染・由香の両親からとしまえんのチケットをもらいます。実は由香は3年前に失踪しており、明らかに早紀や仲間たちのせいなんだろうなあというフラグがビンビンです。

そして早紀と友達はとしまえんへ。めっちゃくちゃ混んでるとしまえんを久しぶりに見ました。こんなに混んでるとしまえん見たことないぜ…??ってくらい人がいましたね。
そして、話のタネにととしまえんの呪いを早速始めることになりますが、洋館を叩いたらなんと…口をすごい角度にひんまげた竹中直人が出てきます。ちなみに、竹中直人はここにしか登場しません。由香のお父さん役でもないし、怪しいおじさんってだけ。ここだけ劇場で見たかった。ちなみにこの扉を叩いたかやは早速秘密の場所に連行されました。

かやは過去の世界に飛ばされています。付き合いの悪い由香をハブるクラスメートたち。カラオケの誘いを断られただけでまあまあな嫌味を言い捨てるかやなのですが、そのことを「(自分をハブってカラオケに行ったから)許さない」っていう由香の神経もわからない。行けないならしかたなくないか?
由香は何か事情があるのかな?と思ったのですが、特に付き合いの悪い理由がわからなかったんですね。でも最後まで見ると、「早紀を独占したいから」「他の人間はクズ、嫌い。早紀だけいればいい」みたいな考え方で、メンヘラでした。

消えたかやを探す早紀たちは、今度はお化け屋敷へ。なんとLINEで呪いを破り(メッセージに返信した)、今度は亜美が連れ去られます。今度は亜美を探してミラーハウスに入る早紀、杏樹、千秋ですが、幽霊と化した由香と遭遇して全員逃亡。

ここで、3年前に由香がいなくなった理由が判明します。杏樹が主犯となって由香にとしまえんの呪いを強制的にやらせていた!そのせいで由香は失踪したのだ!という、だいたいの人が既に勘付いていただろう事実が明らかに。
杏樹はずっと『友達なら○○するべき』という理論をふりかざしてきていたのですが、なぜ由香にはそれが適用されなかったのか謎。

外に逃げようとするも地面が陥没していて無理。「メリーゴーラウンドに乗ったら逃げられる」という脱出方法を知っていた千秋はひとりで逃げようとしてそのまま連れ去られます。

その後、メリーゴーラウンドに到着するも電源が入っておらず、電気室に行かなければいけなくなった早紀と杏樹。しかし電気室にはろうそくと由香の呪いのメッセージが爪で刻み込まれた木のテーブル、そして由香の後追いをしたらしい彼女の両親の白骨死体が…
いやいや、なぜ電気室に?(秘密の場所は電気室だったのか??)とか、お父さんとお母さんは骨格標本みたいに白骨化してねえか?とか、だれがお父さんとお母さんの遺体にテーブルクロスみたいなのかけたの?とか、いろいろな疑問が湧き出してきます。

意味ありげに何度も登場した洋館でこそ話が進めばよかったのに…そもそも洋館とは何だったのか(たぶんとしまえんの施設ではなかった気がする)?

電気室では杏樹がつかまり、早紀だけ逃げられたもののもう一度電気室に入っちゃってグダグダ。それでもなんとかメリーゴーラウンドに逃げて、馬にまたがり肩で息をする早紀であります。シュールな光景だ。しかしメリーゴーラウンドは動かず、迫ってきた由香に襲われて気絶。

気がつけば保護されていた早紀。そこで彼女はとしまえんの呪いを由香が実践したその日、彼女と喧嘩したことを思い出すのです。最終的に由香をたきつけて呪いをやらせ、杏樹たち別の友だちを選んだのは自分だったということを…こんなことをどうして忘れていたんだ!3年前だろ!
そして実は呪いの世界から抜け出せておらず由香が部屋に入ってきて、早紀が「ヒッ」となるところで映画が終わりました。

スタッフロール後に、エキストラの人たちがとしまえんの呪いについて噂しているところで本当の終わりなのですが、この映画はなんだったんだ、としまえんは何したかったんだという気持ちでいっぱいです。いや、笑いはたくさんいただきましたけど。というのも、としまえんには狂気のアトラクション『アフリカ館』というものがかつて存在していました。あの凄まじさを思い出すと、どうしてもこの映画がかすんでしまいます。天然にはかなわないってことでしょうか。

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