チャッキーがメンヘラブスになってしまった「チャイルド・プレイ」(2019)

チャイルドプレイ2019

2019年映画「チャイルド・プレイ」を見ました。リブート版です。晩節はあれだけ大量のクソ続編を次々ひりだしたくせに、なぜリブートしちゃうのか。しかも、根本の設定がかなり変更されているため、原作ファンはがっくりしているかもしれません。

たとえば、今回のチャッキーには「AI機能が満載」という設定で、スマートフォンと連携して動画が撮影・記録できたり、自分で学習して成長できるのです。あーはいはい、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』のリブートでもドローンが出てきたよねと嫌な予感(しかし、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』のリブートはなかなかに怖いのでおすすめ)。
リブートするとすぐにドローン飛ばしたりAI機能つけたりするの、安易。

そしてオリジナルでは、チャッキー人形の中に極悪人の魂が宿り、次の魂の器としてアンディの肉体を狙う…という設定でしたが、これも変更。オカルトテイストは一掃され、「ベトナムの人形工場でこき使われてキレたプログラマーが、1体の人形の暴力学習機能をオンにして、そのまま出荷の荷物に紛れ込ませた直後に自殺」というめちゃくちゃな設定になっています。

それにプラスして「ママが悪い男と付き合っていて、その男にいじめられている」とかいうどうしてこうなった設定もあるのですが、何より気になるのが“共闘”するということ。
オリジナルではチャッキーと戦うのはアンディがメイン、そこに事態に気がついたカレンも加わるという印象でしたが、リブート版ではアンディの友達が彼を助けるために奮闘します。さらに、アパートに出入りする刑事(彼の母親がアンディたちと同じフロアの部屋に住んでいる)もアンディを助けてくれるという心強い展開。ちなみにこの刑事がかなりコミカルな感じのキャラなので、怖さを削いでいます(私は好きだけど)。

個人的にはチャッキーがブスになっていたことに驚いた。
いや、もともとは素朴であどけない表情の人形が顔を歪ませて襲ってくるというのが『チャイルド・プレイ』の魅力であり、恐怖の原点じゃないのか?(もともとアメリカの知育人形は顔が怖めだけど)
それなのに、この映画に関しては普段からブス、怒ってもブス。元の顔がかなり怖いです。

ということで物語を振り返ります。

冒頭は前述の通り、ベトナムの工場からリミッターを外されたチャッキーが出荷されるところからスタート。
シングルマザーのカレンは、「目が赤く光って怖い」という理由から返品されたその人形を横流ししてもらい、息子のアンディにプレゼントします。

最初は仲良くしていたアンディとチャッキーですが、すぐに悪い言葉を覚え…と、ここまではまだ微笑ましいですが、すぐにママの猫を殺そうとします。親しみを覚えていた人形に恐怖を感じ始めるアンディ。

しかし、チャッキーのおかげで同じアパートに住むファリンとパグという男女コンビと友達になることができました。しかし「アンディの一番の親友」の座にこだわるチャッキーくん。ホラー映画を見て喜んでいるアンディのために、同じように包丁で襲いかかり怒られてしまいます。このあたり、コントみたいでちょっとおもしろい。

と、ここでチャッキーの興味がアンディから逸れ、ママの恋人・シェーンに向くことに。どうもシェーンと折り合いが悪いアンディ。というのも、実はシェーンは結婚していて子供もいるゲス男(カレンもアンディも知らない)。
シェーンと喧嘩したアンディは「あんなヤツ、いなくなれ」と命じるのですが、それを聞いたチャッキーくんは頑張ります。

帰宅して自宅の壁や屋根にクリスマスイルミネーションを飾り付けているシェーンを襲い、芝刈り機で頭を巻き込んで殺害(髪の毛がかつらのように皮ごと飛んでいくというコメディシーンもあるよ!)。しかも彼の生首を持ち帰ってアンディの部屋に飾ってあげるのであります。わあ、優しい。

それを見つけたアンディ、ファリン、パグは証拠隠滅しようとしますが、プレゼントのラッピングをして家から持ち出そうとしたせいで、なぜかその生首を刑事のお母さんにプレゼントとして渡さなくてはいけなくなってしまうのです。「僕の誕生日に包みを開けてほしい」と懇願し、それまでに生首を盗み出そうとするアンディですが…と、まるで『ハング・オーバー』を見ているかのような流れ。

一方、諸悪の根源・チャッキーを襲って電源を切り、ゴミ捨て場に捨てることに成功したアンディたち。

しかし、アパートの変態管理人が人形を拾い、直してしまいます。この管理人、店子の部屋全部を盗撮・盗聴しているという変態ぶりで、まさに『氷の微笑』みたいなことをしているのですが、一番のお目当てはアンディのママ・カレンのヌード。とはいえ、刑事のお母ちゃんの部屋もきっちり盗撮しているのでストライクゾーンが広いのかもしれない。

この管理人を殺害し(足を切る→管理人、電気ノコギリ付きのテーブルに上がる→テーブルが壊れる→天井のむきだしのダクトに掴まる→電気ノコギリを動かし、ダクトを高熱で温める→管理人さんのお腹が御開帳)、チャッキーはなぜか別の子供の家に潜り込みます。

アンディはそれに気付き、チャッキーを止めようとするものの、次のターゲット・アンディに「親友になろう」と優しく話してくれた刑事のお母ちゃんへの凶行は止められず。自動運転車両を暴走させて殺害するかと思いきや、フツーに車に乗り込んでトドメをさすチャッキーくん。

しかも、自動運転車両をわざわざドリフトさせ、かっこよく駐車→車のライトがチャッキーをさっと映し出すというオシャレ演出まで自分でやっちゃうんだから大したもんだ。このチャッキー、ほっといたらフラッシュモブとか始めそうであります。

気のいい刑事はママの死に落ち込みつつも、アンディが一連の事件に関係していることに気が付き(理由:シェーンの生首が発見されたので)、アンディを追うことに。

カレンママはようやく猫が死んだことに気付き、それがアンディの仕業だと思い込みます(まあ、当然か)。追い詰められたアンディに、チャッキーは「親友は自分だよ」とひたすらアピール。病んでるなあ。
しかし、ファリンとパグはアンディのことを信じることにします。

そして運命の時がやってきた!
アンディはわざわざママの職場まで連れてこられています(監視されている)。奇しくもその日はバディ人形の新型の発表日。チャッキーは赤毛ですが、ブロンドのバディ人形やクマのバディ人形(※顔は全部怖い)が発売されるとあり、ママの職場のお店は大混雑しています。

ですが、チャッキーは今度はママ殺害計画を実行。ママと親友は違うと思うんだけど…というツッコミもチャッキーには届かない。

なんと、プロペラに刃のついたドローンを起動させ、さらには新しいバディ人形たちも殺人マシーン化。お客を次々襲い始め、お店は阿鼻叫喚の地獄絵図になっていくのです。
このあたり、『チャイルド・プレイ2』の工場のシーンだったり、『チャイルド・プレイ3』の学校での戦闘演習シーンだったりを思い起こさせる派手な場面です。
チャッキーに襲われたおじさんの血がかわいい女の子にドバッとかかるところは、スタッフの意気込みを感じましたね。別に血まみれシーンがあったからすごいということではなく、こういう刺激的なシーンをあえて入れているところにチャレンジ精神を感じました。

大人が次々殺されているなか、刑事につかまってカートに手錠でつながれて困惑していたアンディですが、友達に助けられて自由になることに成功。しかし、パグを守るために気のいい刑事が倒れます。
ここですごいのが女の子のファリンが一番強いというか、肝っ玉が座っているんですね。フェミニストに配慮したのか?かわいいからなんでもよし!

店から逃げようとするも、チャッキーがママを捕獲したことを知り、友達を逃して自分は店内に残るアンディ。自動シャッターが閉まってしまい、もう誰の助けも得られません。だからなのだろうか?あっさり襲われて気絶するアンディです。まあ、子供だし…

気がついたら、もうチャッキーに殺されそうになっているアンディ。
しかしながらチャッキーがよく歌っていた「親友の歌」を聞かせて相手をひるませ、なぜか生きていた刑事にも助けられてママと共に生存に成功したアンディ。しかもラストはチャッキーの首をカレンがちぎりとるという怪力エンド。

エンディングはアンディに本当の友達ができていて、一方、チャッキーはまだ生きている…(というよりも、他にも設定をいじられていた人形が存在しているのかもしれない)というあるあるラストで終了。

ヤンデレでメンヘラ、とにかく依存心が強く自分が一番でないと気がすまない。チャッキーはなぜか病んだ女性のメンタリティに近付いてしまったような気がする。ホストに入れ込む風俗嬢のメンタルを覗いてしまったような、お尻がむずむずする、なんとも座り心地が悪い感じ。

とりあえず、今回の吹き替えこそ月亭方正さんに頼めばよかったんじゃないですかね。全体的にまあまあアホらしかったです。ほめてます。

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