アイドルホラーらしいツッコミどころ満載映画「トウキョウ・リビング・デッド・アイドル」

アイドルが主役のホラーは数多くあれど、グループアイドルのホラー映画の駄作率の高さは何なのか。 いろんな理由があると思いますが(予算だったり、脚本だったり、演技力だったり)、つまんなーい!というわけではなく「いたたまれない」気持ちになるのは本当になぜなのか。共感性羞恥にびんびんくる。

しかもこの映画では、アイドルがアイドルを演じたまま、ゾンビたちに立ち向かうという、なんだか大槻ケンヂ原作みたいなストーリーなのであります。

主人公を演じるはスパガの浅川梨奈。スパガが解散したのかそうではないのか(たしか解散はまだですよね)、浅川梨奈がまだ在籍しているのかしていないのか(卒業したっけ??)すらもぼんやりとしている。
さて、この映画の魅力といえば「アクションに力を入れている」ところかもしれませんが、正直私はアクション映画があまり好きではないのでどうでもいい。「ギャグ要素も豊富」なのはいいけど、アイドルホラーでこれをやりすぎると陳腐になるのではないでしょうか。

本題。

主人公・ミクはブレーク寸前のアイドルトリオのセンター。しかし、ゾンビに噛まれてしまい、完全にゾンビ化する前に治療薬を入手しなければいけなくなります。
この世界ではゾンビは珍しいものではないものの、捕まったら隔離されて処分される。みたいな設定。そしてゾンビ化には72時間の猶予があります。

ちなみにこの世界のゾンビについてちょこちょこ解説してくれる(メタ的なキャラ)マッドサイエンティストがいるのですが、この人が車椅子・眼帯・指ぬきグローブ・白衣と非常にわかりやすいマッドサイエンティストの格好をしています。科学者が指ぬきグローブって…

何でも屋の探偵とバディを組み、治療薬を探すミク。しかし、手がかりを持っていた出版社はなぜか爆破されていて(しかし他の建物は無傷)接触できず。なんとか手に入れた情報では、美女ゾンビ・アリシアの血液が血清=治療薬となることがわかります。ロシア人モデルの美女ゾンビなんですが、設定が渋滞しているとはまさにこのことよ。ゾンビというよりもヴァンパイアみたいな見た目です。

一方、ミクを失ったアイドル仲間たちは謝罪会見をしているのですが、この時の格好がバニーガール(風衣装)。マジです。謝る気がねえだろうといいたくなるような服装でペコペコするアイドル仲間に、心打たれるミクであります。

その後、この手の映画にありがちな「政府が治療薬を隠蔽」していたことが発覚。アリシアは都庁の地下に監禁されていることもわかったので、そこに乗り込むミク、探偵、ミクのファンのゾンビハンター如月ちゃん。
しかしなんと知能をもったゾンビの逆襲により、アリシアは殺されそうになっていました(なんで知能を持ったのかとか、そのへんは非常に雑な説明しかありません)。

ここらへんからはアクションシーンの連続となります。敵はブラジャー丸出しで日本刀を振り回すゾンビ美女、豚のお面をつけた肉屋風のデブゾンビ(漫画「鬼畜島」のカオルくんか??もちろん元ネタは「悪魔のいけにえ」なんだろうけど)などなど。そして如月ちゃんと探偵はゾンビの犠牲になってしまうのでありました。しかも、探偵は手榴弾で巻き添え自爆で大破。そこまでの義理がアイドルにあるのだろうか??

ここからの展開もすごい。
ミクはアリシアをようやく見つけ、なんと直接注射器をぶっ刺して血液を抜いて、そのまま自分にその血液を注入するのであります。よくミスらずにすぐ血管に注射器させたねとか、アリシアはいきなりの暴挙に出たこの女になんで怒らないんだとか、血清ってこういうもんだっけとか、いろいろなことを考えれば考えるほど自分がアホになっていく気がします。
しかもアリシア、裸。

ちなみに探偵は死んだまま出番終了ですが、如月は治療薬を投与してゾンビから人間に戻ったという過去を持っているため、その副作用で不死身となっていることがなんとなくわかります。ですが、ここらへんの話は一切触れられません。説明もなし。おそらくミクも不死身になっているはずなのですが、このあたり、続編を作るつもりで考えた設定だったのかな。何も考えてないだけかな。

アリシア、如月とともに都庁を脱出するミク。その目の前には、ゾンビハンターとなったアイドル仲間が登場! 変わらぬ友情に瞳がうるんだところで、唐突にこの映画は終わります。

と、この映画の軸は「私たちはズッ友だからネ!」というアイドルの友情にあったことに驚くわけです。探偵との淡いラブロマンスとか、本格アクションとかではない。冒頭のライブシーンと、バニーガール姿で謝罪シーンくらいしか登場しなかった仲間との友情で映画をしめくくられても困っちゃう。

しかもアイドル仲間役の2人、なぜかひとりが柔道着、もうひとりはランボーのコスプレをさせられているので本当にかわいそう。アイドルっぽくてセクシーな戦闘着なんてもっといろいろあるでしょ…このご時世、10代の女の子がランボーの格好をさせられるというギャグ。ギャグなのか?いや、「戦う人」の記号として考えても古すぎる。

という感じで、ツッコミどころ満載なので、気になる人はぜひ見てみたらいいと思います。
ちなみにミクのファンがヲタ芸でゾンビに対抗しようとするも、あっけなく食べられるというギャグシーンもありましたが、そこは本当に面白くなかったです。

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