安全地帯からゾンビの殺戮を鑑賞しなければいけない人の気持ち「デス・フロア」

デス・フロア

2017年のイタリア映画。イタリアのゾンビ映画はかなりねっとりしている印象がありますが、この映画も非常に濃いお話です。エレベーターに閉じ込められ、少しだけドアが開いた状態でゾンビパニックに巻き込まれた主人公。自分の身は安全なものの、同僚が次々とゾンビに殺されてゾンビになっていくさまをただひたすら鑑賞するしかできない…というユニークな設定。

主人公のクラウディオは仕事に命を捧げた男(パワハラ風味)で、浮気もやりたい放題。かつての愛人とエレベーターで遭遇したときには股間を握られて怒られるほどです。
嫁のことは少しうとましく思っていますが、「牛乳買ってきて」とお使いを頼まれたらOKするほど仲がいい夫婦。しかし「牛乳買ってきて」は万国共通なんですね。

ここでクラウディオの乗っていたエレベーターが動かなくなり、扉をこじ開けるもやっぱり完全には開かず外には出られない状態に。会議に遅れている彼は慌ててイライラするものの、ドアの隙間から浮気相手がゾンビに襲われるのが見えて大ショック!

ここでゾンビを見て泣く主人公。そりゃ大人でも泣くかもしれませんね。
しかも浮気相手がゾンビになって戻ってきます。さすがゾンビになりたてなので、歯が綺麗なのが少しシュールであります。外に出られない、中にも入れない状況。
ここからは通りすがる同僚がすぐやられ、食われ、の繰り返し。

しかし唐突に警察官が助けにやってきます。警察官はクラウディオを助けるためにエレベーターの電気を復旧させようと屋上に向かうことに。しかし、なぜか警察官がぐるっとまわりこんでエレベーター天井の扉の中に入ってきちゃいました。なんでや。

ここで警察官のマルチェッロがゾンビに噛まれていることが判明。うーん、クラウディオが巻き添えになるの確定じゃん。と思っていたら「自分が寝たら殺してくれ」と頼むマルチェッロ。介錯を頼みにきたというわけですね。
しかし腰抜けのクラウディオは、結局ゾンビ化してから射殺。ようやく見つけた仲間を失い落胆するクラウディオでしたが、妻から電話があり生きていたことがわかってから急にやる気になって脱出。マルチェッロの遺体を踏み台にしてエレベーターから脱出します。

いきなり外に出て(ゾンビを殺しつつ)街をふらふらする主人公。「28日後…」みたいなノリをいきなり持ってこられて困惑しますが…

しかも襲ってきたゾンビを軍が撃ち殺してくれます(軍は非常にやる気なさそう)。この時、クラウディオはポカーンとしているのですが、ここで終わり。

あれ?クラウディオもゾンビに間違われて撃たれたのか?と思ったのですがそういう演出もなかったような…??見逃した??よくわからない着地点の映画でした。「クリスマス・キャロル」みたいに、意地悪な成功者が改心する話とも少し違うし。

自分は決して襲われない。けれど出ることもできない。そんな場所から、ゾンビパニックをひたすら見続けなくてはいけない。という気持ちも理解できるようなできないような…?とにかく、不思議な映画でした。もしかして「ゾンビ」のラスト間際のエレベーターで主人公の恋人が襲われてゾンビ化するシーンをオマージュした映画なのかな?とは思いましたが、確信がない。

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