ゾンビ映画の『クズ』を最もわかりやすく体現した主人公「ラスト・ドア」

ラスト・ドア

2018年のイタリアゾンビ映画「ラスト・ドア」。ちょっと変わった内容なのが、難民がイタリアに住むことに反対してデモに参加していた男が、ひょんなことから難民たちとともに襲ってくるゾンビから身を守り立てこもることになるという設定。
非常にベーシックなゾンビ映画ですが、ちょっとしたユーモアあり、さらにラストの救いようのなさは「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」に劣らないものがあるという印象。

主人公のエンリコはイタリアにやってくる難民たちが大嫌いでデモに参加していたのですが、突然ゾンビが出現してしまい、難民たちがいる施設に逃げ込む羽目に。しかもイタリア人スタッフがゾンビに噛まれてしまい、難民たちと生活することになります。
ここで難民がゾンビを見て「あれはゾンビだ!だってドラマで見たもん!」と言い出す(よくある「俺の国では死者は簡単に蘇るのさ…」的なノリはない)というジョークもありつつ、立てこもり生活を始めるエンリコ。とはいえ、すぐに食料は尽き、外に出ようとしてもすぐにゾンビにしゃぶりつくされ…と何もできない状況。
しかも感染を隠していた男性がまんまと発症するわ、同じタイミングでゾンビががんがん建物に入ってきちゃうわ、とにかく爪が甘い。脱出経路は考えておこうぜ…

エンリコは立てこもり生活を通じてマイノリティであるつらさを体感しつつ、仲良くなった少年・アリを手助けしながら出口を目指して逃げ続けます。逃げ遅れた難民たちはガブガブ噛まれ、引きずり降ろされ、隠れていたところをがっつりゾンビと目が合って襲われ…と、どんどん殺されていきます。
エンリコに冷たくしていたガタイのいい難民の男性(この人は子供好きらしく、アリを助けているのを見てエンリコを手助けしようと思ったらしい)も加わり、この人がハンマーでゾンビをガッツンガッツンぶっ叩きながら進みます。が、大量のゾンビになすすべなく、身代わりになって死亡。

ようやく出口にたどり着いたものの、外になかなか出られないエンリコ。ゾンビが迫るなか、時間稼ぎにとアリをゾンビに向かって突き飛ばし、自分だけ外に出たエンリコは思わずニヤリ。しかし、次の瞬間彼は頭をカチ割られて死亡。ガタイのいい男性がまだ生きていて彼に追いついたのでした。男性はアリの血だらけのサッカーボールを見つめながら涙を流す…という終わり方。

いやあ、久しぶりに見ましたね。ゾンビ映画におけるお手本のようなクズ。「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」のおっさん、「ドーン・オブ・ザ・デッド」の金持ちのおっさんあたりはド定番のクズですが、子供を突き飛ばして自分が助かろうとするって、まさに外道。ストーリー自体はまあまあ既視感があるのですが、難民を入れ込んだ設定(個人的に黒人の俳優さんとゾンビ映画の相性はホントに大好き)と主人公のキャラクターのクズさ加減でかなり驚かされた作品でありました。

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