その母は『ミザリー』ではなくまさに毒母「ユージュアル・ネイバー」

ユージュアル・ネイバー

2013年のアメリカ映画「ユージュアル・ネイバー」を見ました。WOWOWで公開されたときには「マッド・マザー」というタイトルでしたが、原題は「THE HARVEST」。この『収穫』ってタイトルのほうがかっこよくないですか?

主人公のマリアンは父が死に、祖父母に引き取られた少女。学校にもなじめない(予算の都合かその描写はない)彼女は森を散歩しているなか、ある家を見つけます。そこには病弱な美少年・アンディが住んでいるのですが、なぜかその両親はマリアンを拒絶しており…というはじまりかた。

母・キャサリンをあの名作「ミザリー」にたとえた意見をどこかで見ましたが、あれはヤンデレストーカーであり、こちらはまさに毒母という印象。夫のリチャードは看護師、キャサリンは医師のため、常に夫をも虐げ自分の意見を通すキャサリン。アンディが自分の言いつけを聞かずにマリアンと遊び続けたことで、彼のおもちゃを捨て、部屋の壁を真っ白に塗り直し、彼のトウモロコシ畑をぐちゃぐちゃに刈り込み、大事なものを全部奪ってしまうのです。ホラー描写というより、母親が子供にはよくわからない理由でキレッキレにキレまくっている時の幼き頃の恐怖がフラッシュバックしてくる感じの気持ち悪さ。

マリアンはその異常さに気付き、さらには秘密の地下室まで発見してしまいます。そこには謎の少年がいて…??
彼の名前は、かつて嬰児誘拐された少年の名前と一致。つまり、アンディの家にはなぜか誘拐された少年が監禁されているというわけ。そのことを周囲に訴えても、なぜか誰も取り合わないというホラーにお決まりの展開がありつつ(まあ、キャサリンが医者だからまさかってのがあるのかもしれません)、とうとうキャサリンはアンディのために少年から心臓を移植すると言い出し、リチャードを困惑させるのであります。

そう、もちろん想像通り、マリアンと知り合ったほうの少年こそ誘拐されてきた男の子。地下にいたのが本物のアンディ(なんで本物のほうを隠しているのかはよくわからないけど、地下のほうが病室がフル設備だからか?)なのであります。彼はアンディの内臓のスペアとして存在しており、既に肝臓を切り取られて提供させられているのですが、そんなことは知りません。もちろん心臓をとられそうになっていることも知らないのです。マリアンは自分の友達を救うために家に侵入し、彼を連れ出しますが、ずんずん追いかけてくるキャサリン。
追いつかれるものの、リチャードが妻の蛮行に絶望し、子供と心中(本物のアンディは心臓を移植してもどのみち助からない)。それに気付いたキャサリンは大慌てで家に戻るものの、リチャードが放った火に巻かれながら夫と息子にしがみつき、そのまま焼死してしまいました。

そしてその後、リトルリーグで憧れの野球を楽しむ少年と少女の姿があった…という爽やかな終わり方でした。意外とラストのママの追いかけ方があっさりしているので、そこまで怖くはないかも。ただ、キレキレに怒鳴りまくるママの姿が一番怖い。アンディが健康だったら、キャサリンはあんなに病まなかったのでしょうか?それとも…??

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