まるで『ワンダと巨像』のワクワク感「トロール・ハンター」

トロールハンター

2010年のノルウェー映画「トロール・ハンター」。北欧の妖精…というよりも、日本の鬼に近い存在の『トロール』を題材に、そのトロールをハンティングする謎の男と彼に密着する撮影隊のモキュメンタリーです。
ホラー映画によくある映画学科の学生がわらわらと出てくる感じですが、トロールの描写が見事すぎてものすごくワクワクする。トロールとの逃亡劇の間に足の隙間をくぐり抜けたり、息を殺してこそこそ逃げてみたり、VRで見てみたいなと思わせる演出も多いのです。
監督のアンドレ・ウーヴレダルさんは「ジェーン・ドゥの解剖」の監督でもあり、どちらもハイセンス!「ジェーン・ドゥの解剖」を見てからずっと気になっていたのですが、ようやく見られました。インパクトある恐怖演出と特出したアイデア力、企画力には唸らされますね。ただ、POVには私ですらちょっと飽きてしまっているので、入り口で嫌っちゃう人もいそうですけど…

トロールハンター1

バスケ中みたいな立ち方のトロールですね。

密猟者のドキュメントを撮影しようとしていた学生たち。密漁をしている様子のハンスを尾行していると、なんとトロールに襲われてしまい、車がぐちゃぐちゃになってしまう。

実は政府の命令でトロールの管理やハンティングを行っていたハンス。しかし反骨心が強い彼は政府との契約を破り、学生たちに記録を残させることにする。「トロールはクリスチャンの血をかぎつけるので、その宗派のものは密着に参加できない」「光に弱く、当て続けると石化する」などトロールルールを学ぶ学生たち。
一方ハンスのハンティングの跡は、別部隊が隠蔽を行っているし、その血液を研究している施設もあるなど、大規模な組織であることも描かれる。

1つの胴体にたくさんの首がついているトロール、羊を食べるトロールなどと遭遇し、特には襲われて食べられそうになりつつ、何度も撮影を重ねる撮影隊。しかし、トロールの巣に迷い込んだ際にカッレがクリスチャンであることを隠していたと告白、彼だけが見つかってばりばり食べられてしまう。
それでも、残りの学生はハンスの生き様やトロールのインパクトに心奪われ、彼と行動し続ける。
新しいカメラマンを呼び寄せ、大きなトロールとの対峙を撮影することにした学生たち。ハンスは賛美歌でトロールを呼び寄せ、光を当てるものの充電が切れてしまい(ドジっ子)、巨大なトロールに追いかけられる。車で足の間をくぐり抜け、パンチを避け、逃げ続けるハンスたち。その結果トロールは石化するも、隠蔽部隊に捕まった学生たちは行方不明となってしまう。

という、POVにありがちな行方不明エンド。しかし、このトロールのビジュアルがとにかくおもしろこわいので、ぜひ見ていただきたい。「ワンダと巨像」とか思い出してしまう。