願うたびに誰か死ぬ「7 WISH/セブン・ウィッシュ」

7WISH

2017年のアメリカ映画「7 WISH/セブン・ウィッシュ」を見ました。
願いを叶えてくれる代わりに、大事な人の命が奪われていくというホラー。少女向けホラー漫画にありがちな設定のような気もしますが、中国テイストを取り入れているところが目新しいのかもしれない(願いを叶えてくれる箱が中国のもの)。また、ヒロインの相手役の男の子がアジア系というのは画期的かもしれない。アジア系とアフリカ系の役者さんってホラーだとたいていおふざけ即死キャラのイメージだからかな。

ネタバレ

主人公・クレアは母が目の前で首吊り自殺をしたという暗い過去をもっていた。
高校生になったクレアだが、父とその相棒のカールはゴミ拾いをして生計を立てており、それを級友たちからからかわれるという生活に嫌気がさしていた。しかも、イジワルな女の子・ダーシーの彼氏・ポールに片思いをしているクレア。
しかし、父親が拾ってきた箱を誕生日プレゼントとして渡したことで、彼女の人生は大きく変わっていく。

ダーシーと言い争いになったクレアは、父親のゴミ拾いの動画を拡散され、さらに笑い者になる。そのいらだちから、「ダーシーが腐ってしまいますように」と願うクレア。すると、その日の夜に彼女の足が腐りだし、つま先、顔、足の一部がなくなるかもという事態にまでなってしまう。だが、その代わりに愛犬のマックスが姿を消してしまった…
実はマックスは死に、床下でねずみたちに食べられていた。

クレアは箱の正体を知りたいと、同級生のライアン(アジア系、おそらく中国人?)を頼る。

クレアは箱の秘密に気づかず、願い事を続ける。「ポールが話しかけてくれるように」という願いでは、父と折り合いの悪いオーガストおじさんが風呂場ですべって死亡し、「おじさんの遺産が全部自分のものになるように」という願いでは近所の親切なおばちゃんがディスポーザーに髪を巻き込まれて首が折れて死んでしまう。だが、遺産を手に入れて今までの貧乏暮らしを忘れ、ファッションやメイク、髪の毛にお金をかけまくるクレア。
お金に余裕が出てきた父は、またサックスを始める。

ポールからデートに誘われたクレアは有頂天だ。一方、ライアンから箱のことを調べてくれる人を見つけたと連絡が入る。実はライアンはクレアに片思いをしているが、彼女はそれに気が付いていない。
ライアンの紹介で出会ったジーナは、箱に書かれた中国語を翻訳してくれる。
・箱はルールに従えば7つの願いを叶えてくれる
・願い事をするときには、箱に触れなくてはいけない
・箱を放棄すれば、かなった願い事は元に戻ってしまう
そしてこの箱にはルーメイという女性の願い(祟り)が込められていた。家族が死んで復讐を誓った彼女が、中国の悪魔の助けで裕福になるも彼女自身も自殺させられていた。

そんな話にを聞いても、「まだゴミ拾いを続けるパパをやめさせてほしい」と願うクレア。ジーナは真相を悟るが、ライアンに連絡する前になにかの力で殺されてしまった(彫像に突き刺されて死亡)。ライアンはその遺体を見つけ、「血の代償」について知る。箱はオルゴールになっており、音楽がなりやんだ時に血の代償が支払われるのだ。

ポールと付き合い始めたクレアは、それまで仲良くしていた友達に冷たくするようになり、裏切り者扱いされる。
「人気者になれますように」と願ったクレアはさらにチヤホヤされるようになるが、一方で母の自殺のことを未だに思い出し、苦しい思いを続けていた。
オルゴールを断ち切ろうとするものの、それはどうしても手元に戻ってきてしまう。

クレアは以前の友達を頼り、箱を捨てることにする。
しかし、ポールとの付き合いを続けていたクレア。彼はだんだん彼女への執着を強め、おかしくなっていく。
そして、人気者になることを願った彼女は大事な友達のひとり・メレディスをエレベーターの落下死で失ってしまう。
(ここらへん、パパが死ぬのかメレディスが死ぬのか惑わせるシーンもあります)

7つの願いを叶えた瞬間、クレアの命は持っていかれてしまう。
箱を壊そうとしても、燃やそうとしてもどうにもできず、絶望するライアンとクレア。一方、クレアがかまってくれないことでポールは目の前で死のうとし、そのせいで箱がなくなってしまう。ライアンはクレアを慰めてくれた。

しかし箱を手放したことでオーガストおじさんの遺産は税金の未払いで没収され、パパもゴミ拾いに戻り、いじめも復活した。しかし、友達のひとりがクレアの箱を盗んでいたことがわかる。そのせいで、友達は落下死してしまった。

クレアはどんどんおかしくなり、「ママが自殺していない人生を送りたい」と願ってしまう。気が付くと彼女はそのとおりの人生になっており、妹もできている。しかし、クレアはそこでママもこの箱のせいで生命を奪われたのだと気が付く。そして、彼女の願いの代償として、今度は父がチェーンソーで首が切れて死んでしまった。

最後の願いとして、時間を巻き戻したクレア。誰も死んでおらず、元通りの生活に戻ったクレアは友達に電話したり、パパとゴミを拾ったりした後、ライアンに話しかけてキスをして箱を託し、車にはねられて死んでしまう。
(ちなみに、ポールの彼女がクレアのことを前方不注意で轢き殺したため逮捕される)
ライアンはその箱を埋めるように頼まれたものの、彼自身が箱に魅入られ、願い始めてしまう…

感想

この映画はエンディングが素敵で、意味ありげなシーンが羅列してあるのですが、ちょっとしたMVみたいですごくキレイです。黒いバースデーケーキ、燃えるドールハウス、血で溢れそうなバスタブ、やはり燃えるバレリーナのオルゴールなどダークな映像が目白押し。
映画の内容は若い子向けという感じもしますが、CGも脚本もかなり面白いと思います。「未体験ゾーンの映画たち」で紹介された映画の中では完成度がメチャクチャ高いと思う。おすすめ。