漫画「惨殺半島赤目村」が素晴らしすぎる。

惨殺半島赤目村

マンガアプリで幸運にも全話読むことができた(といってもコミックス2冊分)「惨殺半島赤目村」。久しぶりにスゴイ!と思ったミステリーホラーコミックです。
「花園メリーゴーランド」とも似た展開があるのですが、殺人事件が絡むうえ、後味は最高に悪いです。

狂った村に「儀式」「連続殺人事件」が絡んだら、もうドロドロのネトネトです。
忘備録としてここに記しておきますが、できれば先にコミックスをお読みになることをおすすめします!

登場人物

三沢勇人:優しい青年医師。影がある。右手にグローブをはめている。あるトラウマを抱え、東京から赤目村にやってくる。
笹間秋奈:明るい女性。10年前に事故で夫を亡くした未亡人。現在は、村で唯一の居酒屋と雑貨屋を切り盛りしながら、姑とその孫娘の面倒を見ている。
六車村長:赤目村の村長。リゾート開発の事業で失敗した過去を持つ。村を変えようと強く思っており、そのせいで青年団と折り合いが悪い。
逢坂義次:青年団団長。六車と対立している。志保という美人な妻がいる。

六車八蔵:漁師。六車の分家の出であり、村長の下についている。秋奈の死んだ夫の弟分だったため、秋奈のことを慕っている。
逢坂文江:逢坂義次の妹。中学2年生。
高橋耕太:文江の同級生。妹の瞳と共に、激しいいじめを受けている。三沢に何かを伝えようとするが…?
丹沢先生:村の分校の教師。赤目伝説に魅せられている。三沢にアドバイスをするなど、力になる。青年団の考えを支持しているが、彼らからは六車派だと思われ、嫌われている。

閼伽目祥子:秋奈の姪っ子。両親は既に他界している。学校も休みがちなため、高校生の年齢だが、文江と同級生。三沢のことを見つめている…。
花田スミレ:「乙女組」のメンバーのひとり。ゴシックロリータやコスプレの恰好をしながら農業に勤しんでいる。背が小さく、元気がいい。
六車吉宗:六車村長の弟。警察官。
高橋瞳:耕太の妹。彼女も何かを知っているようだが…?

鈴木ショウ:都会に住んでいる、三沢の親友。オカルトや歴史が大好き。三沢のことを誰よりも理解しており、心強い味方になる。作者の別作品『鈴木先生』の主人公と酷似したキャラクターだが、作者曰く“演じている俳優が同じ”とのこと。

青年団の若者

出羽:名前通り、出っ歯な男。背が高い。
多良目:黒髪で、真ん中分けにしている。
千葉:チビ。顔にニキビがある。
五里:出羽と同じくらい背が高い。ゴリラっぽい感じ。

乙女組

ハル:二つ結びの髪型がトレードマーク。ガタイがいい。乙女組のリーダー的存在。
アカネ:サザエさんのような髪型。スリムな体型をしている。
キミ:アカネと仲がいい。肩までのボブの髪型をしている。丸顔。
ノリコ:アカネと仲がいい。責任感が強い。
ユカ:若い女の子。黒髪。明るい性格。
マキ:乙女組のメンバー。
チエ:乙女組のメンバー。
レナ:乙女組のメンバー。

子供たち

緋呂と雅仁、マサル、美咲、コータロー、キッタ、健斗たち

第1話 三沢勇人が村に来た日

三沢が赤目村にやってくる。八蔵の船に乗せてもらい、秋奈と共に、村と初対面する三沢。
さびれたリゾートホテルと観覧車の毒々しさに驚く。

偶然にも、埠頭に、女の子が立っているのを見つける三沢。不思議な感覚が走る。

六車村長のの盛大な出迎えがあったものの、態度の悪い青年団のせいで場は白けてしまう。三沢は六車村長が連れてきた医者であり、そのおかげで赤目村は無医村ではなくなったものの、三沢は村長派としてのレッテルを貼られる。この村では、村長派と青年団派が静かにいがみ合っている(村長はスルーしているが)。

村長の車に乗り、広大なポピー畑に驚く三沢。
赤目村は、昔は、生薬作りで成り立っていた村だった。古代から生薬の栽培や調薬の秘法が伝えられていたのだ。

先祖代々、神社を守り続けている閼伽目家の嫁だった秋奈。だが、彼女の夫は10年前に事故死していた。三沢は、美人の秋奈のことが気になっている。

村長派、かつては村でけし栽培もしていたことを打ち明けるものの、法律で禁止されて以降、ポピー栽培をしていると話し続ける。毒々しい観覧車は現在は使われておらず、その軋む音が村中に響き渡っている。
赤目村は、現在も「リゾート地帯」以外は携帯電話は通じない田舎なのだ。

分校で歓迎パーティが開催され、三沢は教師の丹沢と出会う。歴史好きな丹沢は、興味を示した三沢に赤目村のルーツを語る。

赤目神社の祭神「少彦名と妻神(赤目姫)」について話す丹沢。医薬を伝え広めた少彦名だが、本当は、赤目姫が少彦名に医薬のことを伝えたのでは?と丹沢は知識を披露する。
村を愛している丹沢は、六車村長のことが嫌いなようだ。

分校の子供たちに囲まれる三沢。三沢は子供が好きなようで、積極的に話し込む。ここで、逢坂義次の妹・逢坂文江と出会うが、そこに突然、汚い兄妹が現れる。三沢が話しかける前に、彼らは逃げ出してしまう。

ドヤドヤとやってきたのは「乙女組」だ。彼女たちは、全員よそ者であり、今も村に伝わる薬草を育てている。あっという間に女たちに囲まれる三沢。

青年団も三沢に挨拶に来る。タバコを渡される三沢。「輸入品の、ノドにいいタバコ」らしい。しばらくタバコをやめていた三沢も、また吸い始める。
ここで、秋奈は町で唯一の雑貨屋と居酒屋の店主だと知る三沢。彼女はとても評判がいい。
六車の乱開発のせいで、地滑りが起きやすくなってた赤目村。そのせいで夫の次郎が死んだのに、恨むそぶりもない。青年団からもつらく当たられていたのに、水に流して、明るく振る舞っている。しかも、生き残りのおばばと孫娘の面倒を見ているのだ。
ツタばあさんと巫女の祥子の話を聞き、三沢は埠頭の少女が祥子なのだと推測する。

片手に手袋をつけている三沢に、それをとってほしいと言う子供たち。だが、逢坂の「赤目様が来るぞ!」という怒声を聞き、すぐにしょんぼりして謝る。

77年ぶりに赤目神社の古い祭りが復活・再現されることも、三沢は初耳だ。そこで、祥子が神聖な儀礼と舞いを披露する予定らしい。

パーティも終わり、家に案内される三沢。なんと、下品なリゾートマンションのスペシャルスイートルームが彼の家らしい。ガックリする三沢。2階が診療所、1階は秋奈の店だと案内されるが、「ぽぴい診療所」というダサイネーミングに、またガックリする。
だが、秋奈は「村長だって、三沢が期待外れだと思っていることは肌で感じている」「喜ぶふりだけでもするべきだ」とたしなめる。

家に入り、やっと1人になった三沢。
彼の手袋をはめた手には、何か秘密があるようだ。

さっそく秋奈の居酒屋に食事をしに行く三沢だが、青年団に軽い挨拶しかしなかったことで絡まれてしまう。

第2話 惨劇の幕開け

一触即発のムード。三沢は謝るが、青年団はだらだらと絡み続ける。秋奈の助け舟で、三沢のほうが青年団の若者たちより年上だと知り、彼らも驚く(三沢は童顔のようだ)。逢坂は彼らをたしなめるが、一方で「酒がまずうなった」と彼に敵意をむき出しにする。

丹沢と八蔵のテーブルに合流する三沢。丹沢は青年団派だが、彼らから受け居られていない。
八蔵は、秋奈の元夫の弟分だった。彼も六車の分家の出なので、青年団との付き合いが薄い。

夕食を受け取りに来た祥子と再会する三沢。じっと三沢を見つめる祥子に、三沢はドギマギする。秋奈は店をやりながら掃除や洗濯など、おばばの家の面倒を見ていることがわかる。

診療所の準備の日。青年団は乱暴なところもあるが、礼節には厳しい。ここで、彼らの嫁を見て、「村には美人が多い」と思う三沢。

診療所も片付き、秋奈に街を案内してもらうことになる。
六車家はもともと武家、漁師の一族に交わっていき、今の六車家になったと話す秋奈。

「乙女小屋」も見えてくる。乙女組(外からやってきた未婚の女性たち)はまとめて同じ場所に住んでいるのだ。秋奈も、昔はそこに住んでいたことを話してくれる。

そして秋奈は、三沢を神社の跡に連れて行く。そこには、台風被害が残ったままだ。
本当は森林伐採のせいではなく、ご神体を動かしたから、村が災いに襲われたのだと秋奈は語る。彼女の夫の次郎は、おばばと祥子を救った後、土砂に押し流されてきた木が激突して死んだのだ。

続けて案内された御料畑は乙女組が作ってる薬草の畑だ。薬草は、未婚の女しか触れない。
だが、三沢は畑の中に、猛毒の植物があることに気が付き、ビックリする。
さらに、古代に伝わった南国の植物を育てていることにもまた驚く三沢。歴史的にも貴重な事実だが、「島を踏み荒らされたくない」という意向で、内緒になっている。

乙女小屋のそばにある加美ヶ渕にも案内された。それは切り立った崖で、20メートル以上もある。
落ちたら、ひとたまりもないだろう。

また分校へやってきた2人。やはり、耕太と瞳だけいじめられていることを知る三沢。
トイレに行った際、耕太は何かを三沢に手渡そうとする。だが、邪魔が入り、耕太は三沢に「パーティの後にここに来て」と囁いて逃げてしまう。

夜。診療所の待合室で、開院祝いのパーティが始まる。だが、盛り上がっているところに、乙女組のマキが、文江が加美ヶ渕の崖から落ちたと、三沢を呼びに来る。
彼らは全員で崖に向かうが、そこには、木に引っかかっている文江の姿があった。

第3話 ダークゾーン

木の枝は、文江の体や顔を貫通している。
三沢と青年団の3人で文江を引き上げることになるが、的確な指示で、三沢は医師らしいところを見せる。その一方で、祥子が向こう岸から見ていることに気が付く三沢。彼女の視線の先に、耕太の運動靴があった。なぜ、耕太の運動靴が??
三沢の救命処置の後、ヘリで搬送される文江。命は助かったようだ。
だが、その手に握られていた謎の植物?らしきモノを、三沢はそっと自分のポケットの中に入れる。

その後、崖に耕太もいたのではないかと三沢は証言するが、なぜか村人たちは意に介さず、スルーされてしまう。

次の日。疲労から寝過ごした三沢だが、待っていたのは六車の弟・六車吉宗だった。彼は県警の警部補らしい。ろくに捜査もされていないなか、彼は文江の事件を「事故」と断定する。そして、耕太は家にいるとまで言い出す。反論しようとする三沢だが、周囲の雰囲気に気圧されて何も言えず、黙るしかできない。

このトラブルが、事故で処理されることにショックを受ける三沢。
誰を信用していいのか?
三沢は、秋奈に後押しされて自分で事件を調べることにする。

まずは学校に行くが、耕太は病欠だと丹沢から告げられ、深入りしない方がいいとアドバイスされる。耕太の妹・瞳は学校に来ていたので、彼女に文江が握っていた謎の植物?を見せるが、異常な拒否反応を示される。耕太が渡そうとしていたのは、やはりこれだったようだ。

三沢は、瞳の後をつけることにする。
村の集落とは違う、岩場の中にある2軒の家。そこには、アル中の中年兄弟が住む家と、耕太と瞳の家があった。ここで偶然、耕太の母親・早苗に遭遇する三沢。彼女は納屋に三沢を隠し(彼女の夫に見つかったら「殺される」から)、出羽が「耕太がおらんことを誰にも言うな」と命じてきたことを明かす。やはり、耕太は家にいない。

耕太の父がアル中でDVもしていることを知り、早苗たちを助けようとする三沢だが、それを聞いて喜んだ早苗から、ズボンを脱がされそうになる。彼女はお礼をするつもりらしいが、三沢は慌てて拒否する。父のアル中のせいで、兄妹は集落から切り離されている。だが、村は「試し」として、酒とタバコを差し入れし続けている。こんな環境では治らないと三沢は治療を進めるが、聞き入れない早苗。そこに、早苗の夫が帰ってくる。逃げる三沢だが、その背後では、やはり夫に殴られている早苗の姿があった。

乙女小屋のほうに逃げる三沢。なぜか、青年団の五里と多良目が道を降りてくるのを見つける。身を隠す三沢だが、偶然耕太の靴が河原のほうに落ちているのを見つけ、拾いに降りる。だが、崖を登って戻ろうとしたら、誰かに手を蹴られる!
なんとか三沢は崖にしがみつくが……これは誰の仕業なのか?

第4話 秘密

三沢はなんとか自力で崖を上がるが、スミレと遭遇してしまう。隠していた耕太の靴も見つかるが、スミレは彼を助けてくれるという。たまたまキミやユカの会話を立ち聞きした三沢は、彼女たちが五里や多良目と付き合っていたと解釈するが、真実は違っていた。

乙女小屋は、村営の娼婦小屋だったのだ。スミレもまた、その一員だった。
しかも、早苗はスミレの姉だった(つまり、耕太と瞳は彼女の甥と姪ということになる)。早苗とスミレは身売りされ、姉妹でこの島へ来た。だが、この島では、運が良ければ男性に水揚げされ、結婚して、農家に入ることもできる。薬草の知識も学ぶことができる。外よりはよっぽどましだというスミレ。
そして、スミレは「耕太は生きている」と断言する。

帰宅した三沢だが、自分を待ち受けている秋奈を見つけ、顔を合わせられないと埠頭でひとり悩み込む。誰も信じられない。
とにかく、出羽が絡んでることが確実だ。

ここで、三沢の手袋の秘密が明らかになる。彼はモノに触ると持ち主のことがわかってしまうのだ。見えなくていい事実まで知ってしまうこと、それを見たら吐き戻してしまうことから、皆から嫌われ、疎まれ、怪しまれてきた三沢。だが、偶然ショウを紹介される。彼のアドバイスで、能力を封じる鹿革の手袋を身に着けるようになったのだ。

封じてきた能力だが、ここで思いきって、耕太の靴を触る三沢。文江と耕太が言い争い、2人まとめて誰かに突き落とされたヴィジョンを見るが、やはり文江の手の中の謎の植物は耕太が持っていて、三沢に渡そうとしていたものだということもわかる。

力を使った副作用で吐いているところを祥子に目撃される三沢。祥子はそのまま逃げてしまう。

その夜、秋奈の店へ向かう三沢。「むしろ、関係者全員の前で話した方が、ネタをひねりつぶされないだろう」という判断から、青年団の面々、丹沢、村長、八蔵、秋奈の前で、耕太の靴のことを打ち明ける三沢。そして、耕太が行方不明であることも改めて公表する。

だが、ここで突然、逢坂が「真剣に耕太を探すから、警察に訴えるのはやめてくれ」と言い出す。戸惑う三沢。青年団のなかには、「耕太が犯人」と言い出す者もいるが、三沢は「耕太が犯人じゃない」と主張を続ける。逆に、出羽が犯人では?と言い出す三沢。犯人は村長だと言い出す青年団の若者も出てきて、場は混乱する。
丹沢はこの争いを見て、醜い光景だと泣き出してしまう。

結局、六車村長からも頼まれ、犯人は捜すものの、警察に届けるのは先延ばしにすることになってしまった。
秋奈と二人きりになった三沢だが、「村長と青年団の考えは全く違う」と告げる秋奈。
そこに、おばばが倒れたと連絡が入る。

慌てて駆けつける秋奈と三沢だが、儀式の場で、暗がりから三沢の足首を掴んで這いずってきたおばばは、こう告げる。
「目一筒の赤目大神様(まひとつのあかめだいじんさま)がお怒りじゃ」

第5話 暁の炎煙

おばばの容体は落ち着いた。能力を持っていたものの、かつての災害から村を守るため、その能力を使い果たしたというおばば。今年祭りをしなければ、村は火と土と水で滅びると予言する。
姫山が噴火し、地面は割れ、村は水に沈むだろう。そのためにも祭りをしなければいけない。
そして、おばばは三沢の能力を簡単に見抜いてしまう。

三沢は帰宅し、ふと乙女小屋にかつて暮らしていた秋奈も、元娼婦だったのだと気付く。だが、彼は無気力にタバコを吸い続ける。

しかし、今度は「耕太の家が火事だ」と知らせが入る。かけつける三沢。耕太の両親と、隣家の兄弟2人は焼死体で見つかった。だが、瞳は行方不明だ。
「黒又の商一と周二」の兄弟も治療が必要だったが、村の人間たちは彼らを森の奥に押し込め、フタをしていた。この火事は失火と言い出す青年団の若者たちだが、絶対に放火だと推測する三沢。怒り出す逢坂。青年団で犯人を捜すことになり、三沢は検死を担当する。
タバコをふかし続ける三沢。

秋奈は、「おばばが三沢を少彦名と思いこんでいる」と三沢に告げる。照れる三沢。
少彦名と赤目姫は、2人とも能力者だったとも言われている。だからこそ、秋奈は三沢にも何か特別な能力があるのではないかと疑うっている。

診療所にやってきた乙女組。スミレは、三沢に「耕太と瞳を匿っている」と耳打ちする。しかし、
乙女組にも味方と敵がいるとも語る。
しかし、三沢、タバコのせいで朦朧としている。

第6話 嵐の夜、観覧車は廻った

検死では、何も見つからなかった。三沢はタバコを吸いすぎだと青年団に笑われる。新しいタバコを渡される三沢だが、新品のはずなのにビニールパックされていないことに気が付く。印刷もおかしい。それは本物のタバコではなく、手巻きのタバコにすり替えられていた。

不幸中の幸いで、文江が意識を取り戻したと連絡が入る。

三沢は、タバコのせいで意識が鈍っていた。慌ててショウに事の次第をメールをしようとするが、メールを作って送信した瞬間、停電してしまう。メールは送れたのか不明のままだ。携帯も通じなくなる。

待合室にやってきた秋奈とで2人きりになる三沢。秋奈は、三沢が自分の過去をわかってしまったことを見透かしており、自身の初体験がレイプだと告げる。
突然、求めあう2人。だが、秋奈は挿入を許さなかった。

事後、まどろむ2人だが、村長が殺され、観覧車にくくりつけられているヴィジョンを見て、ショックを受ける三沢。実際に観覧車乗り場にかけつけると、そのままの光景がそこにあった。しかも、観覧車を縛っていたワイヤーが切られ、そのまま村長の体がちぎれ飛ぶ。

第7話 蔵の中

秋奈に能力のことがバレる三沢。しかし、犯人の顔は見えなかった。
秋奈は、祥子は未来予知ができると三沢に語る。実は、10年前の土石流について予言したのも祥子だった。六車の手を触れてビジョンを見ようとしていたら、偶然やってきた観覧車の管理人に人殺しと見咎められる三沢。

かけつけた六車の妻・正代は半狂乱になる。青年団から犯人扱いされる三沢。
だが、逢坂は突然パニックになる。
「わからん!わしにはわからん!」
逢坂を惑わすものを体から抜くため、青年団は逢坂をボコボコにして「小鬼を追い出す」と言う。突然、正気を取り戻した逢坂。三沢は、彼の家の仕置き牢に入れられることになった。

三沢を捕まえた八蔵は、とりあえず言うことを聞くように耳打ちする。彼は味方のようだが…?
とりあえず言うことを聞くことにした三沢は、おとなしくひっとらえられる。
それでも、祭りは予定通り遂行されることになる。

仕置き牢で考え込む三沢。秋奈、八蔵、スミレ、アカネ、ノリコは味方なのだろうか??
だが、与えられた食事のせいで下痢をした三沢を、逢坂の家の者たちに棒でつつき出す。怒っている彼らに小突き回され、グチョグチョに汚れる三沢。

2日後。

村長の葬式が行われている。
三沢はまだ仕置き牢の中だが、なんと八蔵が、意識が回復した逢坂文江の両親を本土に運ぶ途中に殺しているヴィジョンを見てしまう。海に死体を遺棄する八蔵。

次の瞬間、仕置き牢の外に秋奈が現れて「今のことが見えても防げない、役に立たん能力やなぁ」と笑う。彼女は、スミレの生首を投げてきた。実は、三沢とイチャつく前に、既にスミレを殺していたのだ。三沢は、祥子の能力と共鳴させ、強めるために生かされていた。

絶望する三沢。だが、乙女組のキミとアカネが助けにやってきてくれた!

第8話 祭の日

6月6日。祭りに、村人たちが総出で集まっている。

緋呂と雅仁、マサル、美咲、コタロー、キッタ、健斗といった子供たちも、楽しげに過ごしている。

仮面をつけ、仮装をしている村人たち。丹沢先生は、少彦名に扮している。赤目姫に扮した祥子との結婚を再現するのだ。婿入りの再現に、ニヤニヤが止まらない丹沢。

乙女組は酒の用意をしている。赤酒、白酒、黒酒の3種類の酒を、1杯ずつ飲み干すのだ。

だが、祥子は丹沢に心を開こうとしない。彼女はこれから、赤目沼(あかめぬ)ぼこで処女喪失させられるのだ。丹沢の手によって…。

だが、三沢は仮面をつけて祭りに潜入していた。

時間は巻き戻る。
仕置き牢から助け出された三沢。乙女組のキミ、アカネ、ノリコは三沢の味方だ。
彼女たちは秋奈の異変に気が付いていた。秋奈は薬草作りのやり方を改変、猛毒性のものばかり研究し、作らせた。それは夫の死の復讐なのだろうか?それとも、祭りを無事に遂行したいという気持ちがこういう形で出たのだろうか?4人は、秋奈が酒に毒を仕込むのではと推測し、酒の予備を用意しておき、すり替えるという計画を立てる。

乙女組でも、ハルとユカは考え方が違うというアカネたち。そして、彼女たちは祥子が三沢に惚れていると思っているようだ。

村人たちに混じり、地下にある儀式の部屋で酒を飲む三沢。酒には、おかしいところはないようだ。

だが、秋奈は突然、裏切り者のアカネたちを煽り始める。三沢は真実を告げるために名乗り出る。しかしながら、秋奈のほうが一枚上手だった。

突然、雅仁、緋呂、美咲、ミチが血を吐く。老人や男たちも続く。出羽も死んでしまった。
赤目の血が濃い人間だけが、酒に入った毒に反応し、死んでしまう(酒自体に毒が入っていたのではなく、組み合わせで毒となったのだ)。
三沢の味方をしてくれていたキミも、死亡する。本土の人間も、場合によっては死ぬのだ。

酒は体質を選び、全滅はしない。しかも、白酒(死路酒)は、タバコの成分に特別に作用する。つまり、普段から喫煙していた男たちは、凶暴化してしまう。生き残った者たちだけが村を再建する権利を得る。

秋奈に促され、おばばのことを殺すハル。ハルは、おばばや六車に、故郷の村をダムに沈めた権力者を重ねていた。そして、逢坂は発狂し、村人たちを襲い始める。

第9話 カーニバル

少年のキッタを殺す逢坂。それを健斗やコータローが止めるが、彼の耳には届かない。全員を殺していく逢坂。男たちの殺し合いのために、武器を投入する、秋奈についた乙女組たち。
(アカネたち裏切り者にには、この計画は明かされていなかった)

逢坂は、狂った男にクワで首を飛ばされる。思わず叫ぶアカネ。アカネは逢坂のことが好きだったのだろうか?逢坂の妻・志保はその気持ちを察するが、狂った人間たちに、そのまま殺されてしまう。
他の青年団の妻たちも、どんどん殺される。

しかも、秋奈は八蔵に命令して、部屋に油をまかせる。脱出するという秋奈は、祥子を連れて行こうとするが、三沢の気持ちが伝わった彼女は拒否し、置いていかれる。乙女組のマキは彼女を止めようとして、脱出装置の下敷きになった。レナも殺され、チエも頭をナタで割られる。
秋奈はとうとう、放火を決行する。

逃げようとしている三沢やアカネたち。だが、狂った丹沢は祥子を犯そうとしている。ユカは、変態教師にレイプされたことを思い出して激高し、丹沢の性器を高枝切ばさみで切り落とす。
次の瞬間、ユカの頭がなくなる。別の男に殺されたのだ。ハルも、頭にカマを刺されて死んだ。

だが、秘密の抜け道から逃げる三沢、祥子、ノリコ、アカネ。そこから、隠し海岸に出ることができた。ここから、村は古代薬物を関西圏の反社会団体に売買してきたのだ。彼らは乙女小屋に戻り、耕太と瞳を助けることにする。

しかし、ノリコは後からやってくる男たちのタテになると言い出し、そこに残る。ノリコ、本当は三沢におんぶして連れ出してもらいたかったと語る。だが、彼女は既に腸がはみ出しているようだ。

祥子をおんぶしている三沢。薬のせいか、ずっと勃起しているし、妙に体が熱い。外に出る3人だが、神社が燃えているのを見て、祥子は顔を背ける。

逃げる途中で、死路酒の原料=若菜名(わなめ)を見つける三沢。それは文江が握っていた植物の芽と同じものだった。耕太はやはり、村を告発するつもりだったのだ。

耕太の家族は、毒が体にまわりやすい危険な作業をやらされていたのだ。
父に酒や麻薬を与える村の人々を憎んでいた耕太。
では、文江と耕太を突き落とした犯人は、祥子?だが、即座にそれを否定する耕太。

逃げ込んだ乙女組の建物に火をつけられた三沢たち。
なんと、丹沢が追いかけてきていたのだ。頭に赤目沼ぼこをくくりつけ、大量の武器を背負い、女たちの生首を腰から下げて、赤目沼矛(あかめぬぼこ)と名乗る丹沢。

一方、本土の病院では、文江を外に連れ出す男の姿があった。消えた文江を必死で探している
六車の弟・吉宗。その男は、三沢の友達のショウだった。
彼らは船に乗り、赤目村に向かうことにする。

第10話 終宴

外に様子を見に行ったアカネ、そして皆を守ろうとしたノリコの生首を持っていた丹沢。彼はすっかり狂ってしまっている。
赤目村をユートピアだと信じ込んでいて、姫山の噴火を大喜びする。

噴火の揺れで、加美ヶ渕に落下する三沢、祥子、耕太、瞳、丹沢。丹沢だけは噴石で足がちぎれ、両手が木の枝に刺さってしまう。なぜか、丹沢の言うことしか聞かない瞳。三沢は偶然、瞳の手に触れて考えを読んでしまう。

丹沢は、実は瞳にいたずらしていた。酒やタバコを遠ざけようとしていた耕太とは違い、瞳は父のご機嫌取りをして、性的いたずらを受けていた。
そして、耕太は、実は文江と付き合っていた。関係を持つ2人を覗く瞳。丹沢はそんな瞳を保健室に連れ込み、いたずらを繰り返していた。瞳は丹沢にだけ心を開き、なんでも話すようになった。だから、丹沢は瞳を操った。

文江と耕太を突き落としたのは、瞳だった。それを耕太も知っていたし、祥子も見ていた。
だから彼らは、犯人の名前を言おうとしなかったのだ。

さらに丹沢は、秋奈が村の男ほぼ全員と寝ていたと三沢に明かす。手袋をしていても、祥子と一緒にいたせいで能力が強くなる三沢。祥子も、「少彦名が来る」と三沢の来訪を予言していた。
だから埠頭で毎日待っていたのだ、

しかしながら、秋奈は、自分が少彦名の生まれ変わりだと信じていた。少彦名は女神という説を知ってから、彼女はそれに取りつかれた。
その一方で、少彦名は自分だと信じていた丹沢。

そろそろ死にそうだが、ひとりでは死にたくないと言い出す丹沢は、噴石で腹を貫かれている。そんな彼を見て、瞳は丹沢のもとに行こうとして崖に飛び込み、そのまま噴石に貫かれる。崖下に消えていく、瞳の遺体。
丹沢「わしにもおったんじゃ、ハハハ」
と笑いながら、動かなくなる。

とうとう、溶岩流が彼らを襲う。小道に入り、逃げようとする三沢たち。だが、出口(海岸)で待っていたのは秋奈だった。

第11話 大団円

秋奈は既に、八蔵を殺していた。八蔵は自分が殺されるとわかっていながら、毒を飲んだのだ。
次郎を殺したのも秋奈だった。秋奈は心が壊れてしまっていた。彼女は劣悪な環境で育った。小さい頃からセックスを目の当たりにして、輪姦され、もて遊ばれてきたのだ。

秋奈は3人を殺すため、ヤリで突く。しかし、その攻撃を確実によける三沢と祥子。能力のおかげだろうか。2人は手をつないだまま、ふわふわと避ける。
秋奈、少彦名の生まれ変わりは自分だと信じている。
少彦名は男装させられた美女だったが、離縁して旅先で赤目姫に婿入りした。子供ができないので、赤目姫の父の赤目大神が2人をはらませた。その息子と娘が結婚し、閼伽目家の祖神となったという説を信じているのだ。

ここで、未来を読んだ祥子。耕太を無事なところへ導き、そして秋奈をも誘導し、落石を当てる。
頭が割れて血まみれの秋奈は、自らボートのプロペラを動かし、そこに頭を突っ込み自殺する。

噴火した島から逃げる3人。祥子の誘導で噴石をよけ続ける。赤目村は飲まれていく。

やっと、助けに来ていたショウと文江と合流する3人。六車吉宗は失脚、赤目村は吸収合併されてしまった。文江は妊娠していて、耕太と施設で子供を育てることになる(なぜか2人のねっとりディープキスシーンがあり、気持ちが悪い)。

祥子と三沢のその後は、また新しい物語で語られるだろう。
ということで、長くなりましたが、ざっと物語を振り返りました。
連続殺人事件を扱っているというけれど、殺されたのは六車村長と、耕太の両親と、知らないじじい2人。ミステリー感がない!と思っていたのですが、後半の加速ぶりがすごかったです。
二枚目風チンピラ青年団の逢坂は狂って子供の両目に親指を突き立てるし、好青年風の丹沢は実はロリコンで変態で発狂して頭にチン○ン乗せて生首持ってるし、秋奈はサイコパスだし、ものすごいキャラが濃い作品でもあります。

後半にかけての狂気の加速っぷりがスゴイ。ちょっと引いてみると、マヌケな絵面もあるのですが、意外と狂気はマヌケな絵面を伴うことも多いので、リアリティがあったような気もする。
大きなリゾートマンションと遊園地、差別、大麻、劣情と性欲、虐げられている女たち。これだけの個性を持ったマンガにはなかなか出会えません。