「ウォーキング・デッド」シーズン8・第16話(最終話)『戦いの果て』のネタバレ

ウォーキングデッドシーズン8

「思い出したよ」

リックとカールが、手をつなぎながら田舎道を歩いている。
しかし、次の瞬間、その光景からウォーカーのアップに切り替わる。ニーガンの部下から捕虜になったはずの男たちは、そのウォーカーの群れの前をひたすら歩き続けている。

リックは、ニーガンの仲間がいる基地を襲った時にいた赤ん坊にブランケットをかけてやる。鏡で自分の顔を見つめるリック。そこにセディクが入ってくる。
「起きてたから」
赤ん坊のために、ミルクを持ってきたセディク。
「何があった?教えてくれ」
リックはようやく、カールの死と向き合おうとする。
「母が死んだ。噛まれて、目の前で死んだ。最近のことだ。母は信じてた。魂が怪物に囚われていると。殺すことで死後の世界へ送り出せる。カールは俺を招き入れようとした。俺は母の新年を話した。そこへ死人が来た。彼は母の思いを尊重した。きっと俺を安心させるためだと思う。そして噛まれた。知らない人間の思いを尊重して…危険だった。俺は危険に気付いてなかった。気付くべきだった。大事な人を失った俺達に残されたものは、彼らの思いだけだ」
「ありがとう」
リックは彼の言葉を聞いて部屋を出ていく。

活気づいているヒルトップ。
ヘンリーとキャロル。
「今日勝つよ!そしたら、王国に戻る?もう逃げない」
キャロルはそれをはぐらかしている。
ジュリーとエゼキエルは座って話している。
「最後の朝だとしたら、最高の朝だろう」
「最後じゃないさ。何人かは失うだろうが、受け入れる」
エゼキエルがネガティブなことを言っても、ジュリーは笑顔でその言葉を否定する。
「失ったものに報いるため、すべて失う覚悟を」
「失わねえ」
ジュリーはエゼキエルにニコッと笑いかける。エゼキエルは根負けして、2人は拳同士を合わせて、微笑みあう。

グレゴリーから伝えられた計画通り、地図を確認するリーダー人。
リック、ダリル、ロジータ、マギー、ミショーン、キャロルの姿が見える。
彼らはドワイトから送られた計画を疑わず、準備をしている。

だが、モーガンだけは様子がおかしい。
「いない。奴らは?」
次の瞬間、姿を消していた元捕虜たちが戻ってきた。だが、いきりたったモーガンが棒で地面に倒したのはヘンリーだ(巻き込まれたようだ)。ヘンリーは驚いて、モーガンを見上げる。
「逃げ出した奴らを入れるのか?」
捕虜たちは、マギーに命令されてウォーカーを別の場所に誘導しただけだった。モーガンは自分の言動がおかしいと気付き始める。

戻ってきた捕虜たちに、マギーは告げる。
「あなたたちはここにいて、ここにいていいけど、仲間じゃないわ」
捕虜たちは残される。リックもモーガンに対して、ヒルトップに残るように命令するが、彼は反抗する。
「行かなきゃいけないんだ。俺じゃなく、みんなを生かすためだ」
モーガンは、自分が行かなくはいけない理由を説明する。
「俺達は悪に染まった。俺もあんたも。仲間に入れると約束して…仕方のないことだが、何かが違った。あんたらしくない。一線を越えたのは、俺達が、すべてを失ったから。何もかも。何もない俺達の命など惜しくはない」
「まだすべてを失ったわけじゃない」
「失った!元には戻れない。だから終わらせる」
モーガンは声を荒げる。

偵察をする先発隊が出ていく。
ダリル、ロジータ、エゼキエル、ジュリー、モーガン、ジーザス、リック、ミショーンの姿が見える。
リックとミショーンは手をつないでいる。

ユージーンは聖域に戻ってきている。ゲイブリエルも一緒だ。ドワイトは拘束され、囚人服(汚いトレーナーに「A」の文字が書かれている。昔、ダリルも着せられていた)傷だらけになっている。
「最悪だよな。そのグチャグチャの顔に関わらず、皆が敬意を払ってた。でも今は、何も残っちゃいない。車に積め」
ニーガンはドワイトを挑発する。彼は引っ立てられていく。ユージーンはただ、その光景を見ている。

要求されていた弾を間に合わせたユージーンたち。ニーガンに試し撃ちをするように言う。ニーガンは、リックと書かれたTシャツを着たカカシに向かって発砲して、その出来栄えに満足する。
しかも、ユージーンは戦いについていくという。自分の計画通り、10分以内に戦闘を終わらせるというユージーンだが、ニーガンにその光景を見たいのかと聞かれる。
「見るべきだ」
ニーガンは彼の決意に微笑む。
だが、ニーガンはゲイブリエルも連れて行くという。
「ドライブしながら懺悔したいことが」

ニーガンはゲイブリエルに対して懺悔(のようなもの)をしている。ゲイブリエルの横には、ユージーンも座っている。ニーガンはリックたち偵察隊にわざと自分の居場所をバラし、先手を打って彼らを一網打尽にする計画だと彼に話していく。

リックたちは計画の通り、ニーガンが用意した人間たちを殺していく。殺された彼らはサイモンの口車に乗り、ニーガンを裏切ろうとした奴らだ。

「お前、イカれてるぜ。ひでえ野郎だ」
モーガンが見殺しにしたはずの、捕虜の長髪野郎(ヘンリーの兄を殺した犯人。既に死亡)が、彼に笑いかける。彼は既に死んでいるし、ここにいないはずだ。
「(自分は)死なないって?まったく、試してみろよ。いいか。周りは死ぬのに、抜け出せると思うのか?教えてやろう、抜け出せないと」
男はゲラゲラ笑う。モーガンの頭の中で。

「皆殺しにするのがあんたの懺悔か?」
ゲイブリエルは、ニーガンがこのようなことを望んでいないと感じている。だが、望んでいなくても、やるだけだとニーガンは返した。
次の瞬間、ゲイブリエルは他の者が止める間もなく、車から飛び降りる!

ゲイブリエルは森の中を走り続ける。途端にウォーカーとぶつかるが、すぐにユージーンに見つかる。拳銃で脅されるゲイブリエル。すぐにユージーンに投降する。
「ぶざまだが。信仰はどこへ?今こそ必要だろ」
その後ろから、ニーガンがブラブラと現れる。
「悪いな、ユージーン。ゲイブリエルの所有権は私にある。無益な死はイヤだと言ったな。いいか、思い通りにはいかない」
ニーガンはバットを構えるが、その場で彼を殺すわけではない。
「車に乗せろ」

「仲間を守るために人を殺すのなら、あなたが危険だ。つまり仲間の命も危険にさらす」
殺さなくても守れるはずだとモーガンをなだめるジーザス。彼に提案をする。
「こっち(棒の片方。尖っている)は死者、こっち(棒のもう片方。尖っていない)は生者に。きっと変わる」
ジーザスは優しくモーガンに笑いかける。
「ジーザスを好きになりそう」
マギーが横を通り抜けていく。

だが、森の中でウォーカーの大軍を目にするリックたち。何かが起きている。

ヒルトップに残った者たち。ニーガンの部下たちがやってくるのが見える。残っていたタラは、住人たちが逃げるのを手伝っている。

リックたちは進み続けている。途端に、ニーガンの口笛が聞こえてくる。
周囲を見回す彼ら。ニーガンの声が、彼らが罠にハマったと告げる。

「俺はどこにでもいる。メガホンや無線を仕込んだ。逃げられるものなら逃げてみろ。俺達を楽しませてくれ。それから、旧友を連れてきたぜ。ユージーンを覚えてるか?」
ユージーンが計画を立てたこと、ドワイトの裏切りがバレたことを告げるニーガン。ドワイトに彼らの死を見せ、ゲイブリエルには死んでもらうつもりだ。そして、彼らは皆殺しにされる。
カウントダウンが始まる。覚悟を決めるゲイブリエル。

だが、一斉に発砲したニーガンたちは、銃が暴発して手がグチャグチャになってしまう。パニックになったニーガンたち。リックたちは逆襲を始める。
ゲイブリエルは、やはり手が裂けたニーガンを殴りつける。だが、押し倒される。それを守ろうとしたドワイトも、ニーガンに体当たりするが、彼は逃げていく。

ヒルトップの住人たちは、外に逃げ出した。グレゴリーは家の中に置いてきたようだ。
タラはひとりで時間稼ぎするというが、元捕虜の青年が彼女をサポートすると言い出す。捕虜として助けられたものたちは、タラに続いていく。

ユージーンに詰め寄るニーガン幹部たち。だが、彼らを殺したのはロジータだった。彼女は、ユージーンを見つめている。モーガンはジーザスを守るために敵を転ばせるが、「殺さなくていい」と言われ、人を殺さずに済む。

ヒルトップの襲来者を狙うタラ。だが、突然彼らは炎上する。そこにいたのは、アーロンに説得されたシーサイドの女たちだった!彼女たちは火炎瓶を投げ続ける。

残ったニーガンの部下たちは、投降する。彼らの前に膝をつくニーガンたち。
リックだけは、ニーガンを追い続ける。

カールのことを思い出していた木の下までやってきた(ステンドグラスが2枚下がっている。その意味はわからない)リックとニーガン。だが、ニーガンは暴発で傷を負った手をかばいながら、バットを持って、リックが来るのを待ち受ける!

すぐに揉みあいになる2人。
「お前の負けだ。仲間は投降した」
だが、ニーガンは余裕ぶっており、事態はすぐに逆転するという。サシで勝負だというニーガン。リックはボロボロだし、ニーガンは体が大きくて力も強い。だが、リックはカールの言葉を守り、彼を説得しようとする。10秒間の猶予が与えられる。
リックは、戦いをやめるべきだと話す。カールがそう望んだから。
だが、次の瞬間、リックはニーガンの喉を掻っ切る。
「これがお前だ。カールは何もわかっちゃいない」
ニーガンは噴き出す血を抑えながら、憎そうに呟き、倒れる。
彼の手には、カールのために?木に吊るされていたステンドグラスの破片が握られている。
その一部始終を、仲間と敵たちは、全員見ていた。

だが、リックはこう言い放つ。
「助けろ」
激高したマギーを、ミショーンが静止する。
「助けないで、だめよ!グレンを殺した!終わらせるのよ!リック!正すんでしょ!」
「正せないけど、これで終わりよ」
ミショーンが彼女を止める。
「終わりじゃない。あいつが死ぬまでは!死ななきゃ終わらない!イヤよ!」
暴れ、泣きじゃくるマギー。だが、ニーガンは手当てを受けることになる。
「今までのことも、失ったものも、未来につなげる」
リックは宣言し、マギーは泣き崩れる。リックはさらに、ニーガンの部下たちにもこう続ける。
「手を下ろしていい。みんな帰るんだ。ニーガンは生きる。だが彼のやり方は終わりだ。受け入れられないものは、必ず報いを受ける」
リックは、森を彷徨う大量のウォーカーたちを指し示す。
「俺達が生で、あれが死だ。生きるために団結するんだ。家へ帰れ。始めるんだ。新しい世界が始まる。今までのすべてが過去だ。未来を始めよう!」

ロジータはユージーンに尋ねる。
「銃を暴発させたのはあんた?」
「そうだ」
ユージーンはゲイブリエルの行動にヒントを得たという。だが、それだけではなく、誘拐されかけた時にロジータの言葉に心を動かれたのだ。しかし、ロジータはユージーンを殴り「ゲロのお返し」と言って去っていく。その痛みは妥当なものだと、ユージーン本人も感じている。

キャロルに、ヘンリーに渡してほしいと自分の防具(もともとはヘンリーの兄のものだった??)を託すモーガン。彼は、また変わろうとしている。

「情けは、怒りに、勝る」
リックは涙を浮かべながら、木の下に座っている。そして、彼は号泣する。
(シーズン8の冒頭でも登場したシーン)

ヒルトップ。ドワイトが歩いていくのが見える。そしてダリルの車に乗り込む。
元捕虜の青年は、仲間たちは聖域に戻ると告げる。だが、自分はここに残りたいと主張した。町のために、何かを作りたいというのだ。彼はマギーを見つめる。
「君が俺に人生を与えてくれたから」
「いいわ」
マギーはそれを許可する。

タラとロジータは、聖域に食料をもらいに行く。笑顔で挨拶する彼女たち。
「再生に協力する」
タラたちも、聖域に物資を提供する。彼らは微笑みあう。聖域の女性たちは、肩の荷が降りたように晴れやかな顔をしている。

森の中に入っていくトラック。
「降りろ」
車から降りてきたダリルとドワイトが見つめ合う。
「分かってる。デニースに何をしたか。あんたにも。みんなにも。理由は関係ない。いずれこうなると…代償を払うべきだ。覚悟はできてる。ニーガンを倒せただけで充分だ。俺は、クソ野郎だ。元には戻れない」
ドワイトは涙をこぼしながら、膝をつく。
「悪かった。本当に悪かった。どうか、許してくれ」
「黙れ。遠くに行くんだ。二度と戻るな。その顔を見たら、次は殺す。すべてを正せ。彼女(失踪した嫁)を捜せ
ドワイトは置き去りにされる。

ゴミ捨て場。読書をしているジェイディス。
「リックの友人だ。アレクサンドリアから来た」
ゴミ捨て場を仕切る扉の外には、モーガンがいる。彼はリックの使いでやってきた。彼女を町に呼び寄せるというのだ。リックたちは再生し、変われると証明したい。モーガンは孤独であろう彼女を思いやる。
「大事なのは人間だ。どんな命でも尊い」
「名前は?」
「モーガン・ジョーンズ」
「アンと呼んで。荷物を持ってくるわ」
「俺はここに残る。俺はひとりになりたい。そうすべきだ」
ジェイディス(アン)は驚くが、モーガンは既に決意を固めている。
「俺には無理だ。無理なんだ」

ドワイトは、車を運転して昔彼ら夫婦がいた家に戻っていく。ドワイト宛の手紙を開く彼。「ハネムーン」というメモが残されている。ドワイトはニッコリ笑う。

エゼキエルたちは、王国に戻っていく。ヘンリーとジュリー、キャロルもいる。

マギーは、ジーザスの捕虜を助けた判断は正しかったという。だが、マギーはニーガンを生かしたリックの判断を憎んでいる。彼女は、街の再生を最優先したいと語る。そのためには、防御力を高めないといけないだろう。だが、マギーは一方でもこう思っている。
「リックは間違っている。ミショーンも。機が熟すのを待つわ。時期を見て、彼にわからせる」
それを聞いているジーザス。彼は薄く、笑顔を浮かべているように見える。
「ああ。そうしよう」
ジーザスの背後の暗闇から出てきてそう同調したのは、ダリルだ!

ニーガンはベッドで目を瞑り続けている。
だが、リックはニーガンを起こして怒りをぶつける。ミショーンも、リックも、ニーガンを許すと決めたものの、その怒りをなかなか抑えられない。
「あんたの役割は、その身をもって戒めることよ」
「殺しはしない。傷つけもしない。独房で朽ち果てるんだ」
ミショーンとリックは、ニーガンを殺さずに監禁するつもりらしい。しかも、死ぬまで。そして彼の目に、自分の過ちを映し出させるのだ。そうすること(ニーガンを殺さず、自分の行いを悔いさせること?)が、この世界が変わったという証拠になるだろう。

ゲイブリエルは、焼けた教会に戻ってきた。彼は杖をつきながら中に進み、祈りを捧げる。
「感謝します。神よ。理解しました。今は分かります。多くのことを、与えて下さったから」
彼は涙を流す。
「見えるのです」
差し込んできた日の光が、何かの意志を示すように強く輝いている。

「カールへ
思い出したよ
自分がどんな人間か、お前が思い出させた
あの日の気持ちも 散歩した日だ
自分が何者なのか分かった気がした
2人で並んで歩き、お前が連れてきてくれた。ここへ
みんなを、新しい世界へだ カール
新世界を見せてくれた。お前が実現させたんだ
見えるよ。思い出した
パパより」

感想

久しぶりに、グッドエンディングな感じでよかった。
予想を裏切って、死人がほとんど出ないエンディングでしたね。準レギュラーぐらいの方々は脱落が多かったですが、メインキャストはほぼ死なず?
(死者はカールとサイモン、ヒルトップの医者、エリックあたり?)

ユージーンの裏切りも見事だったし、サイモンの人間臭い悪役も好きだし、ゲイブリエルとドワイトの演技も素晴らしかった。ゲイブリエルは登場したばかりの頃は信者を見捨てた牧師だし、常に弱さに負けていた人というキャラクターでしたが、ここにきての演技のすばらしさは圧倒されます。
ドワイトの独白も良かったですね。
また、モーガンが人を殺さないという決意を覆し、人を殺すことを選んだところ、その悪に染まりすぎてしまい、徐々に狂っていくような演技もすごい。

今シーズンではマギー(なんか、ちょっと頑なな演技ばかり)やキャロル、ダリルの出番がぐっと減っていましたが、後から加わったキャストがすごくよかったので、不満はない。

今後の展開は
・ニーガンはこれからどうなるの?(裏切りがあるのか?)
・マギーとジーザス、ダリルはリックと対立していくの?(まさかのラスボスじゃあ…)
・ヒルトップと聖域、王国、シーサイドはどう共存していくの?
の3点に注目です。