「フィアー・インク」

フィアーインク

2016年の映画「フィアー・インク」。
アメリカ映画です。ホラー映画のような恐怖体験ができるというサービスを利用した若者たちが、実際に恐ろしい事件に巻き込まれていくというお話。しかし、非常によくできていて、何度も裏切られます。
また、ホラー映画のオマージュが随所にあり、「スクリーム」のような驚きに満ちたお話。主人公がホラー映画マニアで、「これ、あの映画で見たやつ!」と興奮するところも、ホラー好きとして共感しやすいかも。あと、低予算な印象もあるのですが、映像がキレイに見せているのはやはりセンスなのかなという印象もあります。

あと、アビゲイル・ブレスリンちゃんが特別出演してます。オープニングに殺され役で出ているので、そのあたりも「スクリーム」っぽいかも(本家はドリュー・バリモアだったね)。

ネタバレ

立体駐車場を逃げる女と、バットを引きずる男。彼女は電話をどこかにかけ、キャンセルしたいと話し出す。その後警備員に会い、自分の車にたどり着いて一息つく女。だが、後部座席にいた殺人鬼につかみかかられ、車が大きく揺れる。

主人公のジョーは、彼女のリンジーのヒモで豪邸暮らしをしている。
お化け屋敷でデートする2人。刺激が欲しいと豪語するジョー。すると、立体駐車場の警備員をしていた男が「好みの恐怖をプレゼントできますよ」と話しかけてきて、フィアー・インクという会社を紹介してくれる。

奇しくも、ハロウィンシーズン。遊びに来た友達カップルをもてなすジョー達。ジョーはこっそりフィアー・インクに電話をするが、予約はいっぱいだと断られてしまう。

だが、それ以降おかしなことが起こり始める。
奇妙なサイレンの音、「人生の最終章が始まる」と血文字で書かれた新聞。突然現れてジョーを殴りつけ、逃げていく男。
「子豚ちゃんよ 中に入れておくれよ
オオカミなんか入れるもんな
それでは俺の鼻息で 藁の家を吹き飛ばしてやる!」
男はこう歌っている。

気を取り直して遊びに行き、外出から戻ってきた4人。
だが突然テレビが付き、殺人事件のニュースが流れる。犯人はジョーだ。隣人のビルが殺されただけでなく、リンジーや友達夫婦もジョーに殺されたようだ。
さらに停電が起こる。

と、外に出たジョーの目の前でビルが殺されてしまう!ナイフでめった刺しにしているのは、「スクリーム」の仮面の男のように見える。ジョーは「カッコイイ~~」と大興奮する。

ジョーはキャンセルの電話をするが、つながらない。
車で逃げようとする4人だが、ジョーは「シックスセンス」の子役のモノマネをして怒られる。

結局車が動かないし、部屋に戻ると友人夫婦の妻のほうがいない。
閉じこもったジョーとリジーだが、「ゲーム」という映画の話でケンカになる(ジョーがこの映画と今の状況が似ていると言い出し、リジーに怒られた)。ジョーは閉じこもるよりも外に出るべきだと説得し、ビンで武器を作ろうとして失敗する。

だが、友達夫婦の妻は「13日の金曜日」風に弓で体や目を射られ、殺されていた。
ジョー達も捕まってしまう。

気が付くと「SAW」風のイスに縛られている友人夫婦の夫・ベン。ジョーは翻弄さながらもベンの手を切り落とし、彼の体内にある鍵を取り出すために腹を裂く。
電気が落ち、明るくなるとベンの死体は消えていた。

慌てて警察に電話をするジョーだが、謎の男に襲われる。ジョーはその人物を殺してしまうが、仮面をはいだら、それは冒頭の警備員=ジョーにフィアー・インクのことを教えてくれた男だった。

これは全部ゲームだった。リジーがジョーのために、依頼していたのだ。ベン夫婦も生きていたが、ジョーが男を殺したことを知って逃げ出してしまう。
男の死体を捨てようとするジョーとリジーだが、途中で怪しげな車に目をつけられる。
(ピンクのロン毛の姉ちゃんや、犬の仮面をつけた男たちが乗っている)
だが、彼らは単なる酔った若者だったようだ。

警察に止められるが、ジョーは警察官が彼の名前を知っていることに違和感を覚える。次の瞬間、謎の車が警察官をはじき飛ばす!

逃げたところで、死体を埋める穴を掘るジョー。だが、フィアー・インクの面々に見つかってしまう。報復でリジーが殺され、ジョーは放置される。とぼとぼと歩いて帰るジョー。ダイナーに入ると、そこに待っていたのは……リジーだった!

全部含めて、これはフィアー・インクのいたずらだったのだ。
そして唐突に打ち上げが始まる。ジョーが殺した男は生きていたし、ベン夫婦ももちろん仕掛け人だ。
フィアー・インクのリーダーがスピーチを始める。
「お前が病気で、俺が薬だ」
徐々に奇妙になっていくスピーチ。ジョー4人を取り囲むフィアー・インクの仕掛け人たち。
突然、ベン夫婦やリンジーは首を折られ、撃たれ、刺される。
「ここで暗転だ」
ジョーも首を切られてしまう。

フィアー・インクには、また予約の電話が入っている。電話番の男は「完売した」と断るが、電話を切った瞬間、次のターゲットが決まったと誰かに叫ぶ。

感想

①フィアー・インクに脅かされているけど、マジで命の危機を感じる
②実はジョー以外フィアー・インクの仕掛け人だったが、社員を殺したことでピンチに
③それも含めて、ドッキリのドッキリでした
④でも本当に殺人集団でした
という、どんでん返しが多すぎる映画。ラスト、笑っている男女が次々にジョー達を殺していくところは、ちょっと「マーダー・ライド・ショー」らしい奇妙さがあったかもしれない。