「トンネル」

トンネル

2014年の韓国映画「トンネル」。
見る途中までは極限ホラーかと思っていましたが、サスペンス+ドラマでした。トンネル事故のせいで数週間、がれきの下に閉じ込められた男の話です。

ネタバレ

主人公のイ・ジョンスは車のセールスマン。高速道路を走行中、トンネルが崩れ、閉じ込められてしまう。
しかも、救出までには7日間はかかるだろう。この間、水のペットボトル2本と娘のためのケーキでもたせなくてはいけない。

外ではドローンで内部調査をしようとするが、電波妨害があってうまくいかない。
瓦礫の近くまで近付き、クラクションを鳴らすと、それがジョンスのもとに届く。しかし、また落石があり、さらにジョンスは埋まってしまう。
嫁もかけつけ、採掘を見守ることになる。

ケーキを食べ、瓦礫のスペースを掃除し、ユニフォームを着る(おそらく寒い)ジョンス。突然、目の前に犬が出てくる。そして、他の生存者・ミナを見つけるが、彼女は落石のせいで座席に挟まってしまっていた。
ジョンスはミナに水を分けてやり、さらに彼女の飼い犬にも水を与える(内心、もったいないと思いながら、そんなことを口に出すことはない)。

しかし、大事にとっておいたケーキを犬が食べてしまう。激昂するジョンスだが、ミナにはそれを悟られないように振る舞う。

ジョンスの妻は、採掘員たちへの炊き出しを手伝っていた。健気な彼女の姿に、作業員たちも感動する。彼女の作った卵焼きが偶然地面に落ちてしまうが、それをサーブされた作業員は雨で卵焼きを洗い、笑顔で食べてしまう。

しかし、ミナは死んでしまった。
外では、原因が手抜き工事にあることがわかり、喧々諤々としている。

尿を飲み、犬のドッグフードを食べるジョンス(犬にもフードは分ける)。救出を担当している隊長は、ジョンスの気持ちを少しでも味わうために、自分も尿を飲んでみる。
採掘にさらに10日かかり、2週間以上経過。上からトンネルの中のジョンスに向かって少しずつ掘り進めていた救出隊だが、図面通りにトンネルが作られていなかったことで、掘削していた位置がズレていた。
携帯電話のバッテリーも着れてしまう。

しかも、掘削の作業中に事故が起こり(機材の刃が折れて腹に刺さった)、作業員が死んでしまう。このせいで、にわかに「もうジョンスは死んでいるのに、死体を掘り出すために人を殺すのか」という世論が盛り上がる。ジョンスの救出のために、別工事が中断されている(爆破を伴う工事のため、そちらの作業ができないのだ)。その建設会社の社長も、救出作業を中止するべきだと主張し続ける。

ジョンスの嫁は掘削中止への同意書にサインをさせられてしまう。だが、夫が車の中で聞き続けているラジオ番組に出演し、彼へのメッセージを伝える。

一方、救出隊長は一度開通させかけたものの、位置がズレていたことから封印されていた救出孔に入り、ジョンスが生きていないか最終確認をしに行く。だが、彼はすぐに引き上げられてしまう。

しかし、落としてきたマイクがジョンスの鳴らすクラクションの音を拾い、隊長は彼を救出するために再び動き出す。

その後意外とあっさり助かるジョンス(どうやって瓦礫を押し分けたのか、などは説明されない)。
ジョンスと一緒に過ごしていたミナの愛犬も救出される。
たくさんのマスコミ、国民へのアピールにジョンスを利用しようとする長官。ジョンスは隊長に何かつぶやく。マスコミはその言葉を皆に述べるように要求する。
「お前ら、全員、クソだ!…イ・ジョンスさんはそう仰った」
浮かれていた人たちは全員、唖然とする。

ジョンスは無事に生還し、ミナの愛犬を引き取る。嫁と2人で帰宅している時に、トンネルを通りかかる車。ジョンスは体を固くするが、嫁がそっとその手を握る。

感想

ジョンスが非常に善人であるのに対し、トンネルの外ではそれこそ醜い争いが続きます。
政治的な思惑、「ジョンスは死んでいるんだから、諦めたほうがいい」と自分たちの金もうけのためにいう企業、加熱する報道。その一方で、ラジオ番組のDJはジョンスのためにメッセージを流し続け、彼女の妻は献身的に作業員の食事を作るボランティアを続けます。「どうせ死んでいるだろう」という人たちにも言い分があり、その人たちを犠牲にして「助けたい」というのはエゴなのか?と思わせます。

日本でも同じような事故がありましたが、あの事故ってこんなに恐ろしいことだったんだなと改めて実感するほどの説得力を持つ映画。主演俳優さんの演技も素晴らしい。

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