「DEMON デーモン」

デーモン

2015年のアメリカ映画「DEMON デーモン」。アンソニー・ホプキンスがおじいちゃんになったなぁ……と思いつつも、ラスト5分の演技に痺れる。こう、「目で演技する」なんてモノではなく、毛穴がぐわっと開くような何かを感じる。
ただ、映画のあらすじ自体は期待していたほど骨太ではないという点、主人公のお姉さんがものすごくゴツい点(まあ、きゃしゃでもガッシリでもどっちでもいいけど、「セクシー美人」っていう感じかなぁ?とは思う)は気になりました。

登場人物

レスター:森林伐採の仕事をしているベテランの老人。娘をドラッグで亡くしている。
リリアン:亡くなった母の家に戻ってきた美人。この母が伏線なのかと思いきや、そんなことなかった。なお、美人という設定に謎を感じる。
ネイト:レスターにくっついている若者。考えが足らないが好青年。リリアンといい感じになる。
ブラックウェイ:田舎町を支配する謎の男。警察も彼に手を出すことを恐れているほど。ドラッグの密売などを行っているが、その手口も非道。

ネタバレ

夜道を歩いている女性。誰かに襲われて叫ぶ!

新しい街に引っ越してきたリリアンだが、彼女の新居には謎の男がやってきて、彼女を脅している。
飼い猫の首を斬られ、警察に相談に行くリリアンだが、彼女を脅しているリチャード=ブラックウェイは相当怪しい人物らしく、警察も何もできないという。紹介された男に会いに行けと言われるリリアンは、おとなしくその助言に従い、製材所に行く。

製材所では、老いた男・レスターや若い青年・ネイトがくだらない話をしている。昔は女がいない間山にこもりきりになった時には、“木の幹を使った”とえげつない話をしている男たち。
そこにリリアンがやってくる。目当ての男はそこにはおらず、リリアンは追い返されそうになるが、なぜかレスターが彼女を助けると言い出す。ネイトも彼に合意する(彼はあまり物事を深く考えない)。
実はレスターも、ブラックウェイには因縁があった。娘がドラッグの過剰摂取で死んだのだ。そのドラッグの供給源も彼だし、レスターをひどく侮辱したのも彼の仲間だった。
入れ替わりで、リリアンに紹介されるはずだった男が戻ってくる。彼は既にブラックウェイとのやりとりに辟易していて、とても力になれなかっただろう。

ブラックウェイの別の被害者に話を聞きに行く3人。彼はどこにいるのか?
口を閉ざす被害者だが、リリアンが娘の先生だったことを知り(彼女は教師のボランティアもしている)、口を開く。

ブラックウェイを探して、彼の手下と喧嘩になるレスターやネイト。ダイナーで食事をとり、仲を深める3人だが、レスターは相変わらず情報収集を続け、警告を受ける。ネイトは女の子の話題を出され、レスターにからかわれて笑われてしまう。
レスターはブラックウェイが拠点にしているホステルにたどり着くが、そこで昔、娘の死で嫌味を言ってきた保安官がブラックウェイの手下であることを知る。サプライズプレゼントを届けに来た宗教関係者のフリをしてホステルに侵入する3人だが、リリアンは同級生のトルーディを見つけ、彼女を逃がすことにする。結局拠点に放火してしまったレスターたちは、4人で脱出した。友達を送り届け、自分は戻ってくるリリアンに、レスターとネイトはこっそり「バカだ」と会話を交わしている。

ブラックウェイは、森の中にある伐採宿舎に隠れているようだ。

リリアンとブラックウェイの因縁はたいしたものではない。酔ったブラックウェイのしつこい誘いを、リリアンが断っただけだ。レスターは見回りにでかけ、ネイトはリリアンに「「旅をしてみたい」と打ち明ける。実は、レスターの娘はネイトのベビーシッターだったことから、非常に仲がいいのだ。
だがそこに、ブラックウェイが出てくる。こっそりと彼を狙うレスター、ブラックウェイに乱暴に扱われるリリアン。殴り合いと撃ち合いの結果、隠れていたレスターは撃たれるも敵を殺し、殴られていたリリアンはブラックウェイが殺されたことで助かる。その死体は森に遺棄することになった。
(ブラックウェイはむちゃくちゃあっさり死にます)

「悪人が油断したら、第二の悪人にチャンスがくる」
「あなたのこと?」
「今は、違う」

帰宅した3人。ブラックウェイの話を持ち出すリリアンに、レスターはふともらす。
「ブラックウェイ?誰だそれは?」
驚くリリアン。彼はもうその話は“タブー”だというのだ。
「またな」
リリアンはネイトと帰宅する(2人はいい感じ)。レスターは1人、窓の外を見つめている。

感想

・アンソニー・ホプキンスが控えめで好感度を高いじいさんを、さりげなく演じているのがなんだかおもしろい。だけど、ラストの「誰だそれは?」の顔がむちゃくちゃ狂っている感じもする。静かな狂気というか、レスターも善人なのだろうか?と疑ってしまう感じ。
・リリアンが街のボスからも気に入られる美人、みたいなキャラクターに違和感。
・ただ、ネイトのおバカっぽい感じ(コミカルなおバカというわけでなく)、どことなくレスターよりポイントがずれているというか、考え方が散漫な感じはすごくうまいというか、いいヌケになっているなあと感じたのも事実。
・それにしても、ブラックウェイは絶対的支配者なんだから相当ワルイんだろうな、と思っていたのに、いまいち本人のやっていることがショボすぎてスケールが小さい話に見えてくる。田舎の町の“王様”にしてもそれを語る人が少なすぎてピンとこないですし。でも、最後のセリフは自殺をほのめかしているようにも、復讐を遂げた者の言葉にも聞こえる。そこだけは本当に素晴らしい。

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