「ペット 檻の中の乙女」

ペット 檻の中の乙女

2016年「ペット 檻の中の乙女」を見ました。アメリカ/スペイン映画です。檻の中に美女を閉じ込めた冴えない男。だけど、実は2人は大きな秘密を抱えていて……監禁モノのなかでも異色作。時たま「どうしてこんなことができるの?」というシーンもありましたが、それを差し引いてもいい作品です。

ネタバレ

犬を殺処分する施設で働いているセス。彼はバス通勤をしていて、昔好きだった高校のマドンナ・ホリーと再会する。舞い上がるセス。彼女は作家志望のウェイトレスらしい。
セスはホリーのSNSをチェックして、ネットストーキングする。彼女の職場にまで押し掛けるセスだが、ホリーはセスのことを忘れていた。思いきり怪しまれ、すげなくされるセス。

帰宅中、ホリーは誰かに尾行されているように感じる。元カレのエリックからの電話を、女友達がからかう。
職場に届いたバラの花束を元カレの仕業だと思って会いに行くホリーだが、それはセスがやったことだった。セスはエリックに殴られてしまう。

ホリーを驚かせたホームレスを燃やしている誰か。それはセスなのだろうか?

こっそり、職場の倉庫の中にあった地下室に檻を作るセス。ホリーを麻酔で眠らせ、彼女を檻に入れるセス。
気が付いたホリーは暴れるが、爪がはがれるだけだ。

食事を拒否するホリーだが、少しずつセスの言いなりになっていく。
彼女の友達の幻想が、ホリーを慰めてくれる。
とうとう檻の中で用を足すホリーだが、そこにネズミが現れ、彼女を脅かす。ホリーはネズミを踏みつぶしてしまう。

セスは彼女に疑問をぶつける。外で見せる顔とそうじゃない顔、どちらが本当の彼女なのか。セスはホリーを救いたいのだ。だが、愛とは犠牲であるべきなのか?セスは自分が嫌いで自信がないから、ホリーに依存しようとしているのか?2人は喧嘩をする。
セスは恐ろしい指摘をする。彼女の友達・クレアは、いつも彼女のそばにいて、檻にいる時にも幻想としてつきそってくれていた。だが、そもそも、彼女は存在しない。彼女は死んでいたのだ。しかも、ホリーに殺されていた。
クレアはエリックと浮気をしたことでホリーの激昂に触れ、ホリーは彼女を乗せた車で交通事故を起こした。彼女は死に、自分は助かった。それ以来、ホリーは時たまクレアがいるようなフリをしている。

ホームレスに火をつけたのもセスではない。ホリーだった。彼女は快楽殺人鬼だったのだ。
ホリーは自殺をほのめかし、セスを追い込んで立場を逆転させていく。彼女が自殺したら、監禁犯だとバレてしまうからだ(ホリーは自分の死体を隠ぺいされると思わないんだろうか?)。

だが、彼はしょっちゅうホリーのところに入り浸って職務に怠慢だと注意されるし、警備員のネイトに行動を怪しまれている。ネイトはホリーの入った檻をみつけて驚くが、ホリーの目配せするまま、セスはネイトを殺してしまう。ホリーはニヤつきながら、ネイトをバラバラにして失踪したように見せかけろと命令する。歯を折り、指紋を削ぎ、身体を刻むセス。ネイトのデスクの写真(犬抱いてニコニコ写真)を見ながら、セスは自責の念にさいなまれる。

ホリーを誘拐したのは、彼女を独り占めしたかったからではない。他の人を殺させないためだった。
ホリーは自分が他者の生死を決められる人間になりたいと考えている。

セスはネイトを殺したと疑われるが、めちゃくちゃな証言をしてさらに怪しまれる。
ホリーはセスに、愛されている証拠に指をくれと言い出す。「愛していないならこのまま出て行って、戻ってこないで」。セスは指を切り落としてホリーの檻を開ける。だが、セスはそのままホリーに殺される。ホリーにしか見えないクレアは、ドアを開けて待っている。

その後。エリックと復縁したホリーは、作家としても自主製作本を出すことが決まっている。絶好調だが、エリックの浮気に気が付くホリー。包丁を片手に近付くが、彼女を殺さない。
彼女はある倉庫に入っていく。そこには、檻があり、中には指が欠け、皮膚がただれ、失明しているセスがいる。彼は殺されていなかったが、それよりもひどい目にあっていたようだ。
エリックを殺そうかと思ったと彼に告げるホリー。だが、
「あんたに愛されてるから、幸せって思えたんだ」
微笑むホリー。セスは、彼女にすがりついている。

感想

・監禁している側とされている側がラストに逆転するというストーリーはよくありますが、檻の中にいながらにして主人公を操るホリーのキャラクター像には異様な迫力を感じました。まさか、主人公が
・「檻やセスをどうやって移動させたのか」という疑問が残りますが、サイコパスの女性を主軸に描いているのはユニークですね。また、この女優さんによくハマった役柄だなと感じました。小粒な印象はありますが、非常によく練られた脚本に脱帽します。

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