「ブラッディ・ツイン」

ブラッディツイン

2016年のカナダ映画「ブラッディ・ツイン」。おとなしい少女のなかから、凶暴なもうひとりの双子が目覚めて……というお話。

登場人物

ヘレン:主人公。普段はメッセンジャーの仕事をしている。母がモーテルで自殺しており、それ以来、親友のモリーだけにしか心を許していない。
モリー:ヘレンの親友。今は彼女とルームシェアをしている。女優を目指している。

ローマン:美しいヘレンに好意を持ち、メッセンジャー便を頻繁に頼む男。彼女に絵をプレゼントするが、それが恐怖の象徴となり、彼女を苦しめる。
エド:モリーの劇団の主宰。才能があるように振る舞っているが、ヘレンは彼をうさん臭く感じる。

ネタバレ

「ジェミニ・モーテル」(ジェミニ=ふたご座)で男性と寝ている女性。彼女はホテルに突然やってきた謎の男に強姦され、衝動的にハサミで自殺する・

23年後。メッセンジャーのヘレンは、ローマンという客の家に荷物を届ける。誕生日祝いに絵をプレゼントされるヘレン。

親友のモリーと共に、母がかつて自殺したモーテルで過ごすヘレンだが、誕生日を機に、昔モリーから盗んだアクセサリーを返す。家族の愛を知らなかった彼女は、モリーを少しだけねたんでいたと告白する。
モリーは女優をしており、先に稽古で立ち去る。ヘレンも立ち去ろうとして、モーテルをふと振り返り、次の瞬間に車にはねられる。

結局骨折して入院したヘレン。退院してからパーティが開かれる。そこでエドと初対面するヘレンだが、彼の薄っぺらさに辟易する。ヘレンは踊っている途中で記憶を失う。

気が付いたら、朝で記憶を失っているヘレンは、自転車を乗り回しており、車と接触しそうになっている。
でも、自分の記憶はない。
ローマンの絵を隠し(彼女の肖像画だが、内臓が見えているようなもの)、彼女はギブスの下が真っ赤になっていることを知る。

ジムのシャワー室で、誰かの気配を感じるヘレンだが、そこには自分と同じ顔の女がいた。
ヘレンは、自分が記憶のない間、ローマンと何かあったようだ。

また記憶を失うヘレンだが、気が付いたら裸で家に戻ってきていた。自宅には、モリーの劇団仲間たちがいる。みんなが呆然としている。モリーは足から血を流している裸のヘレンを心配する。

医者に相談し、MRIを受けるヘレン。モーテルにも足を運ぶが、ベッドの下を覗き込むと、また自分と同じ顔の女がいる。気が付いたら寝ているヘレン。鏡には「1」という殴り書きが見える(意味があるのかはわかりませんでした)。

ヘレンのことを、医師が呼び出す。「バニシング・ツイン・シンドローム」だというのだ。彼女の体の中には、生まれてこなかったもう一人の双子の姉妹がいる。補聴器でその音を聞かされるヘレンだが、叫びのようなものが聞こえて驚く。ヘレンは3日後に手術を受け、双子を除去することになる。

絵をしまったはずなのに、また出ている。しまってもしまっても、彼女の自画像は追いかけてくる。
ローマンに絵を返しに行くが、彼の家のパソコンに映像が残っている。記憶のないヘレンは、ローマンにサディスティックなプレイをしたらしい。彼女はローマンの家の鏡で足を切ったことをうっすら思い出す。

ヘレンは突然、長い髪の毛を吐き出す。
「I AM COMING」と鏡にはメッセージが残っているし、絵はまた目立つところに飾られている。彼女は絵を捨て、自分を縛って眠る。

だが、目を覚ましたら脚はドロだらけ、手と股は血だらけ、ナイフも落ちている。また絵も戻ってきている。
モリーの芝居の本番のため、彼女に催促されて身支度をするヘレン。だが、フラついて満足に歩けない。衝動的にギブスを壊し、赤くなっている腕を確認するヘレンだが、そこには腕を縫った痕があった。それを裂き、ヘレンは自分の体の中から人の指を取り出す。
痛みを隠しながら歩きだしたヘレンだが、エドに見つかってしまう。彼はヘレンにすっかり夢中だ。昨夜、彼女はエドと過ごしたらしい。しかも、そこで処女喪失したようだ。
しつこいエドを挑発して、「自分はガキだ」と言わせ、股間を傷つけようとするヘレン。おとなしかった彼女が、ウソのように凶行に及んでいる。

また、自分と同じ顔の女を見るヘレン。

目を覚ましたら、そこは自宅だ。モリーはヘレンが舞台をすっぽかしたことに怒っている。
モリーはヘレンがおかしくて下品な落書きをたくさんしていることに気が付き、心配している。

ヘレンは突然モリーを床に組み伏せたり、すぐにおびえてもとに戻って部屋に閉じこもったり、また彼女の首を絞めようとしたりと激しく人格が入れ替わる。外に逃げるヘレンだが、ストーカーのようになったエドが追いかけてくる。地下鉄の駅に逃げ込むが、追い付かれるヘレン。と、人格が入れ替わり、ヘレンはエドを何度も刺す。

ヘレンはエドの車に乗って逃げる。モリーはヘレンが苦しんでいることを理解し、彼女のもとへ向かう。
モーテルで自分のもうひとつの人格=双子の片割れと改めて会話をするヘレンだが、母の死から彼女を守ったのは自分だという双子(おそらく、母親が殺された時に双子がお腹の中にいたのか??)。モリーはモーテルにくるが、ヘレンが自分の皮膚を引っ張って裂くと、そこからまたヘレンが出てきて絶叫する。

鏡の破片で、モリーはヘレンのことを刺し殺す。

感想

・もうひとつの人格の凶行を恐怖として描くというより、「記憶がない間に何をしているのかわからない」恐怖のほうが強く描かれている感じ。ただ、もう一つの人格のサディスティックぶりが殺人とSMプレイと下品な落書き、というところで終わっているので、そこまで過激な作品ではないかも。しかし、ヘレンのなかからヘレンが出てくる映像は衝撃的です。
・この映画に出てくる男性(といっても2人だけど)が全員クズだった。ヒロインが2人いるのに、ヒーロー不在の映画であります。
・モリーはヘレンを責めて見捨てるのかと思いきや、ちゃんと信じて上げるところが良かったですね。「全員に見捨てられる映画」の胸糞悪さはすごいですから。

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