「アブノーマル・ウォッチャー」

アブノーマル・ウォッチャー

2015年の映画「アブノーマル・ウォッチャー」。アメリカ映画です。じじいの大家が若夫婦の家を覗くというただそれだけの内容ではあるのですが、ラストがかなりえげつなく、それでいて爽やかという不思議な作品。このじいさんの目からは世界が美しく見えているという事実、それに震える作品でもあります。

ネタバレ

3500万代の監視カメラが、過去10年、アメリカで販売されている。

監視カメラを物色しているじいさん。そして、それをある家に取り付けている。
家の内見にやってくる若夫婦、クレアとライアン。クレアは妊娠している。大家のじいさんの汚さ、臭さをクスクス笑うが、家が気に入って引っ越してくる。

引っ越し祝いにやってくる友人カップル、オードリーとポール(それぞれ、クレアとライアンの親友でもある)。ここで、風呂や洗面所にもカメラがついていることがわかるが、彼らは気が付いていない。

ライアンはクレアがいない隙に、部下のハンナを家に連れ込んでセックスする。それを見てしまうじいさん。

夫婦の家にある開かずの扉は、ある部屋に通じている。じいさんは家に忍び込み、夫婦の犬をなつかせ、プールで泳ぎ、嫁の歯ブラシを使う。下着を物色してタオルの臭いを嗅いでいる。

また家にハンナを呼んでいるライアン(ここでクレアのほうが年上だということ、ハンナがクレアに引け目を感じていることがわかる)。
その一方で、犬は人間の食べ物を食べたせいで下痢をするが、2人はまったく見当がつかない。

ハンナはクレアが家にいる時にやってくる(パソコンを設定するため)。ライアンにはいたずら電話が続いている。
ライアンはクレアとセックスして、それをじいさんは監視カメラで見ている。

トイレがつまり、それを直しに行くじいさん。だが、トイレの便器の中にもカメラが隠されている!
じいさんはクレアのお腹をいきなり触り、「女の子だ……」と呟き、彼女を驚かせる。

じいさんはハンナを襲う。不在着信がクレアにもきているので、ライアンは嫁の携帯に水をこぼして壊してしまう。

じいさんは隠し部屋に入っていき、ハンナの世話をしている。彼女をこの家の中で監禁しているのだ!

ポールからライアンの浮気の話を聞いたオードリーは、クレアにそのことを話してしまう。ライアンは家を追い出される。

クレアはカメラに気が付くが、じいさんは先手を打ってそれを外す。
暴れるハンナを鎮めるためにじいさんは家に忍び込もうとする。家に戻ってきていたライアン。拘束を外したハンナはドアを叩き、助け出される。3人はトイレに隠れて通報しようとするが、電気が切れ、ライアンはじいさんと対決する。クレアはお腹が大きいから逃げられないが、ハンナは窓から逃げて助けを呼ぶことにする。
だが、ハンナは捕まってプールに投げ込まれ、殺される。
じいさんはライアンを殴り殺し、クレアの隠れていたトイレに押し入る。じいさんはクレアを地下室に連れ込む。

後日。失踪届を出しているじいさんと、ガバガバな捜査をしている警察。もちろん、彼のしたことはばれない。別のある部屋には、女がまた監禁されているようだ。それはクレアなのか、それとも違うのか?
「シャワーの出が悪いの!」
アパートに住む女性が、大家のじいさんを呼ぶ。彼は都合がつき次第修理をすると約束する。そして車に乗り込むと、その助手席には男の赤ちゃんが座っている。彼に微笑みかけるじいさん。

感想

・監禁×キチじいさん映画が最近はやっているのでしょうか?それにしても、ルックスも演技もケタ違いに不気味であります。ぽっちゃり体型、不潔な服装、さらに散漫な表情。ボーッとしているだけで怖いのです。
・武器を駆使してくるホラーによくある殺人鬼ではなく、パワー系なのも何気に怖い。
・人の欠点をクスクス笑うようなカップル、浮気をする男にはやはり天罰が下るのでしょうか?と思わせるラスト。
・それにしても、ラストに助手席に乗り込んでニコニコしているじいさんはただのおじいさんにしか見えず、とにかくこのシーンだけスカッと空気が爽やか、澄んでいる感じ。それが余計に怖い。お金がかかっていたり、怖いシーンが詰まっているものではありませんが、いい作品だと思います。