「ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ」

ファイナルガールズ

2015年のアメリカ映画「ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ」。80年代のカルトホラー映画の中に飛び込んでしまった若者たちが、変わっていく展開に振り回されつつ、殺人鬼を殺すために奮闘。しかし、殺人鬼を殺せる力を持つ『ファイナル・ガール』が死んでしまい……という、とてもユニークな話。しかも死んだはずのママ(女優)と映画の中で再開し、ママを死なせないために奮闘する主人公がまたかわいらしいという、とにかく脚本が素晴らしいお話。
もうひとつのブログでは2016年に見た映画の感想をまとめているのですが、そこでも大絶賛したくらい好き。ただ、全然知られていないのが残念。

登場人物

マックス:主人公。映画女優の母を交通事故で亡くして以来、落ち込んでいる。
クリス:マックスを気遣うイケメン
ガーティ:マックスの親友
ダンカン:ホラー映画マニアであり、ガーティの義理の兄(両親同士が再婚)。
ビッキー:クリスの元カノであり、現在は別に彼氏がいるものの、クリスに未練がある。マックスとは昔は仲良しだったが、今では距離ができている。ガーティからは「ビッチ」と嫌われている

ナンシー:「血まみれキャンプ場」で母が演じていたキャンプの指導員。処女だが、映画内でカートを相手に行為に及び、殺人鬼に殺される。
カート:キャンプの指導員で、ヤリチン役。女のことしか考えていない
ティナ:金髪美女のキャンプ指導員。ナンシーと同じく、殺され役である。ビッチでおバカだが性格はいい。
ミミ:殺され役のひとり。やはりキャンプ指導員。
ブレイク:キャンプ指導員のひとり。黒人で気のいい男。
ポーラ:「血まみれキャンプ場」で生き残り、殺人鬼を殺す『ファイナル・ガール』。

ビリー:無差別殺人におよぶ謎の男。エッチな雰囲気が発生すると、それに呼び寄せられるように闇から出てくる。基本的には「処女」よりも「ビッチ」「ヤリチン」を優先的に殺す。

ネタバレ

「血まみれのキャンプ場」という昔の映画の予告編が流れる。

その脇役をしていたアマンダは、その後の人生に苦労していた。娘のマックスは母のことを応援していたが、ある日2人で車に乗っている時に母が交通事故を起こし、アマンダは死んでしまう。

時は流れ、3年後。主人公のマックスはイケメンのクリスに恋していた。友達のガーディの義理の兄(両親が再婚したから)のダンカンはホラー映画マニアであり、イベントにマックスを招待する。伝説のB級ホラーに出演していたアマンダの娘だから、という理由で声をかけられて最初は断るが、宿題と引き換えに承諾する。

イベントでは、クリスの元カノであるビッキーが現れて、クリスに色目を使いつつマックスをけん制する。実はマックスとビッキーはかつて友人だったが、今はさほど仲良くないこともわかる。

「血まみれキャンプ場」のリバイバル上演イベント。映画が始まるが、落ちた酒瓶にタバコが飛び、火事になってしまう。マックスたちは窮地から脱出するため、スクリーンを裂いて逃げようとする。

だが、マックス、クリス、ビッキー、ガーティ、ダンカンが目を覚ましたら、そこは森だった。
どうやら、彼らは「血まみれキャンプ場」に入り込んでしまったのだ。

登場人物たちが乗る車にヒッチハイクし、キャンプ場に向かう面々。そこには、やはり映画に出てきたキャンプ場があった。
そして、車の後ろで寝ていた女性が出てくる。それが、マックスの若かりし頃のママ(映画内ではナンシー)だった。だが、彼女はあくまで映画の中の女の子にすぎず、現実のことはなにもわからない(つまり、アマンダではない)。マックスはママとの再会に目をうるませる。
その一方で、彼らは「この映画では、セックスした順に殺されるはず」という方程式を見出す。

ナンシーと接触するマックスだが、彼女はカートとセックスするか迷っていた。マックスはママが死なないために、彼女を止める。

森に入ったミミをつける彼ら。彼女は黒人旅行者と森で出会い、突然エッチな雰囲気になる(B級ホラーだから)。そこに殺人鬼のビリー出てきて、彼らを殺す。
だが、ビリーと鉢合わせてしまったマックスたち。マックスたちが映画に出てこない人物なので、ビリーも困惑してしまう。彼らは逃げ出す。

映画ファンのダンカンの分析から、ファイナルガールが殺人鬼を殺したら映画が終わり、彼らは外に出られるのではないか?ということになる。そして、処女のポーラがファイナルガールであることもわかる。だが、自撮りをしていた呑気なダンカンは、殺人鬼の飛ばしたナタが腹に刺さって死んでしまう。

ダンカンも死に、どうしたらいいのかわからない。しかも、彼らは映画に閉じ込められてしまい、キャンプ場から外に出ることができない。

彼らは殺人鬼が出てこないように、各キャラにくっついて観察する。
エッチな雰囲気があると、「シィ……ハァ……」という声と共に、ビリーが現れる。
セックスしようとするママを止め続けるマックス。「私にはあなたは特別な女の子」と言い続ける。それはマックスが母に言えなかったことでもあった。
だが、ビリーは彼らを殺しに現れる。

と、ここで回想シーンに飛ばされるマックスたち。ビリー・マーフィという殺人鬼が生まれた理由を見せられる。回想シーンで、ビリーが火傷した理由(とはいえ、彼は仮面をつけている)がわかる。彼はキャンプ指導員に強い恨みがあるのだ。キャンプでビリーはいじめられ、彼らのせいで火傷を負ったのだ。

現実に戻ったマックスたちだが、恐怖でポーラとカートが逃げ出そうとする。実は生きていたダンカンがキャンプ場に戻ってくるが、彼らの車に轢かれてしまう。だが、ポーラとカートもキャンプ場から外に出られないので、そのまま見えない壁に激突し、死亡してしまう。
マックスたちは映画から出るために必要な『ファイナル・ガール』を失ってしまったのだ。

マックスたちは事情を映画内のキャラクターに説明する。
そして、生き残るため、彼らは新しいファイナルガールを選ぶことにする。ビッキーは立候補するが、処女ではないからと却下される。そして、マックスが適役だということになる。ファイナルガールは殺人鬼と対峙しなければいけない、危険な立場だ。
だが、そこでナンシーがファイナルガールに立候補する。彼女もまた、処女だった。

揉めつつも、彼女たちはビリーと戦うための準備を始める。武器を作り、罠を作る彼ら。

ビッキーはマックスの前で涙を見せ、昔は友達だったのに離れていったマックスに嫉妬していたと謝罪する。2人はまた、親友に戻る。

だが、ティナがここで向精神薬を飲んでしまい、ラリってしまう。ティナは踊りまくり、胸を丸出しにする。そのせいでビリーがやってくる。ティナは殺されてしまう。
だが、トーテムポールで攻撃され、剥製のシカのツノに突き刺さるビリー。
ガーティはブレイクとキスしてしまう。
ナタをビリーから取り上げようとするブレイクも、生きていた殺人鬼に殺されてしまう。
弓矢で応戦するも、ビリーは死なない。

ガーティとビッキーは本棚の下敷きになるが、2人はマックスに「逃げて」という。ガーティがまず刺され、ビッキーも絶望する。それを機に家が燃え上がり、爆発するものの、ビリーは燃えた体で外に飛び出して追いかけてくる。

クリス、マックス、ナンシーは逃げる。

と、ここでまた回想シーンに飛ぶ。回想シーンにはビリーもついてくるが、シーンの終了と共に元のキャンプ場に戻ってくる。クリスも切られ、ナンシーはさらわれる。マックスはママを助けるために、殺人鬼と立ち向かう。

ママは生きているが、まったく殺人鬼には歯が立たないマックス。彼女自身が死にそうになるが、その時にようやく、ナンシーに真実を明かす。現実の彼女は、自分のママだったと。
それを聞いたナンシーは「自分が死んだら、マックスがファイナルガールになれる」と、自ら殺人鬼と戦い、犠牲になる道を選ぶ。「私はここにいるわ、いつだってここにいるの」「私は映画スターよ」

殺人鬼と戦い、殺されるママ。だが、ママが死んだ瞬間、彼女にはファイナルガールとしての力が宿り、非常に強くなる。ビリーのナタを持ち、彼女は言う。
「処女をナメんなよ。怒らせる相手を間違えたわね」
ビリーの首を切り落とし、映画が終わる。エンドロールでキャストヤスタッフ名が流れ、「R指定」という文字が出てきて、フィルムが巻き戻っていく。

マックスが目を覚ますと、そこは病院だった。クリスは隣のベッドにおり、死んだはずのダンカンやガーティ、ビッキーもいる。だが、ナタで切られた傷はダンカンの体に残っている(とはいえ、彼は自慢げだ)。
彼女の腕には、ナンシーのプロミスリングが残っている。

病院では、医者と看護師がイチャついている。
「シィ……ハァ……」
彼らは気が付く。『血まみれキャンプ場2』の世界に飛ばされていることを。再登場したビリーを相手に、マックスは点滴台を掲げ、戦いを挑む。

感想

・ホラー映画の中に潜り込み、殺され役のママを助けようとする女の子というとてもユニークな設定。脚本が面白すぎるし、80年代のホラーらしい雰囲気も出ています。
・「スクリーム」のように、ホラー映画に対してのオマージュやメタ的な説明キャラが登場するのもホラー映画マニア向けという感じ。
・「処女をナメんなよ!」というセリフのかっこよさに凍る。