「ミュージアム」

カエル男

2016年の邦画「ミュージアム」を見ました。雨の日にしか現れない殺人鬼・カエル男。カエル男は無差別殺人を繰り返すが、実はそこにはある隠れた「法則」があり……そして主人公の妻と息子がターゲットとなる!という、やたらと緊迫したお話であります。
・残酷描写がまあまあしっかりしている(とはいえ、かなり省略されている部分も多い)
・ただ、ご都合主義もかなり多いような印象
・今作では松重豊さんがいつもと髪型を変えていたのがなんとなく面白かった
個人的には、後半からのぶっとびご都合展開が面白かったです。

あらすじ

巴亮介の同名コミックスを「るろうに剣心」「秘密 THE TOP SECRET」の大友啓史監督が実写映画化した猟奇サスペンス・スリラー。雨の日に猟奇的な殺人を繰り返す正体不明の“カエル男”と、それを追う刑事の緊迫の攻防をスリリングに描く。主演は小栗旬、共演に尾野真千子、野村周平、大森南朋、松重豊。また、妻夫木聡が自らをアーティストと呼ぶ殺人鬼・カエル男を怪演。
ある雨の日、手足を鎖につながれた状態で腹を空かせた獰猛な犬たちを放たれ、生きたまま餌にされた惨殺死体が発見される。“凶器”となった犬の胃の中からは“ドッグフードの刑”と書かれた謎のメモが。それが、自分をアーティストと呼ぶ“カエル男”による連続殺人事件の始まりだった。犯行はいずれも雨の日に行われ、現場には必ず謎のメモが残されていた。新米刑事の西野とともに捜査に当たる沢村は、被害者の共通点を突き止め驚愕する。それは次のターゲットが沢村の妻・遥であることを意味していたのだった。沢村は冷静さを失い、カエル男の罠にはまって逆に追い込まれていく。
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=354843

ネタバレ

ミュージアム1

嫁と息子に出て行かれた刑事・沢村。そんな彼に、事件の一報が入る。犬に生きたまま食い殺された女性の死体が見つかったのだ。そこには「ドッグフードの刑」というメッセージが残されている。

被害者女性の家に向かう沢村と同僚たち。恋人は泣き崩れる。

次にターゲットになったのは、ニートの男だった。彼は家に引きこもっていたが、他に誰もいない時に誰かが訪ねてきて、ドアノブをひたすらガチャガチャしてくる。そして謎の人物は、そーっと中に入ってくる。包丁を持ち出すニート男だが、「まさかドア裏に隠れてたりして」→ホントに隠れていたというコンボを経て拉致される。ニート男は連れ去られた雨の工場跡で、カエル男から「有罪」を言い渡される。そして「母の痛みを知りましょうの刑」が執行される。

別日、発見されるニート男の死体。彼は頭皮を切り取られていた。出生時の体重分の肉を削られて殺されたのだ。沢村は部下の西野と昼食を食べながらその話をしているが、相席をしていた人が水をコップに注いでくれる。沢村は、犯人が左手の親指にケガをしているはずだと推測するが、その相席していた人物の指に気になるケガがあったことを思い出し、追いかける。だが男は姿を消している。

沢村は息子の誕生日を忘れて、妻を怒らせたことを思い出している。

ドッグフードの刑が執行された女性は、恋人と同棲するためにペットの犬を保健所に連れて行った(恋人が犬アレルギーだったため)過去があった。沢村は犯人は死体を見せたがっており、連続殺人犯の可能性が高いことを示唆する。
そして、西野が被害者2人に共通点があったことを調べ上げる。2人は「幼女樹脂詰め殺人事件」の裁判員だったのだ。裁判に関わった人物たちが、ターゲットになっている。沢村は真っ青になる。彼の妻の遥も、その裁判員のひとりだったのだ。この事件は、子供の死体をクリスタルレジンで標本のように固めたという恐ろしい事件であり、被疑者として逮捕された男は精神疾患持ちで死刑判決を受けるも、自殺してしまっていた。

この事件の裁判官は行方不明となっていたが、家族と愛人のもとにそれぞれ体の真ん中からまっぷたつに切られた死体がそれぞれ届けられる。「均等の愛の刑」とメモがつけられている。

また、美容整形などを繰り返していた女裁判官は「ずっと美しくの刑」で氷漬けにされ、裁判員だった占い師の男は口に針を詰め込まれた「針千本飲ますの刑」を執行されている。

沢村は妻と息子が事件に巻き込まれたかもしれないということから、事件の担当を外される。だが、彼は妻子の行方を探して妻の親友・佳代のもとを訪ねる。だが、彼女は沢村をひどく嫌っており、「遥は裁判の時も、流産の時も苦しんでいた」という。ここで初めて、妻が流産していたことを知る沢村。沢村の同僚が合流するが、ここで彼らが会話をした佳代の彼氏の話になる。
だが、彼女は「自分に恋人はいない」と明言する。
その頃、収納ケースに入れられて運ばれている遥と息子の姿があった。そして残っていたメモには「お仕事見学の刑」と書かれていた。

沢村はカエル男を追いかけるも、車が横転(ぶっちゃけ画面が暗いのとガチャガチャしているのでよくわからない)。そのまま死にかけている沢村を見下ろすカエル男。

遥に言われた「父親としてはあなた、最低よ」という言葉を沢村が蝕む。

遥は、裁判のことでずっと思い悩んでいた。被疑者に死刑宣告が下ったことも、自殺したことでも苦しんでいたのだ。だが、それを沢村は感じもしなかった。

西野は捜査を退いた沢村に情報を流している。死刑判決を受けた後に自殺した大橋は天涯孤独であり、彼の復讐を考えるものの犯行とは考えにくい。しかし、沢村はある考えに至る。幼女樹脂詰め殺人事件の真犯人が、この一連の犯行を行っている殺人鬼なのではないか?
喫茶店で話している沢村と西野だが、ガラス窓越しにカエルマスクの男が立っているのが見える。沢村をカエル男を追いかける。だが、車の前に飛び出して轢かれてしまう(唐突)。

ビルの屋上にいたカエル男に追いつく沢村だが、そこにはカエル男が手にする1本のロープで体重を支えられている西野の姿があった。
自分をアーティストだと言い、「君もいずれ、僕のミュージアムに加える」と沢村に告げるカエル男。彼の犯行の動機は、やはり自分の美しい犯罪が大橋の“手柄”になったことが許せないからであった。だから裁判に関係した者を皆殺しにしているのだという。

突然焦りだしたカエル男はロープを放し、そのまま西野は落下。沢村が西野のほうに駆け寄る隙に、悠々と去るカエル男(この時に確保しないのか?)。
沢村は警察に確保され、西野の婚約者の悲しみを目の当たりにする。

だが、パトカーに乗っている途中で暴れて逃亡する沢村。とはいえ中華料理屋で休憩しているところ(呑気ですね)、エビアレルギーの男に遭遇してふと思い当たる。カエル男が雨の日にしか登場しないこと、西野を殺した時に当然去ったのは、雨がやんで太陽が差したからだということから、男が日光アレルギーではないかと気付いたのだ。

紫外線アレルギーについて調べ回る沢村。ある研究所で、何かを知っている女医に行き当たる。彼女から「霧島早苗」という男の情報が浮かび上がる。その男が住む洋館に入っていく沢村だが、その地下にはカエルマスクとともに、さまざまな証拠品があった。
と、カエル男(素顔はツルッパゲの妻夫木聡)と遭遇して殴り合いになる2人。バールで殴られても元気な沢村(どんな体してるんだよ)。しかし、気絶してしまった沢村を、カエル男は監禁する。

気付いたら部屋の中にいる沢村。妻と息子を模した、ジグソーパズルのかけら、銃がある。苦しむ沢村の監視映像を、パソコン越しに観察するカエル男。画面をペロペロする(ホコリがすごそう)。

一方、沢村の足取りを追う警察。

「部屋を出るには、遊びに付き合うしかない」と気付く沢村は、ジグソーパズルを始める。その絵柄は息子の書いた絵がプリントされている(芸が細かいですね)。部屋を出るためのパスワード(正しい文字列を入力すれば出られる)を探すが、妻や息子の名前ではない。最初は避けているが、差し入れられたハンバーガーやコーラを口にする沢村を、カエル男はニヤニヤ見ている。
「メトロポリタンミュージアム」(NHKみんなのうたで流れていた。名曲ですね)を歌いながら、ハンバーガーを手作りしているカエル男。

警察は女医師までたどり着くが、情報が引き出せない。だが、刑事のひとりが美術商夫婦のバラバラ殺人事件(2人分の死体が1人分にされていた)を思い出し、その子供に思い当たる。
そして、その事件を調べると、もうひとり「霧島幹江」という女児もいたことがわかる。そしてそれが女医(沢村が霧島の情報を引き出した女性)であることが判明する。

カエル男は沢村に、妻と息子の「心」をどうやって殺したのか尋ね、沢村は絶望する。「初めて誰かと作品を一緒に作ってみたいと思った」というカエル男。

沢村は自分の父が刑事だったこと、そのせいで母は孤独に死に、父と不和だったこと。だが、父親が殉職したことで刑事を目指したことを思い出す。
ジグソーパズルを完成させる沢村だが、ピースがない。その欠けたピースの穴が「EAT」という綴りになっているのを見て、自分が食べたハンバーガーの肉が妻と息子だと思う。部屋から外に出た沢村は、冷蔵庫の中に2人の生首があるのを見つけてしまう。

だが、本当は遥と息子は殺されておらず、カエル男の悪質なイタズラ?だったことが判明するが、沢村はまだ気がついていない。カエル男は沢村を煽り、遥にカエルマスクをかぶせて隠れ、夫に妻を殺させようとする。だが、ムグムグ言っているカエル男の様子を不審に思った(当たり前だ)沢村は、自分の妻が生きていることを知る。

結局、カエル男は息子を人質にとり、「沢村が妻を殺せば、息子を助けてやる。だがいうことを聞かないなら息子を殺す」と言い出す。泣き出してしまい、どうにもこうにも何にもしない沢村。
結局、沢村は器用にカエル男を撃つ。
無事だったカエル男はエンディングについて考える。
①妻を殺した父と子が生き残る②カエル男を殺し、3人とも助かる③家族全員が死ぬ
ぐったりする沢村に、③のエンディングを迎えるようにいうカエル男。

だが、沢村の後を追ってきた警察が登場し、カエル男は逃げ出す。その後、太陽のもとに飛び出し倒れるカエル男。(ここからスーパー演説タイムが始まるけど、どうでもいいから聞いてなかった)

3ヶ月後。
沢村は西野の実家を訪れ、仏壇を前に手を合わせている。
遥はライターに追いかけられて不快な思いをする。
女医(実はカエル男の家族)は入院しているカエル男のもとを訪れ、彼を殺す。カエル男の日光アレルギーは、心因性のものだったとわかる。

「3つのエンディングのどれかに到達したら、悪夢は終わるのだろうか?」

息子の運動会。沢村は遅れてやってきて、遥はようやく笑顔になる。ビデオをとりながら、夫婦は微笑みあう。だが、ビデオの中の息子は肌をかきむしっているように見える。

感想

・前半まではいいな~と思ったし、カエル男が喫茶店の外にいるところまではノリノリだったのですが、突然車に轢かれたところで笑ってしまった。そういえばやたらと車に轢かれていた主人公だったのですが、体が強すぎる。ずっとピンピンしてました。バールで殴られても元気だし。
・カエル男はマスクをとったら肌が爛れたスキンヘッドの男、という設定なのですが、あまりキャラクターとしては魅力的な感じしないのはなぜでしょうか?行動がなーんかステレオタイプの変態だからかな?パソコンの画面をねちょねちょ舐めるとか。
・ハンバーガーが人肉じゃなかった!というところで、ズコーっとなってしまった。別にそうあってほしいわけではないのですが、沢村を騙して妻子を殺させてガクーッとさせるぞ!って、猟奇殺人鬼にしてはヌルい発想のような気がする。しかも2秒で失敗してるし。とりあえず、手作りハンバーガーって食べたら絶対にわかると思う。それともカエル男はまさかの料理上手なのか??
・ただ、ゴア描写みたいなものはしっかりしているから、この映画の力の入れどころがわからない。
・女医がカエル男の家族だったという設定は何だったんだ(原作だともっとはっきりしているのかもしれませんね)。
・ラスト、息子がトラウマから太陽光アレルギーになるのか?ちょっと後味悪いですけど、ただかゆいだけという可能性も否定できないから、何とも言えません。おわり。