「クリーピー 偽りの隣人」

creepy

2016年「クリーピー 偽りの隣人」を見ました。ずっと「クリーパー」だと思っていた。「ジーパーズ・クリーパーズ」の影響だろうか?
・引っ越したら、隣の人がどうにもおかしい
・嫁もどんどん浸食されていく
・サイコパスに打ち勝つことはできるのか?
という、サスペンスであります。130分あるくらいなので、だいぶボリュームがありますが、見やすい話ではあります。実在した事件もモチーフになっているのだろうなあ、とは思いました。

ネタバレ

第15回日本ミステリー文学大賞新人賞に輝いた前川裕のベストセラー『クリーピー』を「ドッペルゲンガー」「岸辺の旅」の黒沢清監督が映画化したミステリー・スリラー。犯罪心理学者の主人公が、謎めいた隣人によって妻との平穏な日常を浸食され、いつしか深い闇へと引きずり込まれていくさまをミステリアスに綴る。主演は「ストロベリーナイト」「MOZU」の西島秀俊、共演に竹内結子、香川照之、川口春奈、東出昌大。
 大学で犯罪心理学を教える元刑事の高倉。郊外の一軒家に引っ越し、妻・康子と2人で穏やかな新生活をスタートさせる。ある日彼は、刑事の野上から6年前に起きた未解決の一家失踪事件の分析を依頼される。事件の鍵を握るのはひとりだけ残された一家の長女・早紀。しかし彼女の当時の記憶は曖昧で、事件の核心にはなかなか近づくことができない。そんな中、高倉と康子は、謎めいた隣人・西野の不可解な言動に次第に振り回され始めるのだったが…。

http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=353643

ざっくりとしたネタバレ

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サイコパスの研究をしている高倉。研究対象の男性を逃がしてしまい、一般人が殺される。高倉自身も刺されてしまう。

その後、大学教授に転じた高倉。引っ越しをした先では、隣人の女性に冷たくあしらわれる。もうひとつの隣家からは誰も出てこない。

大学の仲間に、一家失踪事件が起きた家に誘われ、様子を見に行く高倉。

一方、高倉の妻の康子は引っ越し祝いの手作りチョコレートを持って隣家に行く。対応した西野という男は、どこかズレている。

片倉のもとを訪れる部下の野上。

康子は西野の娘にも会う。いい人なのか、変人なのか?まったくわからない。

片倉は、野上と共に未解決の一家失踪事件を調べ始める。その「本多事件」の娘と、彼らが済んでいた家で送風する片倉。

片倉は西野に待ち伏せされ、嫁の悪口を言われる。

唯一の生き残り・本多早紀に話を聞く片倉。彼女の記憶は曖昧であり、頼りにならない。

康子は西野におかずを差し入れする。そこで妻に会わせると言われるが、つい逃げてしまう。

早紀は母が借金をしていたこと、父が同じ人と繰り返し電話をしていたこと、兄が酒を飲んで楽しそうに帰ってきたことを覚えている。いなくなった家族は共通の誰かと関係を持っていたのだろうか?

片倉の家で夕食を食べる西野親子。ぶしつけなしぐさに片倉はイライラするが、康子は西野たちの肩を持つ。

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早紀は、自分がいない日に、家族が誰かと会ったのではないかと考えている。そして、ふと隣人の「水田さん」という存在を思い出す。だが、早紀はどこか他人事のような片倉の「参考になります」という言葉に激怒する。

だが、片倉は電車の中で老婆に席を譲る片倉を見かけ、そんなに悪い人ではないのかも?とも思う。

片倉と野上は水田家を尋ねるが、その際に死体を発見する。本物の水田夫妻と、早紀の消えた家族3人だった。では、彼らを殺した男とは誰なのか?

西野は康子の腕をつかみ、「僕とあなたのご主人、どちらが魅力的か言ってください」と迫る。康子は既に、西野に蝕まれている。

水田になりすましていた男は、どこに消えたのだろうか?

片倉はたまたま遭遇した西野の娘・澪に「あの人お父さんじゃないです、全然知らない人です」と囁かれる。帰宅すると、康子は常にイライラしていて、誰かと電話をしている。

片倉は、本田家と水田家の配置が、自分の家と西野の家と同じ配置になっていることに気が付く(コの字状に片倉家・少し引っ込んだところに西野家・イジワルな隣人家となっている)。最初片倉夫婦に冷たく当たった隣人の女・田中(西野家とは別の家。母の介護をしている二人暮らし)は「西野はゴミですよ。人の心、持ってないですよ」と口走る。

片倉に頼まれた野上は西野のことを調べ始める。その家に住んでいるはずの西野と、実際の西野の顔が違うと免許証で見抜いたのが見は、そのまま西野家を訪れてしまう。家の中に鉄の扉があることを知った野上は、それに近付く。

片倉に西野の悪口を言った隣人・田中の家が、爆発してしまう。そこには田中家の2人の遺体と、野上の遺体が残されていた。

写真を見せられた早紀だが、西野は水田ではないと否定する。

その頃、西野の娘・澪は死体のパッキングをしていた。父が死んだのだ。父と兄の遺体を大きなビニール袋に入れて密封する澪。母には薬物を打ち、おとなしくさせる。だが、西野を襲う母。失敗した母を、西野は澪に殺させようとする。だが、戸惑う澪の代わりに、西野が彼女を殺す。

康子を家に呼び込む西野。彼女は憔悴している。
西野は澪が妻を殺したと言い、その死体を処理する手伝いをしてくれと康子に言う。康子は逆らえない。澪は片倉の家に逃げ込むが、片倉はわざわざ来訪してチェーンをかけられた玄関の扉の隙間からギョロリと大きな目をのぞかせる。

西野はわざと片倉に暴力を振るわせ、自分が読んだ警察に彼を連行させる。

警察で、野上に借金があり田中家に押し入ったという警察の推理を聞き、愕然とする片倉。西野への片倉の主張は、むしろ彼の孤独を深めさせていく。
しかも、西野は勝手に警察から帰宅していた。さすがにおかしいと感じた野上の上司と共に西野の家に向かう片倉だが、西野の家の地下室にひとりで入っていった野上は死体を入れている貯蔵スペースに落ち、そのまま薬を打たれてしまう。
片倉は自分の妻を西野の家で発見するが、彼女は「とっくにあきらめた」ようだ。引っ越しをすることで、何かが好転するのではないかと期待していた康子。だが、何もなかった。片倉は妻に彼女を放置していたことを謝罪する。

死に掛けている野上の上司を発見して助けようとする片倉だが、銃を持っている西野が立ち塞がる。康子に助けを求めるが、彼女は西野の言いなりで動かない。片倉は、西野が自分の手を極力汚さないよう、他人をコントロールしていることを見抜く。妻を励まし、「俺が全力で君を守る」と説得する片倉。康子は少しずつ動き、片倉の背中に隠れる。
だが、康子は夫に注射を打ちこんでしまう。

車の中。家族が増えたとはしゃぐ西野。車を運転する康子。澪もいる。片倉家の犬も、もちろん片倉も。彼は手錠で手首を固定されている。

彼らは遠くの街にたどり着き、同じ間取りの家を見つける。そこに入り込もうとする西野だが、「犬がジャマかもしれない」と言い出し、殺そうとする。だが、それを無気力化した片倉にやらせようとする。
「これがあんたの落とし穴だ」
拳銃を握らされた片倉は、西野を射殺する。
澪は大笑いして、西野の死を喜び、マックスと共にどこかに走っていく。夫婦はフラフラと少しだけ歩くが、突然絶叫した康子を片倉が抱き止める。西野の死体には、北風が吹きよせた木の葉が幾枚もまとわりついている。

感想

・サスペンス系によくある「誰にも信じてもらえない」展開とはなんなのでしょうか。さすがに元警察の言うことをそこまでないがしろにしないのでは、とも思う。
・結局、水田と西野が別人だったのか、早紀の記憶違いなのかは不明。まあ、あんなに濃い人が隣に住んでたら忘れないわよね。
・澪を演じた藤野涼子さんの演技がすごくいいなと思いました。
・とはいえ、康子がどう浸食されていったのかがほぼ描かれていないので、急に距離が縮まっていて驚いた(でも、130分もあるからこれ以上シーンを追加もできないでしょうけど)。なので、イマイチ「この人の言うことになんとなく逆らえない、もう疲れちゃった」という心理に共感できないといいますか。無気力になるまでストレスを与えられたら、私ならもう動きたくない。寝てる。あと、素人の手作りチョコレートって絶対いらないよね。