「ザ・ハロウ/侵蝕」

thehallow

2015年の映画「ザ・ハロウ/侵蝕」を見ました。イギリス映画です。
「漆黒の闇が美しい」みたいなことがパッケージに書かれている通り、夜の森をひたすら逃げるシーンが続いたり、真っ暗な家の中で息を潜める場面が出てきたり、闇映画です。
・赤ちゃんを誘拐する妖精(ヨーロッパの民話にもあります)を刺激した夫婦
・実は彼らが引っ越してきた森と村には恐ろしい伝説と過去があった
・次第に浸食されていく夫婦の家、そして彼らも……?
ちなみに、妖精の造形は布と土っぽいような、人形のような感じ。白くてツルツルした人間らしい造形のもの(私の大好きなディセントでもあった、洞窟に住んでいる系統のもの)とは違い、パペット感が強い感じ。ちなみに夫婦が言いつけを破ってヒドイ目に遭う話です。

ネタバレ

「その血を侵し、根を下ろすなら お前の名を崇めよ」
侵略の書 1150年

アイルランドの森は伐採され、切り売りされている。
森のそばに住むある家族。夫は学者であり、森について調べている。謎の家を見つける彼だが、家の隅には謎の黒いものがついている。

その頃、妻のところには近所に住む男・コラムが押しかけてきている。森に不法侵入する夫に警告をしているが、家族は聞き入れない。

彼らの住む家にも、黒い何かが繁殖している。
夫は妻に「ある胞子がアリにくっつき、それが体内で成長して頭を突き破って巣にも入り込み、アリは胞子の操り人形になる」という話をする。

夜、子供部屋のガラスが割られ夫婦の息子・フィンが泣きだしてしまう。
翌日に警官が来るが、よそ者である夫は森への侵入を繰り返しており、村に嫌われ者だ。警官はふと「森は“ハロウ”のものだ」と口走る。森に住むバンジーという妖精は赤ちゃんをさらう。この妖精に気をつけろというのだ。

証拠として、家の外観の写真を撮影する夫。森の中で何かが蠢く。彼らの飼い犬もそれを感じている。何かがおかしい。

翌日。子供部屋にグチョグチョの黒い何かが落ちていることに気が付く妻。
夫は赤ん坊の息子を連れて森にまた出ている。
妻の在宅中、コラムはまたやってきていかにも禍々しい本を置いていく。
また、夫は夫でコラムを車で轢きそうになる(ちなみにそのまま立ち去ります)。

車が動かなくなり、調べる夫。ボンネットの中が黒い何かでねちねちしている。トランクを調べていたら、突然トランクの扉が下がり挟まってしまう夫。しかも、車を何かにゆすられる。後部座席を破壊して、夫は車の中に這い出す。けっょく、徒歩で家に戻るしかない。
しかも、家のキッチンが荒らされていることを知り、夫は暴れる。彼はコラムの嫌がらせだと思っているのだ。
「絶対に出て行かないぞ」と宣言する夫。しかし、妻は怯えきっている。

一家の犬は何かをくわえて森から戻ってくる。犬の片目は赤く濁っている。しかも、また森の中に駆け込む犬。叫び声が聞こえ、もう戻ってこない。

車で逃げようとする一家だが、車は既に侵食されている。車の中で待つ嫁。何かが近付いてくる?
夫の背後には、なにか禍々しいものが集団で迫っている!
車の窓を割られつつも何とか車を動かして逃げるが、女の子の亡霊のようなものを轢きそうになる一家。そのまま車は用水路にハマり、彼らは車からダッシュで逃げる。何かの集団は車に群がっている。

家に戻った一家。だが、夫の片目がなんだかおかしい……。
そして、家の鍵穴から何かが侵入してくる。溶ける鍵穴。
夫婦は彼らが光に弱いことに気が付き、夫が発電機を動かすことにする。妻と息子は天井裏の部屋に閉じこもる。だが天井が腐食していき、黒い何かが妻に迫る。妻の目に、注射針のようにとがった黒い何かが近付いていく。
だが、夫は発電機をなんとか動かし、家の中に光が満ちる。しかし夫は黒い何かに侵されており、「嫌だ、嫌だ」と呟いている。手もなんだかグチョグチョしてきている。

家の外に、まだ彼らはいる。子供を棚の中に隠す妻。「発電機はいつか泊まる」と聞き、子供を守るために鍵をかけてしまう。だが、妖精たちは棚の裏からこっそり穴を開け、赤ちゃんをさらっていた。
だが、赤ちゃん用のトランシーバー(別室で赤ちゃんの様子が聞くためのもの。本来、泣き声をチェックするために使用されることが多い)がまだ赤ん坊にくっついており、それを追っていく妻。

父は子供を取り返そうとして落下し、足を折ったようだ。彼は家で酒を飲みだしてしまう(痛みをごまかすためかもしれない)。

子供を追いかけ続け、池に浮いている子を見つけた妻。必死で池に入り、子供を救う。
だが、それを連れ帰った妻に、「私たちの子どもじゃない」と言い続ける夫。これは夫の妄想なのか、それとも?

夫は頭が痛い。記憶が混濁していく。閉じこもろうとする妻だが、夫はドアをこじ開けて入ってくる。だが、光にひるむ。彼は背中?肩?からも何かが生えてきている。さらに、カマに火をつけて追ってくる。

妻はコラムの家に行き、彼を頼ろうとする。だが、コラムは断る。何度も警告したのに、彼らは聞き入れなかった。コラムもまた、娘のコーラを妖精たちにとられた過去を持っていたのだ。妻を家に入れると、コラムの一家も危ない。村中がそのことを知っていて、誰も彼らを助けないだろうと言うコラム。妻は諦めて逃げ続ける。

妻はカメラのフラッシュで妖精たちをひるませる。だが、だいぶ姿が変わった夫がそこに追いついて、息子について彼女に警告する。妻が抱きしめているのは、妖精たちが取り替えた子供だ。それが“ハロウ”だ。騙されてはいけないと。見た目にはわからない息子を見て、困惑する妻。
本当の息子を抱いているのは、夫が轢きかけた少女の亡霊、いや、すっかり侵蝕されて妖精と化したコーラだった。
夫はコーラを殺し、夫も反対に殺されてしまう。

夫の言葉を信じ、コーラが抱いていた赤ちゃんを抱いて逃げる妻。残された赤ちゃんは、太陽の光と共にぶすぶすと燃え滾り、崩れ落ちる。

家に戻る妻。赤ちゃんは本物だった。彼女は泣き崩れる。
コラムが彼女に渡した本では、化け物となった男と人間の妻・子が抱き合っているイラストが残されている。

しかし、森は伐採され続けている。伐採された木には、あの黒いネバネバがこびりついている。そのねちねちとしたものが、突然叫ぶ妖精のアップとなる。

感想

・環境破壊が頭に入らないほど、小規模な世界観で展開するお話。子供を守ろうとする両親と、ただ侵蝕を続ける妖精たち。
・妖精たちの攻撃スタイルが謎の黒い液体を使用して壁を溶かしたり、トゲのようなもので人を攻撃したり、既存のイメージとズレているのは面白い。
・車の中にいる妻と、外で修理をしている夫。じわじわと妖精たちが迫ってくるシーンは必見。邦画のしょうもなホラー「デス・フォレスト」にもこの手のシーンがありましたが、より長めに、より重厚に作られています。

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