「パラサイト・クリーチャーズ」

parasaitoc

2013年のオーストリア映画「パラサイト・クリーチャーズ」です。この映画も「ABC・オブ・デス2」に参加していた監督作品であり、いいなあと思ったので拝見。
結論から言うと、すごく素晴らしい。
この映画、もっと早く知りたかったな。
・山の上の観測所で研究をしている男女と、偏屈な管理人。
・視察に来た大臣を巻きこみ、恐ろしいクリーチャーが彼らを襲う!
とにかく、クリーチャーの造形のこだわりがすごい。気持ち悪いっす。

登場人物

ヤネク(ヤネック):観測所(研究所)管理人。かなり偏屈だが、犬にだけは心を許している
タニア:ヤネックと一時期付き合っていたが、現在は別れている
ハロルド(ハラルド):研究所のボス的存在。ヤネクと他の研究者の中を取り持つ
ビルテ:自己中心的な女性研究者。ヤネクをバカにしている
ファルク:ビルテ同様、ヤネクをあざけることが多い

ボディチェク大臣:女性大臣。研究所を視察しにくる
大臣の夫:優しげな老人。元山ボーイ
ルカ:大臣のSP
イレーネ:記録係。イヤミな女
ウルス:スキンヘッドな記録係。こいつもおちゃらけ好き。

ネタバレ

「世界各地で氷河が消えている。そして人間にも、変化が訪れる」
ヤネクの犬・ティニーがどこかに向かって吠えている。

ヤネクは5年も山にいる。研究所ができてからずっといるのだ。タニヤという恋人がいたのに、今は傷心気味だとからかう研究者たち。ヤネクはハロルドと一緒に山の上に登っていくが、雪が赤く染まっていることに気が付く。有機物のせいか。
ヤネクの犬が洞穴に入っていってしまい、倒れているキツネを見つける。そして、何かに巻き込まれる。犬もケガをしてしまうが、ヤネクが連れ帰る。

大臣の視察にあたり、このことを警告すべきだというヤネクと、隠しておきたい研究者たち。キツネが狂犬病を持っていたのかもしれない、危険だというヤネクをハロルドは説得し続ける。

酔って外で寝ていたヤネクは、夜中ゴソゴソいう音で目が覚める。顔が変形したキツネだ。
ティニーは元気がないし、ヤネクは大臣のことを巡り喧嘩になる。
ヤネクは大臣に付き添ってくるというタニヤに警告する。

おかしいのはキツネだけではない。ヤネクたちは巨大なダンゴムシのようなものも見つける。

大臣たちは、山を登ってきている。写真撮影をしていると、ウルスの首にでっかい蚊がくっつく。痛い!と叫ぶウルス。

発見した巨大なダンゴムシは、キツネとの交配種だということがわかる。赤い雪に入っていた微生物は、行き当たりばったりで交配を繰り返していく。キツネが微生物入りの水を飲み、そのキツネの肉を食べたダンゴムシと“交配”したのだ。

ティニーも、同じ運命を辿るのか。
ヤネクは大臣たちに道の変更を命じる。
ヤネクはティニーを撃とうとするが、できない。

大臣たちはルートを変更する。ウルスは具合が悪そうだ。
登山をしていたらしいカラスに襲われている女の子がいる。

大臣たちを迎えに行こうとするヤネク。だが、隠蔽したい3人と喧嘩になる。
「まったく!どこまで身勝手なの!」
ビルテは喚く。

牛の死体を見つけ、恐ろしいことが起こっていると察する大臣たち。
ウルスはぐったりしている
カラスに襲われていた女の子と、ここで合流する。それを追ってきたカラスにルカが殺される。ウルスは逃げ出し、残された大臣夫婦、タニア、イレーネはヤネクと合流する。

大臣は研究所に到着すると、テキパキと女の子を助けるための手筈を整える。ハロルドは挨拶をしようとするが、押しのけられてしまう。
衛星電話があるはずだが、研究者たちが隠してしまった。
イレーネは泣きながらバナナを食べる。
大臣やヤネクたちが女の子を手当てしているが、ティニーの鳴き声を聞き、ヤネクは外に飛び出す。

ファルクとビルテは山の上に衛星電話を隠そうとしている。だが、隠し場所の鍵を忘れたファルクはビルテに怒られ、喧嘩になる。鍵を壊して中に入る2人。だが、またダンゴムシがいる。今度はビルテの顔にくっつく!ファルクは「今助けるぞ!」と虫を滅多打ちにするが、気が付くとビルテの顔がつぶれている。

ティニーは具合が悪そうだ。そこにタニアがやってきて(彼女もティニーが大好きなのだが)犬を安楽死させる。タニアは、ヤネクの子を宿していたことをカミングアウトする。だが、彼女は生まないという選択肢を選んだのだ。ヤネクは後悔する。

大臣はハロルドを怒っている。そこにタニヤとヤネクが戻ってくる。ファルクもだ。
と、小屋をヤギが襲ってくる!これも交配種だ。カラスもいる。大臣は研究所にあったドリルで脳を貫く攻撃をする。

「ついに終末の扉が開いたんだ」
ハロルドはぶつぶつと言う。
明日の夕方には、大臣の異変に気が付いた救助隊がくるだろう。だが、ウルスが村に逃げていたらもっと早いはずだ。でも、女の子がもたないだろう。ヤネクとタニヤは、衛星電話を探しに行くことにする。ファルクは拒否するが、彼も連れていく。
女の子の太ももの中で、何かが蠢いている。取り出して焼くしかない。大臣が先陣を切り、女の子の太ももの中にいる交配種を摘出して、へその緒を切り、火の中にくべる。焼きごてを当て、止血すると絶叫する女の子。

「どうせ他人事だろ?」
ヤネクとタニヤは喧嘩になる。

ウルスは小屋を見つけ、助けを求めに来る。イレーネが中に入れてしまうが、彼の肌からはどんどん蚊が生まれてくる。パニックで引火して、ハロルドは火だるまになる。ウルスは死に、小屋中が蚊でまみれる。

衛星電話を探しに来たが、ビルテは顔がつぶれたまま死んでいる。衛星電話もない。
ダンゴムシとキツネの交配種に襲われ、ファルクは顔を噛まれて死亡する。

だが、ヤネクは衛星電話で助けを求める。ハグする2人。
研究所は火事になっている。
小屋は燃え、女の子は助からず、生き残った人たちはヤネクの住居のほうの小屋に隠れていた。
そこにヘリが来る。大臣夫婦とイレーネはヘリに駆け寄る。
だが、何かの気配がする。ティニーが生きているのだろうか。そこには、犬と人間の子どもがいる。ティニーは死ぬ前に、ヤネクの血を舐めたのだ。ヤネクとタニヤは顔を見合わせる。

ヘリに乗っているヤネクたち。雪(氷)はまだ残っている。ヤネクの腕の中で、子犬の鳴き声がする。ヘリとすれ違うように、カラスと蚊の交配種がカメラに迫ってきて、アップになる!

感想

・クリーチャーの造形がとにかく面白い
・大臣やヤネクのキャラクターが秀逸。犬もかわいい。
・ラストもイイ。後味が苦い感じ。