「アメリカン・ビューティ」

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1999年の映画「アメリカン・ビューティー」を見ました。一度見ているのですが、久しぶりに見てみた。やっぱり好き。
・学生の頃に見た印象と全然違う!
・ゾーラ・バーチの影がすごく好き。
・家族の崩壊を描く群像劇。

ぶっちゃけ、アカデミー賞を獲得した映画って合わないな~と思って避けていることも多いのですが、この映画に関してはすごく好き。ケヴィン・スペイシーの演技がスゴイ。というより、全員がスゴイ。

あらすじ

舞台を中心に活躍してきた英国の俊英サム・メンデスが、映画監督デビュー作にしてみごと第72回アカデミー賞で作品賞ほか全5部門を受賞したファミリー・ドラマ。あるサラリーマン家庭の崩壊劇を通して、現代アメリカの理想的家族の裏側に潜むそれぞれの孤独や不全感をシニカルな眼差しで描き出す。主演はケビン・スペイシー、共演にアネット・ベニング、ゾーラ・バーチ、ミーナ・スヴァーリ。

郊外住宅地で妻と高校生になる娘と平和に暮らすレスター。ところがある日、勤めていた広告代理店からリストラ宣告を受けてしまう。これをきっかけに、一見幸せに思えた彼の日常の歯車が少しずつ狂い始め…。
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=159869

ネタバレ

「あんな親父はいないほうがマシ」と言っているジェーン。
「俺が殺してやろうか?」
「本当に?」
彼女はそう言った青年に向けて目をギラギラさせる。この光景は撮影されている。

レスターのナレーションが入る。彼が死ぬまで、あと1年。

レスターはうだつの上がらない中年男。会社ではリストラ候補に挙がっている。
妻のキャロリンは不動産屋だ。家がまったく売れず、客から侮辱されて泣きそうになる。だが、それを家族には見せない。

チアガールをしている娘の応援に行く夫婦だが、レスターは娘の親友のアンジェラに目を奪われる。自分だけが客席に座り、彼女が淫らなパフォーマンスをする。彼女が上着を開いた瞬間、そこからバラの花びらが巻き上がる!もちろんそれは妄想だが、彼は初恋のような気持ちを抱いている。
やたらとアンジェラに話しかけるレスターを見ているジェーンは、不快な気持ちにしかならない。

ジェーンは隣に引っ越してきた青年・リッキーが彼女をビデオ撮影してることを知り、さらに嫌な気持ちになる。

レスターは娘の手帳を盗み見て、アンジェラの家に電話をかける。だが、これもばれてしまう。
(なお、アンジェラの部屋はイケメン俳優やモデルの顔だけを切り抜いてひたすらそれを貼りまくっている)

隣の家には軍人上がりのフィッツ大佐、神経を病んでいる妻、そして裏でドラッグディーラーをしている高校生の息子のリッキーが住んでいる。
大佐はゲイカップルに関しては非常に偏見を持っているようだ。

妻のために不動産関連のパーティに参加したレスターだが、その雰囲気に嫌気がさす。そこに、ウェイターのバイトをしていたリッキーが話しかけてくる。彼らは意気投合する。リッキーからドラッグを買うことにしたレスター。

アンジェラはジェーンの家に泊まりに来て、レスターを誘惑するようなことばかりする。
一方、リッキーはジェーンの名前の火文字を彼女の家の敷地内に書くなど、気味の悪い行動をとる。彼はジェーンにしか興味がない。薄着でセクシーなアンジェラを無視して、落ち込むジェーンの横顔だけを撮影している。
(ちなみにアンジェラはモデルを目指している美人だが、才能はないようだ)

アンジェラにおだてられたレスターは、ガレージで服を脱いで裸になって筋トレを始める。その様子もリッキーは撮影している(彼も面白がっている)。

夫婦は性生活を巡ってケンカになる。レスターが1人で処理しているところを見つかったのだ。

レスターは会社を辞め、ファストフード店でアルバイトをしながらドラッグと筋トレを続ける。

ジェーンはアンジェラが止めるのもきかず、リッキーに惹かれていく。

キャロリンは同業種の不動産屋と浮気をする。

キャロリンは仕事をやめたレスターを罵り、ジェーンは夫婦の姿にウンザリする。彼女は裸になってその様子を隣の家から撮影を続けているリッキーに撮影させるが、そこに彼の父が怒鳴りこんでくる。リッキーはドラッグディーラーであることを隠し通そうとしているが、父は勘づいているのだ。

キャロリンは銃の練習を始める。いい雰囲気になったり喧嘩をしたりと揉め続けている2人。レスターは勝手に車を購入する。ジェーンはレスターの死を願い続ける。

リッキーの父は、レスターが裸で体を鍛えている映像を息子が所有していることを知る。そして、彼と息子がゲイの関係だと勘違いをする。
レスターのバイトしているファストフード店に、キャロリンと浮気相手がやってくる。ドライブスルーで鉢合わせした彼ら。キャロリンの浮気は終わりと告げる。

アンジェラはジェーンの家に泊まりに来る。だが彼女はレスターと寝ると言い出し、ジェーンを混乱させる。

リッキーは父と喧嘩をしてしまい、家出をすることを明言する。
彼はジェーンを誘って出て行こうとするが、アンジェラが止める。彼女たちの本音がむき出しになる。アンジェラはジェーンを引き立て役としてそばに置いていたこと、ジェーンはアンジェラの奔放さを疎んじていたことがわかる。しかしリッキーはジェーンを侮辱するアンジェラに言う。
「君は醜い。そして、ウンザリするほど平凡だ。自分でもわかってるだろう?」

レスターのもとを訪れる大佐(※リッキーの父)。彼はまだレスターがゲイだと勘違いしている。
大佐はレスターにキスするが(!)、当然レスターは大佐を拒否する。

アンジェラはレスターに迫り、彼は彼女を抱こうとする。だがそれを突然やめてしまい、彼女を落ち着かせる。アンジェラはレスターの意外な一面に触れ、気持ちを落ち着かせる。
(彼女も、自分が美人ではあるが平凡であることを理解しており、それを指摘されて泣きじゃくっていた)

レスターは家族写真を眺めている。
「幸せだ」
しかし、後ろから彼は射殺される。キャロリンの銃だ。
彼女はすぐ後悔してクローゼットの中にあるレスターの服を抱きしめて号泣するし、アンジェラは銃声を聞いておののく。
ジェーンとリッキーはその様子を見に来るが、リッキーはレスターの死体をじっくり観察して「すげえ」と呟く。レスターは死ぬ。

感想

・この映画が撮影されたころのCG(服を脱ぐとバラの花びらが飛んでくる、寝ながら天井を見上げるとバラにまみれたアンジェラが張り付いていて、バラの花びらがひらひらと舞い落ちてくる)が、今から見ると荒っぽいところもあるのですが、雰囲気があって好き。
・冒頭で主人公が死ぬことが明言されているんですよね。当時も今もそれで驚きました。
・今見ても面白い映画です。