「ウォーキング・デッド」シーズン6・第15話のネタバレ

walkinddeads6

第15話「巡る因果」

車のフロントガラスに銃弾が撃ち込まれている。
「見えるわよ」
タイヤはパンクしている。
「出てきなさい」
女の声が呼びかけ続ける。
「ゆっくり」
「やめとくよ」
男の声がする。ポタポタと垂れる血。そして、車から飛び出している血まみれの長い木槍。地面に落ちている、キャロルの十字架。男の咆哮が響き、車の下の血だまりが見える。さらに銃声が聞こえる。血は滴り続けてアスファルトに広がっていく。

キャロルの書いた手紙が見える。「ここには何でもある」から始まっている文面。そして誰かが上着を繕っている。キャロルだ。彼女は窓の外をふと眺め、考え込むがまた作業に戻る。糸を切り、ジャケットの袖を裏返して立ちあがる。そして、リュックに荷物を詰める。食べ物も。日用品も入れる。
「キャロル」
階下から声がする。彼女は荷物をベッドの下に隠す。
「2階よ」
そこにトビンが入ってくる。
「元気そうね」
「君に会えたから」
キャロルはトビンの手のケガに気が付く。
「どうしたの?」
「転んだんだ、新たな監視塔を建ててる」
トビンは上着を脱ぐ。
「診療所に行った、静かだったよ」
彼はキャロルを振り返る。
「デニースを当初から知ってる。ピートがああなる前は……家の中にこもってた。いつも何か読んでた。だが俺たちのために立ち上がってくれた」
キャロルは時に微笑み、頷きながら話を聞く。だが、本当は上の空だ。下を向くキャロルに、トビンはふと思い当たる。
「思い出させたね」
「いいのよ、ただ……タラが知ったらと思うと……」
「時間が解決してくれる」
「そうね」
キャロルは少しの間をあけて、トビンにキスする。カメラはそこから位置を移し、ベッドの上に置かれた2つの枕をアップにする。

君に会いに行く途中 心配だった
胸が裂けるほど緊張した

夜になっている。トビンは眠りこみ、キャロルは荷物を背負ってそっと部屋から出ていく。

君は去ったかもしれないから
扉をノックし 祈りながら待った
涙をこらえきれず 独り家路についたのさ

朝。見張り台の上で、見張りをしているサシャ。下にはロジータがいる。

“すべてが終わった”そう心で繰り返す
彼女を求めた時間はムダだったのだ
“すべてが終わった”そう心で繰り返す
泣くのをやめて 彼女を忘れるがいい

カールは銃の保管場所を訪れており、銃に触れている。
(彼の左目を失う原因になった銃だろうか?)

同じことを繰り返す赤ん坊のようだった

一緒にシャワーを浴びている男女が見える。それは、グレンとマギーだ。向かい合って、グレンの髪の毛を洗うマギー。

愛に目がくらみ 何も見えなかった
俺は粉々に打ち砕かれた
君の心が俺にないと知ったからだ

今度はグレンがマギーを石鹸で洗う。腰からお尻のラインを石鹸でなぞり、妻を抱きよせるグレン。

“すべてが終わった”そう心で繰り返す
彼女を求めた時間はムダだったのだ
“すべてが終わった”そう心で繰り返す
泣くのをやめて 彼女を忘れるがいい

マギーを後ろから抱きしめるグレン。

同じことを繰り返す赤ん坊のようだった

バイクにまたがるダリル。彼はまだ、デニスのプレートを持っている。

愛に目がくらみ 何も見えなかった
俺は粉々に打ち砕かれた
君の心が俺にないと知ったからだ

サシャが見張り台から降りてくる。そこに現れたのは、エイブラハムだ。サシャは彼に微笑みかけ、彼もまた、サシャに微笑む。サシャは彼に後ろポケットから何かを取り出す。葉巻だ。それを渡す。

“すべてが終わった”そう心で繰り返す
彼女を求めた時間はムダだったのだ

エイブラハムは、葉巻をくわえて見張り台の上へと上がっていく。それを見守るサシャだが、ふと何かに気付く。ロジータが見ていた。ロジータはきまり悪そうに、そして不機嫌にも悲しそうにも見える顔で、そっぽを向く。

すべてが終わった 彼女を忘れるんだ
泣くのをやめて 彼女のことはもう忘れろ

ベッドサイドにあるベビーモニターが見え、次にベッドの上で寝ながらミショーンを抱きしめているリックが見える。彼らは裸だ。目を覚ましているミショーンは、もう片方のベッドサイドにあるリンゴにかぶりつく。シャクシャクと音がする。それをリックにも食べさせる彼女。そして、またリックはミショーンを抱きしめ、肩にキスする。
「心地いい」
「そうね。順調ね」
「何もかも、すべてうまくいく」
「マギーが監視所を増やそうって」
「まだいい。ジュディスさえ起きてない」
ミショーンの全身にキスするリック。ミショーンはたまらず笑い出す。
「待って、ダメよ」
「なぜだ」
「マギーがたてたスケジュールよ。妊婦を怒らせたくない」
「そうだな、特にあの妊婦は。行って」
ミショーンは起き上がり、ふと真剣な顔をする。
「襲撃を恐れてる」
「奴らが来たら、全てを終わらせる。前とは違う。町が一丸となり機能している。俺たちの世界だ。失いはしない」
リックはリンゴをかじりながら、余裕の態度で話し続ける。
「必要なものは、全て壁の中にある。二度と手放さない。絶対に」
「分かってる。私もよ」

マギーとグレンは、銃を一部隠しておくための準備をしている。そこにミショーンが合流する。
「いくつか隠しておく。万が一、誰かに侵入された時のためよ」
「心配するな」
と、ダリルがバイクに乗って出て行こうとする姿が見える。ミショーンたちも驚く。出入口前にバイクを止め、扉を開けようとするダリル。ロジータとエイブラハムがそれを止めようとする。
「どこへ」
「外だ」
「あてはあるのか」
その声に耳を貸そうとしないダリル。グレンも慌てて「何してる」と呟く。
「バカなまねを」
「止めないと」
ミショーンとグレンが走り出し、マギーはそれを見守る。
だが、彼は出ていく。ミショーンとグレンは車に飛び乗り、彼の後を追おうとする。その後ろ姿を見ているロジータ。
「待て」
発進しようとする車の前に飛び出すエイブラハム。
「俺も行く」
「ダメよ、監視台に立って」
ロジータが代わりに車に乗ろうとする。
「君も残れ」
運転席のグレンはロジータに言うが、彼女は言い返す。
「行き先がわかる」
それを聞いたら、彼女を乗せるしかない。エイブラハムとマギーを後ろに、車は遠ざかっていく。

リックのもとに、トビンがやってくる。キャロルの手紙を持って。彼に手紙を差し出すトビン。リックはそれを読む。次の瞬間、彼らは慌てて歩いている。
「いつからいない?」
「夜の間だが、気付かなかった」
「徒歩か?」
「わからない」
「0時から6時まで見張ってたけど、何も見てない」
サシャはそう言う。エイブラハムとモーガンもアレクサンドリアの出入口で待っている。
「あいつらも出てった」
エイブラハムの報告を驚いて聞くリック。
「誰が?」
「ダリルが、救世主を捜しに」
「グレンとミショーン、ロジータが止めに行った」
トビンは壁の外を見て、あることに気が付く。
「車がない。昨日増やしたものが家の間にあったはずだ」
「上からは見えづらい。特に夜間は」
エイブラハムがサシャをフォローする。
「置き手紙を」
リックはモーガンに、キャロルの手紙を渡す。
「ライトを見てないか?痕跡は消すはずだ」
リックはサシャたちに質問を続ける。
「交代時を狙ったのよ」
サシャが答えている合間に、モーガンが歩き出す。
「どこへ?」
「彼女を捜す」
「待て」
既に仲間はバラバラになり始めている。
「カールにすぐ戻ると。誰も出るな」
リックはモーガンの後を追う。
「戦いに備えろ」
モーガンが運転する車の横に、リックも乗り込む。

車が走っている。ウォーカーよけのやりやパイプを突き立てたまま、走っていく車。キャロルが運転している。彼女は車を走らせ続けている。と、前方からも車が走ってくる。そこには数人の男が乗っており、すれ違いざまに彼女の車に向かって発砲する。タイヤが破れ、車はスリップする。キャロルは無事なように見えるが、男たちは様子を窺っている。運転席と助手席にそれぞれ1名、後ろの荷台に3人の男がいる。銃を持つものと、包丁を先にくくりつけた棒を持つ男が見える。キャロルは動けないまま、十字架を手のひらに忍ばせる。
「手を上げろ」
男のひとりがキャロルに命令する。彼女は言うことを聞く。
「傷つけないで」
「誰が傷付けると言った?車から出ろ」
キャロルは車から降りる。
「車しかない。それと護身用のナイフだけ」
彼女は自分の装備を見せる。
「いいや、情報があるだろ。どこからきて、どこへ行く?寂しい世界だ、お互いを知ろうぜ。俺はヒロ。あんたは?」
「誰でもないわ」
そう言いながら、取り繕うキャロル。
「ナンシーよ。モントクレアから。ずっと移動し続けて、転々としてるわ。当てもなくさまよってるだけ」
相手の男はアジア人だ(日本人設定?)。
「少なくとも1つは正解だ。行く当てはない。だが、どこかにいただろ。モントクレアのあとだ。マイルス、なんだっけ?12.75キロ先の壁がある町だ」
「アレクサンドリア」
マイルスという男が応じる。
「そう、アレクサンドリアだ。あそこは槍が突き出た車を門の前に置いてる。あんたみたいに武器も持たずに、守ってくれる人もいないなら、外に出るべきじゃない。そこへ行こうとしてた。送ってくよ。あんたとなら入れるかもな」
キャロルはハアハアと息を荒げる(過呼吸)。男たちはニヤついている。
「おとなしく引き返せば、誰も傷付かずに済む」
「誰かが傷付くようだ」
「お願い」
キャロルはまだ激しく息をする。
「気絶する前に捕えろ」
「やめて!」
突然、5人の男たちは“蜂の巣”になる。全員が撃たれ、そのまま倒れる。キャロルは袖口に銃を隠していたのだ。彼女はまた人を殺してしまった。だから、涙を流すしかない。
と、運転席にいた男が飛び出してくる!慌てて車の影に身を隠すキャロル。男は追ってくる。キャロルは這いつくばりながら、不意をついて、男を車に刺さっているヤリで刺し殺す。そして、隠し持っていた銃を抜き取る。
「見えるわよ。出なさい、ゆっくり」
「やめとくよ」
ヒロという男が、車の影に隠れている。冒頭のシーンに重なり、車の影に移動するキャロルと、それに襲いかかるヒロがかぶさる!

食糧の管理をしているイーニッド。そこにマギーがやってくる。
「疲れてるね」
「忙しくて。グレンたちがダリルを追った。ランチを持って戻らなきゃ」
イーニッドは彼女に食事を渡し、「行くわ」という。
「どこへ?」
「あなたの代わりに」
「イーニッド」
「数時間だけよ。手伝いたい。ピクルスを食べてて」
彼女の親切に、表情が和らぐマギー。

モーガンとリックは車を走らせている。
「来なくていい」
「努力はする。可能性が低く、危険でもだ」
「タイヤ痕は東へ。東へ向かう」
「救世主のアジトへ― 行っただろ。西だった。だから彼女は東へ」
リックはモーガンの言葉に驚く。そして頭を振る。
「彼女を知らないだろ」
「知ったよ。少しは」
「なぜ捜す?」
森の中にウォーカーが見える。
「俺は、正しくはない。正解などないが、過ちを悔やむかどうかだ」
「悔やんではいない」
「悔やむさ。あんたなら」
モーガンは断言する。

キャロルが襲われた場所。と、助手席の男が痛みと共に目を覚ます。目の前には、仲間の死体。外にはヒロが倒れている。撃たれているが、まだ生きているようだ。
「あきらめろ、もういい」
男は車を降りる。そして周囲を調べ始める。

と、そこにモーガンとリックがやってくる。ヒロは倒れたままだ。
「彼女の車だ。彼女は?」
「いない」
リックはヒロに近寄り、
「彼女はどこだ」
と聞くが、すぐに彼はヒロの頭にナイフを刺し、とどめをさす。リックは男たちが持っていた包丁を棒にくくりつけた槍を見つける。
「ヒルトップから徴収した槍だ」
「救世主だな」
男たちの1人はウォーカーになっていて、仲間の死体を食べている。そのウォーカーの頭を房で殴りつけるモーガン。
「血だ。襲われたのかも」
彼女はキャロルの車を調べて、そう漏らす。
「さすが彼女だ」
「何が?」
「4人も倒した。生来の戦士だ」
「そのことに耐え切れず去ったんだ」
「すべきことはした。見習うんだな」
モーガンは苦笑する。そして血痕を見つける。
「血だ。彼らとは逆に、道を外れて痕跡がある。キャロルかもしれないが、姿は見えない」
「銃がとられてる。彼女だろう」
「かもな」
「それか死んだか……姿は見えないが」
「痕跡はこっちへ」
彼らは道路から降り、草原を歩き始める。
「アレクサンドリアに近い。奴らはまだいた。終わってない」
「そうさ。あんたが始めた」
モーガンの言葉に、リックは何も返せない。

そ茂みに隠れていた生き残りの男が出てくる。彼はキャロルが落としたらしき十字架を拾い上げ、それを手に持ち、リックたちの後を追いかけていく。

デニースが殺された場所。救世主側の男たちの死体が、ウォーカーに食べられている。そこにミショーンたちがやってくる。
「ここで死んだ」
デニースの死んだ場所に立つロジータ。後ろのグレンがおずおずと尋ねる。
「ダリルもここへ?」
ミショーンは隠してあった彼のバイクを見つける。
「来てた」
「どっちへ?」
ロジータはぼんやりしている。
「ロジータ?」
彼女ははっとする。
「好きにさせて」
「彼は動揺してる。ほっとけない。君は満足かもしれないが、奴らのほうが優位かもしれない。ダリルが死ぬかもしれないんだぞ。ドワイトはどっちへ?」
ロジータはしばらく黙りむが、グレンに案内を始める。

ダリルはその頃、ひとりで歩いている。ボウガンを片手に。ふと気配を感じて、ダリルはボウガンを撃つ!と、それはロジータの顔すれすれのところに刺さる。矢を引き抜くロジータ。
「気を付けてよ」
「何しに来た」
「戻って」
「サシャたちと離れた時、あいつと出くわした。銃を当てられ、縛られもしたのに助けちまった」
「自分のせいだと?」
グレンがロジータの前に出る。
「そうだ。今度こそ殺す」
ダリルはギラギラとした目で怒りを煮えたぎらせる。
「彼女のため?彼女は死んだ。自分のためだろ」
「どうとでも」
グレンは彼の前に立ち塞がる。
「ダリル、どうすべきか帰って考えよう。君も俺たちも、今は家にいないと。外にいるべきじゃない」
「ケリをつける。必ず。約束する。今は帰ろう」
ミショーンもグレンに加勢する。
「無理だ」
「ダリル」
「無理なんだ!」
彼は先へ進んでいく。
「私も無理」
ロジータは、彼を追いかける。グレンは怒っているように身を翻し、ミショーンもグレンの後についていく。

「奴らは今頃街に向かってるかも」
グレンとミショーンは川べりを歩いている。
「来たら殺す」
「いいや、生かして情報を聞き出すんだ」
「ええ、そうだね」
「視野が狭かった。幸運だったんだ。すべて把握してる、そう思ってた。みんなで乗り越えて……だが、見えてなかった。ヒルトップも救世主も」
と、口笛のような音がする。
銃を持った男たちが次々に、ミショーンとグレンを囲んでいく。そしてゆっくり、ドワイトが木の影から姿を現す。禍々しい笑顔で。
「やあ」
グレンはゆっくりと、銃を下ろす。

リックとモーガンは歩き続けている。そこには、血の跡がある。
「少量だが、キャロルのなら出血し続けている」
また歩き出す2人。
「友人だから追うのか?」
「彼女を追うのは、家族だからだ」
モーガンは切り出す。
「いろいろ話を聞いた。刑務所で起きたことも。追放したんだろ。2人殺して焼いたそうだな。今なら彼女を、殺すか?」
「今なら感謝する。それか、俺が殺す。彼女は正しかった。病気を振りまき、助からなかった」
「だが当時は、(リックは)彼女を殺さなかった。追放しただけだ。彼女は戻り、あんたたち全員を救った。人は戻れるんだ」

まだ歩き続けている2人。と、何かを見つけて走り出す。フラフラと歩いている女性。だが、それはキャロルに似ているが、彼女ではない。ウォーカーだ。
「死んで1日も経ってない」
牧場のなかで、音がする。静かにかけよる2人。そこには、殺されたウォーカーの死体が点々と見える。と、ある男がウォーカーを殺しているのが見える。銃を向け、声をかけるリック。
「おい」
男は逃げる。
「落ち着け、何もしない」
「武器を捨てて出てこい」
「できない、奴らが近くに。俺の馬を見なかったか?」
「見てない。俺たちは仲間を捜してる。彼女はどこだ」
「来たぞ、逃げろ。逃げるんだ」
ウォーカーの群れがやってくる。男が逃げていくのが遠くに見えるが、リックは彼を撃とうとする。
「止まれ!」
次の瞬間、モーガンは彼の肩を突き、リックは失敗する。リックはむっとするが、ウォーカーが押し寄せてきてそれどころではない。ナイフと棒で応戦する2人。モーガンの危機を、リックが助ける。
「リック。敵かわからない」
「これはヒルトップの槍だ。さっき見たろ。奴らの仲間だ。キャロルを追ってる」
「馬を捜してると。ヒルトップの人間かも」
「リスクは負わない。二度と」
リックは槍を投げ捨てる。
「あの時……W(ウルフ)が来たろ。襲撃後、1人捕えた。森で俺を襲った男だった。あんたを捜してた男だ。一度見逃した。そいつが街を襲い、家に隠れていた。俺は奴を殴り倒した。殺すこともできたが……すべての命は尊い。だから地下に監禁した。人は変われる。誰でもだ」
「街の中で生かしただと?」
「そうだ」
「ウォーカーが流れ込み、キャロルに知られ、俺たちが争っている隙に奴はデニースを……奴を手当てした彼女が人質になった。彼女とウルフは、ウォーカーに囲まれた。するとあの人殺しが、彼女の命を救った。そして彼女が、カールを救った。
すべて循環する。何にでも報いはある。言い訳はしない。俺がしたことだ。奴を生かした。あんたは帰れ。車で。外でリスクを冒すべきじゃない」
「キャロルを放っておけない」
「俺が見つける。必ず。帰るんだ」
「戻ってこい」
「ああ。戻らなくても捜すな」
「持ってけ」
銃を差し出すリック。
「俺は……」
「いいから」
モーガンは受け取る。そして歩き出そうとするところを、リックが呼び止める。
「モーガン。ミショーンはプロテインバーを盗んだ」
「分かってる」
モーガンは笑って歩いていく。そして、リックは彼に背を向けて歩き出す。

アレクサンドリアに戻った車。リックだ。
「モーガンはまだ外に。ミショーンは?」
エイブラハムは葉巻を吸っている。彼が扉を開け閉めして、リックと立ち話を続ける。
「彼女も外だ」
「怖いか?愛する者を― 失うことが」
「ああ。そうだ」
「俺もだ。だが― 世界に新たなケツの穴を開けてやる」
エイブラハムの口調に、苦笑するリック。
「もうすぐだ。すぐさ」
エイブラハムとリックは、門の外を眺めつづける。

マギーのもとに、イーニッドがやってくる。
「私を呼んだ?何?」
「お願いが」
彼女を中に入れるマギー。

イーニッドに髪の毛を切ってもらったマギー。ショートカットになっている。
「素敵だけど、どうして?」
「前に進むためよ。何にも邪魔させない」
突然表情を曇らせるマギー。
「短すぎる?パパの髪は切ったけど……」
「違うの」
「マギー?」
強烈な痛みが彼女を襲う。
「マギー!?」
彼女は叫び続ける。

森の中。ミショーンやグレンがさるぐつわをされ、縛られている。男たちは焚火をしている。
仲間を助け出そうとしているダリルとロジータ。グレンたちに近付き、目配せをする。だが、グレンは焦っている。彼の後ろにはドワイトがいるからだ。ロジータの背後にも男が立っている。
「やあ、ダリル」
次の瞬間、ドワイトの銃が火を吹き、カメラに血が飛び散る(ダリルがいる部分に血飛沫がかかって、どうなったのかまったくわからない)
「心配ないさ」
という、ドワイトの声だけがする。

感想

・とりあえず現状まとめ。
キャロル(行方不明) ← モーガンが後を追う ←救世主の仲間が1人、後をつけている?
ダリル、ロジータ、グレン、ミショーン ← ドワイトの仲間につかまる

アレクサンドリアにいる人たち:
リック、カール、マギー、エイブラハム、サシャ、イーニッド、トビンなど
(撃たれて療養中のユージーン、スペンサーなどは今回登場せず)

調達中:
タラ、ヒース

・キャロルとダリルの暴走回。
・リックがこれだけ気が緩んでるんだからドンデン返しがありそうなんだよな~と思わされる
・相変わらずエイブラハムにフラグがビンビンに立ってます
・アレクサンドリアは襲撃されるのか?リックたちはアレクサンドリアを失うのか?
・自分が「殺さない」ことを選択したことで、デニースを失ったことを後悔しているダリル。
「殺す」ことを選び続けてきた重責に気付いたキャロル。
リックは「仲間以外は殺して奪う」ことをやめるのか?
それとも、モーガンが「どんな人間の命でも尊い」という考え方を改めざるを得ないのか?だいぶ佳境に入ってきましたね!
・リックやカール、ミショーンやグレン、マギー、ダリル、キャロルはまだ生存の確率が高いので、必然的にロジータとエイブラハムが降板しそうな……サシャは今シーズンはあまり目立っていないので、どうなるのかなぁという感じ。
・個人的には救世主=ジーザス?という図式が頭から離れない。でも、ヒルトップと合流しそうな気もするし(産婦人科医いるから)。