「スティーヴン・キング ファミリー・シークレット」

A GOOD MARRIAGE

2014年のアメリカ映画「スティーヴン・キング ファミリー・シークレット」を見ました。これは本来は「A GOOD MARRIAGE」ってタイトルのようですね。邦題では「素晴らしき結婚生活」なんですけど、なぜか「家族の秘密」というタイトルに変貌しています。
25年以上連れ添った夫が連続殺人鬼、しかもゴリゴリのヘンタイだったら……というお話。まあ、結局のところ女性は苦悩しつつもドライなところもありますよね、という話。反対のバージョンの方が気になるけど。愛情深い嫁が殺人鬼だったら旦那はどうするものなのでしょうか?この映画のようなラストには向かわないような気がしますね。

ネタバレ

バツイチの女性ばかりを狙う殺人鬼・ビーディが世間を賑わえている頃。
娘の結婚式を目の前にして、妻・ダーシーと夫・ボブは未だにラブラブ。ダーシーは「年増だけどいい女」と言われるほどの美貌の持ち主です。しかし、謎の男が外から夫婦を見ていて……。

結婚記念日のプレゼントに、妻にアクセサリーを贈る夫。そのピアスをして、激しく愛し合います。夫はコインマニアであり、コインの収集家のための流通業者をしているらしい夫婦。夫が出かけている隙に、車庫に入る妻。車庫入れが苦手な妻はめったに立ち入らないのですが、そこでそのへんのものをいじっているうちに、あるものを発見。手錠のカタログを見つけて「まあエッチ」と思うダーシーですが、殺人鬼の犠牲者である女性たちのIDカードが出てきてビックリ。PCで事件のことを検索して、そのむごさに驚きつつ、夫が犯人であるという確信を深めていきます。
しかも、彼女に贈られた夫からのネックレスは、やはり被害者のもの!

出張先で女性を物色しているらしい夫。しかし、彼は突然家に戻ってきます。彼は既に、妻がPCを検索したこと、その履歴を消去しなかったこと、IDカードを見つけたものの元の位置に戻し損ねていたことを指摘。自分が殺人鬼だと明かしつつ、会社は?子どもたちは?引っ越すのか?僕たちはどうなる?とデメリットを次々とぶつけます。そして、自分の中の別の人格が人を殺したがっているんだ!と言い出すのですが、こんな都合のいい主張はないようにも思う。
「でもこの話を聞いて、生かしておくなんて思ってないよな!」と旦那に首を絞められるダーシー!……という夢から目を覚ます彼女。
意外とどこから夢でどこから現実なのかわからないのですが、殺人鬼はホント。で、首絞めは夢だったみたいですね。

無事に娘が結婚式を迎えるも、娘・ぺトラが死んでいる夢を見るダーシー。ずっと探していたコインを見つけて、ルンルンのボブ。彼らは久しぶりにベッドを共にすることになりますが(この老夫婦、老いても盛んなのですね)、階段をのぼってきた夫をそのまま階下に突き落とし、馬乗りになって首を絞めます。「上に乗られるのが好みなんでしょ!」とダーシーは毒づきます。

そして夫の葬式。彼女は夫の棺を埋める際に、何かを投げ入れます。
(手元が見えないのですが、コインかIDカード?)
「棺に入れればいいのに」と言われるも、ごまかすダーシーです。

しかし、そこにきた冒頭の男。刑事的な役割のおじさんはボブを追いかけ続けていて、しかもビーディは「B・D」、つまり「ボブとダーシー」だと指摘。だから共犯なんでしょ!というトンデモ理論を持ってきます。
バカダナーと思っていると、突然発作を起こしておじさんが倒れちゃいます。
おじさんのお見舞いに行き、真実を打ち明けるダーシーです。ビーディは旦那の死んだ友人の名前だということも明かします。
旦那が追い求めていた二重印字のコインを見て、「コインだけじゃない。人だってこうなる」という言葉も出てきます。おじさんはダーシーのしたこと(夫の殺害)を「正しいことだ」と認めて、彼女の犯行を胸の内にしまいます。

ちょこちょこ食いを夫に怒られていたダーシーですが、ひとりになった今もキャンディをつまみ食い。そこに夫がメッセージを入れて「食べちゃダメだよ」「ほら、食べたんだろ。言ったとおりだ」みたいなからかいの文句を添えてあるのですが、洗濯機の裏から出てきたキャンディの箱にも「ずっと君と一緒にいたい」というメッセージが書かれています。それを見ながら、キャンディを食べるダーシー。その顔はまったくの無表情。

という終わり方です。
おじさんのエピソードは正直ポカーンでしたが、ラストのセリフがよかったからいいや。あと、旦那が意外と弱かったのもちょっとおかしかった。殺人鬼だけどおじいちゃんだから、嫁に負けたのか?しかし、すごーくねちっこい演技がお上手で、快楽殺人気なんだろうなあという雰囲気をバリバリに出されていたのは気に入りましたね。キングが脚本を書いているだけあって、途中の妻が旦那に言葉攻めにされるシーンはねちねちねちねちしてました。