ハンサムなバカの面白さ「ズーランダー」

zoolander

「3%の体脂肪率。1%の知能。彼の名は…」というすさまじいキャッチフレーズの映画「ズーランダー」。2001年アメリカ映画。
ホラーじゃないんですけど、ベン・スティラーとオーウェン・ウィルソンが共演しているのに見ていなかった!と気が付いたので。
関係ないけど、デヴィッド・ドゥカヴニーが出ていてびっくりした。「X FILE」の後にセックス中毒になったというニュースしか知らなかったけど、今は元気にしてるのかね。
あと、ウィル・フェレルも出ているし、ヴィンス・ヴォーンとかも出てるし、カメオ出演多いんですよね。デヴィッド・ボウイまで出てきたし。

内容といえば、とにかく「男性モデルはどうして頭スカスカなんだと思う~?」という、ディスまみれのコメディ。
しかし、このくだらなさがいいのである。ちなみに下ネタは口頭でしか出てこないので、比較的見やすいかも。男性の股間がモロに出てくるコメディって、笑いにくくないですか?

あらすじ

サタデー・ナイト・ライブ」出身のベン・スティラーによる皮肉の効いたおバカ系辛口コメディ。監督業でも定評のあるベン・スティラーが、本作で監督・主演の他、プロデューサー、脚本も兼ねている。“ズーランダー”とは、数年前のファッションアワードにおける短編の為にベン・スティラー自身が創り上げたキャラクター。ワム!やマイケル・ジャクソン、デヴィッド・ボウイ(本人も登場!)など全編を彩る80年代のヒット・ナンバーが懐かしい。

デレク・ズーランダーは超売れっ子のスーパーモデル。年間最優秀モデルを3年連続で受賞して、トップの座に君臨していた。しかし、新人のハンセルに4年連続受賞を阻まれる。デレクは友達の不幸もあって、ますます落ち込み、引退を決意して家族が炭鉱で働いている地元に戻った。だが、家族に歓迎されず再びファッション界に身を置くことになる。既に居場所のないデレクにある日、業界ナンバー1デザイナー、ムガトゥからショーモデルのオファーがかかる。これを機に復活を懸けるデレクは、ムガトゥがある計画を企んでいるなど知る由もなかった。
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=239508

ネタバレ

マレーシアで労働者を守るための法律が厳しくなり、今まで安く労働者をこき使っていたファッション業界はおかんむり。
マレーシア首相を、頭空っぽのモデルに殺させよう!と思いつきます。
首謀者のムガトゥが目を付けた男こそ、売れっ子モデルズーランダー。
ズーランダーはハンセルという新人モデルに追い抜かれ、停滞ムード。そこに目を付けられたのであります。

落ち込むズーランダーを慰める、モデル仲間たち。
彼を立ち直らせるための方法が「オレンジモカフラペチーノを飲みながら、ハミングしながらジープでドライブ」というすさまじくシャレオツな気分転換をします。
しかしガソリンスタンドでモデルたちはオイルをばしゃばしゃ掛け合って「HAHAHA」とはしゃぎ、そこでタバコを吸うバカまで出てきて大爆発。

仲間が3人死んだことで、引退して田舎に帰るズーランダー。
しかし炭鉱で働くなんてモデルしかしたことがない彼には無理ですし、男家族はモデルなんてチャラチャラした仕事をしている彼を笑い者にしています。
「炭鉱で働くには僕はイケメンすぎる!」というズーランダーですが、新しい仕事を得て都会に戻ることになります。
しかし、仕事をくれたのはムガトゥであります。

ムガトゥに洗脳され、マレーシアの首相を殺す任務を刷り込まれるズーランダー。この洗脳映像がまたバカバカしい(コスプレ満載)です。

ズーランダーとハンセルは衝突ばかり。
モデル対決(仕切るのはデヴィッド・ボウイ)をすることになりますが、肝心の対決内容が「パンツ引き抜き対決(ズボンをはいた状態で、自分のパンツを引き抜く)」とかです。バカ!

そして、ムガトゥと昔仕事をしていたモデルと会ったズーランダー。
彼はカリスマハンドモデルだそうですが、これがデヴィッド・ドゥカブニーなのです。
昔好きだったんだけどな。今も好きなんだけどな。また出てほしい!繊細なキチって感じで好き。

さて、ここで「実はかつての暗殺事件や殺人事件とファッションモデルが大きく関わっているんだ!」という話が明かされます。
ファッションモデルは洗脳しやすい(カメラマンの言葉にノリやすい)し、肉体的にもタフだし、どんなところでも出入りしやすいし、疑われにくい!だから暗殺者に適しているんだ!そうです。すごい理屈。

ここで、ライバルのハンセルの家に行き助けを求めることにしたズーランダーと記者。
もともとはハンセルがズーランダーに憧れていたためつっかかっていただけで、彼らは本当はギンギンに意識しあっていただけだったのだ!と、急激に和解する2人。

ここでヒロイン(記者)の話に。彼女は昔太っていて、「痩せていることこそ美しい」と煽る存在だった男性モデルが大っ嫌いだったそう。
しかし男日照りの彼女にハンセルとズーランダーは「全員で裸になろう!」と言い出して、裸になった3人が絡み合っているようなイメージカットが入ります。

しかし翌朝、ファッションショーの当日。携帯電話を切らないズーランダーに、ヒロインがイライラ!しつつも、ズーランダーとハンセンが清掃員に変装して、暗殺の証拠を探しにデザイナー事務所に侵入。
ここで、まったく別のおっさんにベン・スティラーが声を当てているのが面白い。

証拠が入っているマッキントッシュを見つけるも、起動方法がわからない2人。
いろいろ試してみる大喜利の後、ズーランダーだけはショー会場に向かうことに。
ハンセンはヒロインと電話で話し、「その中に証拠があるのよ!」と言われ、「なるほど!この機械の中に証拠がしまわれているんだな!」と勘違い。時代ですね。

その頃、ヒロインは同僚に「お疲れさま!これ食べて!」と、半分に切ったメロンの中央をえぐってカッテージチーズを大量にブチこんだ謎の食べ物を勧められていた。
ま、まずそうだけどどうなんでしょうか?クリームチーズとメロンみたいな味わい?
「ちょっとはリラックスしなよ!」というこの声でひらめくヒロイン。

さて、ショー会場。
ズーランダーは洗脳されているのですが、この暗殺者スイッチを入れるのがつまり、『リラックス』という曲なのであります。
この曲がかかると同時にズーランダーはシュンシュンブンブンと動き回り、ファッションショーを見に来ていた首相(首相はこんなの見にくるのか)の命を狙います。

しかしそこでハンセンもかけつけ、音楽を流していたDJにそれをやめさせ、マッキントッシュを掲げます。「ここに証拠があるんだぞ!」と、思いっきりそれを床にたたきつけるハンセル。当たり前だけど何も出てこないのです。
ですがズーランダーのモデルエージェンシーの社長(デザイナーと共犯)が自白して、証拠を提出すると言い出します。

デザイナーが最後にズーランダーを殺そうとしますが、この後の展開がひどい。
ズーランダーの最終兵器のキメ顔によって、皆がうっとり。飛んできた手裏剣もぼとりと下に落ちます。 何だこの話。

最終的にはズーランダーは学校を作り、ハンセルやエージェンシーの社長(既に解雇されている)が講師を務めています。ヒロインとの間に子供も生まれ、その子供もキメ顔を作れるようになっているというオチあり。
そしてこの学校には、冒頭おバカな事件で亡くなった3人の銅像(ガソリンを無邪気にかけあう3人)が飾られています。

全体的にバカで呑気な映画ではあるのですが、設定はやはり面白い。
そして「男性モデルの業界ってバカだよなあ」といじりまくっているのも個人的には好き。
当時のアメリカのオシャレ男性モデルがフラペチーノ飲みながらジープに乗ってたのか。
ちなみにハンセルのほうは、自己啓発系のオシャレモデルで登山したりサーフィンしたりしながらクスリもキメてる感じ。
ハンサムなバカはやはり面白いということをしっかり提示してくれています。

「ナイトミュージアム」ファンにも嬉しい共演作でもありますね。