「7500」

7500

2014年の映画「7500」を見た。
アメリカ映画ですが、清水崇監督作品です。
面白いのですが、ホラーの見すぎでしょうか。なんとなく「こうじゃないかな」と思っていた終わり方をするのであります。脚本を別の人が手掛けているから???

あらすじ

「呪怨」シリーズの清水崇監督が「THE JUON/呪怨」「呪怨 パンデミック」に続いてハリウッドで撮り上げた航空機パニック・ホラー。

ロサンジェルス発東京行きヴィスタ・パシフィック航空のジャンボ・ジェット7500便に乗り合わせた乗客たちが、逃げ場のない高度1万メートルの上空で、様々な怪異に次々と襲われていく惨劇の一部始終を描く。出演はTV「トゥルーブラッド」のライアン・クワンテン、「バタフライ・エフェクト」のエイミー・スマート、「アイアンマン」のレスリー・ビブ。
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=353189

ネタバレ

OPから不穏な感じで始まりますが、最初は登場人物をずらずらっと見せられます。

・婚約者のいるCAがなかなかプロポーズしてくれない恋人を思いながらウジウジ。
・ハネムーン中の夫婦
・友達と旅行を楽しんでいる人たち(といっても、こいつらはほとんど出てこなかったな)
・不倫している機長とCA(前述のCAとは別)
・破局しているのに、そうではないフリをするカップル
(これから友達と過ごすけど、まだカミングアウトしていない)
・ハネムーン客の横に座るゴスロリガール
・手癖の悪い男
・その横に座っている、妊娠しているかもしれない女性
そして、キーパーソンは謎の木箱を運んでいる男性。かと思いきや、この人は最初に死ぬ男の役です。暴言を吐きまくり!イヤミな感じの人。

それぞれの思惑が絡まるなか、乱気流が発生。
キーパーソンは突然苦しみ出し、死んでしまいます。

このへんで主人公キャラがわかるのですが、
・破局カップル
・ハネムーンカップル
が、物語を展開させていきます。

破局カップルの男のほうが救命士なので、男性を助けようとするも失敗。
なお、ハネムーンカップルの旦那のほうも、男性を助けようとして人口呼吸をしてしまい、「キモチワルッ!」と嫁が言い出して喧嘩になります。

ふと、救命士の男性が手を見ると爪が黒い。これはなぜ?そしてCAが何か落ちているものを拾うと、そこには老人の歯が! 乗客の手元のペットボトルも急に潰れます。つまり気圧が乱れている!(※気圧と歯は関係ないっす)

このせいで飛行機は揺れに揺れまくり、荷物ががんがん飛び出してきます。トイレにいた人も天井にガンガン叩きつけられて大変そう。
なお、この女性は妊娠検査薬を試していたところだったのですが、もうしっちゃかめっちゃかですね。

と、ここで酸素がなくなり、皆はパニック。飛び出してきたマスクを装着するも、マスクが出ない人やトイレで倒れている人を救うために頑張る救命士であります。しかし、自分が倒れかけてフラフラしているのに酸素ボンベを見つけて引っ張り出すことってできるんでしょうか。火事場のバカ力かな。

さて、ここでなんとか事態を乗り切るものの、不思議な現象も起き始めます。

・ハネムーンカップルの嫁がPCを切って画面を暗くしたら、自分の後ろに何かがいるのが反射して見える
・泥棒男が老人の時計を盗みに行き、自撮りをしていたら背後の老人の首がスーッと動く(このシーンはなかなか怖い)
・映像が乱れて、老人の顔が「青鬼」みたいな感じでドーンと登場!
・泥棒男が消える。死体も消える。
・CAが窓から戦闘機を目撃する
・もう一度妊娠検査をして、何もでなかった女性。ほっとしていると、股の間から変態風に幽霊じじいが登場

次々起こるおかしなことに、死んだ男が何だったのかを探り出す救命士たち。

なお、この裏でこっそり不倫CAが機長と別れています。

謎の男のカバンを開ける救命士たち。そこにはなんと、人形が!
ドールと言ってたけど、気持ち悪すぎて。「死神」という名前のドールだそうです。
「日本では死神とは、死を司る精霊なの」と淡々と語られますが、ヘーフーンソウナノーとしか思えない。

眠っているゴスロリガール。毛布を引っ張り上げますが、下から誰かが引っ張っています。

75001

このあともまだまだ何かが起きるよ!
・荷物の隙間から手が出ている
・機長の後ろに誰かが立っている……
・CAのひとりが、荷物を入れる頭上のスペースにぐんにゃり引き込まれる

ゴス少女も幻覚と幻聴に脅かされます。そして老人の話をしている際に彼女自身が語っていた生と死の話が聞こえてきて、彼女も死んでしまったよう。

トイレでは、妊娠検査薬をもう一度試していた女の子が死んでいるのを発見されます。

「自分の未来を断ち切らないと、向こうにいけない……」
その言葉が救命士の頭をよぎります。

そうなのです。
彼らは乱気流に巻き込まれた際に機体の酸素がなくなったため、もう死んでいたのだ!
未練を断ち切った順に、死の世界に向かっていたのです。
自分たちの死体を見つける彼ら。顔を歪めます。
CAが目撃した戦闘機は、彼らの飛行機を偵察しにやってきたのです。

この「7500」便は自動操縦中であり、燃料が切れたら墜落することになっています。
救命士と恋人は、自分たちが別れなくても良かったんだということに気が付き、愛を確かめ合います。「もう離さないで」と抱き合う彼ら。「離さない」と言う救命士。

ハネムーンカップルの妻がふと気が付くと、外が明るくなっていて誰もいない。ダストボックスの中を覗く妻のアップ。カメラ側(妻から見ると、ゴミ箱の奥)から手がぬっと出てきて終わり。

考えていたよりもビックリ描写が多く(後ろから出てきてキャーとか何かがニュッと飛び出してきてギャーとか)ねっとり暗闇成分はけっこう少なめ。
たしかに小さいスペースから腕が出てきて人間を引きずり込むという展開はいかにも怖いのですが、既視感もあるんだよなあ……。体が小さく折りたたまれてポキポキギャーとかいう展開でもなく、その表情が見ている側を凍りつかせるようなものなわけでもなく、ちょっぴり物足りない。
これが居酒屋なら「次の店行こうぜー!」っつって、小さいバーによって2杯くらいは飲むと思う。なんかそんな感じ。

好きなテイストなのに、全体的にツギハギだらけな印象が否めない。
飛行機系のホラーって、すっげぇ面白い!ってやつと、「飛行機の上、緊迫した状況に置かれた数人のキャラクター、次々死んでいくのはなぜ?」みたいなあるあるすぎる映画(これも面白いんだけどね!)に分かれますけど、安易に飛行機ホラーを作るのって意外ともったいない気がするんだよなあ。
しかし飛行機Jホラーはまだ目立った作品がないので、ぜひ製作してみてほしい。日本の飛行機ホラーなら見たいぞ。