「VOICE ヴォイス」

voice

まず、ウェス・クレイブン監督のご冥福をお祈りいたします。
本当に悲しい。悲しくて何も手につかなかった。ホラーを見るのもつらい。
「エルム街の悪夢」を作ってくれて本当にありがとうございます。

2005年の韓国映画「VOICE ヴォイス」を見ました。
こちらはオカルトというか、幽霊映画というか……主人公が幽霊になってしまい、なぜ自分が死んだのかを解き明かすお話。なのですが、死んでいる側の人たちが業が深すぎてなかなか感情移入できないのであります。

あらすじ

突然死んでしまったヨンオン。
彼女はなぜ、幽霊になって学校を彷徨うことになったのか。
そこには、かつて起こったもうひとつの事件が大きくかかわっていたのだった……。

ネタバレ

ヨンオンは歌がうまい女の子。彼女が音楽室で歌の練習をしていると、何かが後ろに迫ってきます!
そこで逃げる!しかし転ぶ!後ろにいる!振り返ったら今度はまた後ろに回り込まれる!
と、かなりのスピードで移動してきます。
そしてヨンオンの喉に猛スピードで楽譜がぶっささり、見ているこちら側もポカンとしている状況で主人公が死んでしまいます。

気がついた時には彼女はもう幽霊です。
ものは透けてしまうし、人は自分を通り越すし、誰も気が付かない。外にも出られない。

親友のソンミンは彼女を気遣っていますが、ヨンオンは行方不明として処理されています。
音楽のイヨン先生だけは何かを知っているような顔をしていて……??
この先生は「優しい」「でもレズらしい」という、いかにも女子校らしい噂を立てられています。女子校出身だけどレズの先生なんてなかなかいないと思うが。そしてこの先生、声楽家希望だったらしいですが、喉頭がんで手術をして夢を諦めたらしいという壮絶な過去の持ち主。

しかし、ソンミンだけはヨンオンの声を聞きとります。
ソンミンと交流するヨンオンですが、クラスメイトのチョアもヨンオンの声を聞きとることができます。チョアは1年留年していて、一匹狼タイプの子。「頭の病気のせいで留年した」とも言われていますが、その噂の原因は霊感の鋭さにあるよう。

ヨンオンは死ぬ前の記憶を思い出します。この瞬間、彼女のまわりがシュワシュワ~となるので、ジンジャーエールが飲みたくなりました。
思い出したのが
「お母さんの記憶」(病院で闘病生活の末、飛び降り自殺した)
「イヨン先生の肩にもたれて『お母さんのにおいがする』」
そして先生に何かあったと感じて、叫ぶヨンオン。

彼女があげた悲鳴で、ソンミンは慌てて学校に戻ってきます。そして先生を探すと……なんと先生は死んでいるのであります。

2日目。
クラスメートが「ヨンオンと先生は、恋愛のもつれがあったらしい」と噂を流しています。

一方、ヨンオンの声を聞こえているのに無視するチョア。
「愛する人を忘れたら、声は聞こえなくなる」
と聞き、悩むソンミンであります。同時に
「死者の言うことを真に受けてはダメ」
とも言われます。

その一方、ヨンオンは自分以外の女の子(幽霊)の存在に気が付きます。あの子は誰なのか?

そしてエレベーターに(たまたま)乗ってしまうヨンオン。
エレベーターの扉が急に開き、暗闇から誰かの声が近づいてくるという怪奇現象も!
そしてエレベーターの墜落事故も現実に起き(「グレムリン2」を思い出した)、上から死体がぼろり。それがヨンオンの死体だったわけです!

やはりヨンオンは死んでいた。
しかも、ソンミンはやや話が噛みあわない彼女のことを不気味に感じすらします。

ヨンオンはある回想のなかにいます。
幽霊の子が「先生が好きなのは、先生が失ったのと同じその声だけ!先生から離れて!!」
ヨンオン「関係ないわ」
と冷たくあしらいます。
なぜ、ヨンオンはこんなことを言ったのか?
彼女が実は諸悪の根源なのか?と、ヨンオンへの疑惑が(映画を見ている側から)ふつふつ湧いてきます。

チョアはヨンオンが成仏できないのはソンミンが情をかけているからと助言します。その影響で、ヨンオンに対して冷たくなってくるソンミン。
しかし、彼女の(録音していた)歌を昼休みの放送で流したりと、やはりヨンオンに冷たくしきれないのです。そしてヨンオンに頼まれるままに、幽霊の子・ヒョジョンの身元を調べ始めます。

ヒョジョンはなんとレズで、イヨン先生のことが大好き。
シャワーを浴びているイヨン先生に抱きついたり、それを同級生に見られていじめられたり、そのいじめを見たイヨン先生に無視されたりして、結果としてあのエレベーターで自殺してしまったというわけ。

放課後。停電した校内。ヨンオンはどんどん成仏に近付いております。
ヨンオンとソンミンがヒョジョンの幽霊に追われてエレベーター(個室がない状態で奈落へ続いている)から落ちそうになったり、ヨンオンの声が放課後の自習している生徒たちに聞こえて「なんで停電しているのに声が聞こえるの?」なんて大パニックになったり。

「お願い、もう消えて!」
と叫ぶヨンオン。
ですが、やっぱり諸悪の根源はヨンオンだったわけです。
・母の闘病生活をサポートするのがつらくなり、母の死を願った
(母を追い詰めるような行動もとった)
・ヒョジョンの声を聞き、先生に裏切られたと思った
(実力を認められていないと思った)
・そのため、先生に「歌を聞きたい」とねだり、ヒョジョンのことを思い出させた
(これはわざと先生を傷付けるため)

ヒョジョンなんて本当はもういない。ヒョジョンは、先生を殺した時に一緒に消えてしまった。
先生が死んだのも、ヨンオンのせい。弦楽器(チェロですかね?)を弾いていた先生が弦でからめとられて死んだのは、全部ヨンオンのせいだったのだ。

と、エレベーターのなかから飛び出してくるヒョジョンの幽霊。
つかみかかってくるが、途中で掻き消えてしまう。
「お前もああなるんだ」と言われるヨンオン。(たしかチョアに言われたんだっけ??)

最後の日。
どうしてももう一度ソンミンと話したいヨンオン。
机の中のプレイヤーを再生して(ヨンオンとの思い出にひたり)、泣きじゃくるソンミン。

「生きたい……」そう強く願うヨンオン。
その裏で、チョアがボイラー室に引き寄せられ、爆発した電球が顔に刺さって死んでしまいます。

その後。休学していたソンミンが学校に戻ってきます。
彼女は先生たちに挨拶をすませ、帰路につきながら母を抱き寄せてこういいます。
「お母さんに孝行したい。一緒にドライブに行きたいな」
これはかつて、ヨンオンが母に言っていたのと同じことなのですが……!?!?

と、非常にわかりにくいお話。
ヨンオンが幽霊の声に影響されて先生を追い詰め、自分も死につつも先生を殺し、ヒョジョンに復讐。
でも自分とソンミンの仲を裂いた(新たな親友候補になった)チョアを殺して、ソンミンの体をのっとったということなのでしょうか?
ヨンオンが介護疲れのような状態で母の死に加担してしまったという設定はわからなくはないのですが、そこから母のように慕っていた先生に裏切られた!キー!と発狂する理由がよくわからないけど、そういうものなのですかね。
女子校を舞台にしたホラーとしては、かなり雰囲気があって好き(制服も好き)ですが、話がやや面倒くさいタイプのストーリーであることは否めないような気もします。