「ザ・デッド:インディア」

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2013年のイギリス映画「ザ・デッド:インディア」を見た。
「ゾンビ大陸アフリカン」の続編で、今度はインドでゾンビが大量発生だ!という話です。
ゾンビが誕生した理由は相変わらずよくわからないのですが、
・ゾンビはノロノロタイプ
・けっこうむしゃむしゃ食べるシーンが出てくる(まあ、物足りないけど)
・噛まれたら死亡、しばらくしてからゾンビになって甦る
というのは前作そのまま。
ぶっちゃけ、前作とあんまり変わりないうえ、ストーリーはベタな感じなので(おじさんと少年のロードムービー)ゾンビ鑑賞映画と割り切って見ることをおすすめしたい。

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ジャケがあんまりよくないよね。

あらすじ

ニコラスは電気技師。ゾンビが発生してから、恋人の待つムンバイにかけつけることになるのだが、その道のりははるかに険しく……!?

ネタバレ

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アフリカとインドがダメなら、アメリカもダメそうなもんだが!と言いたくなるお話ですが、そういうものでもないのでしょうか。
イギリス映画なのにアメリカ人が主人公で、インドが舞台。もうわけがわからないよ!

冒頭から「バイオハザード5」みたいな空気感(は、前作か……)で始まるこの映画。前作の舞台であるソマリアで、ゾンビに腕を噛まれていた男がインドに戻ってきてしまっており、ゾンビ感染を拡大させていきます。1とリンクした世界観ですね。

そしてとある村にゾンビがゆる~く近付いてきて、ガブガブ噛まれまくり、感染広がりまくりであります。ここで、メインの登場人物のひとりである少年もちらっと出てきます。

さて、主人公のニコラスは電気技師で、風力発電の機械のメンテナンスを単独で行っています(単独ってあり得なくない?事故起こったらどうするんだ?)。
給油車が来ないから車はガソリン切れというフラグビンビンの展開がありつつ、彼女と電話で話すニコラス。

実は彼女は妊娠しており、でもパパは交際に反対している。どうしようかー?と話しているうちに、ゾンビがムンバイにも登場して大変な事態に発展。ニコライのいる荒れ地にもゾンビが出てきて、人を襲っています。
(荒れ地にそんなに人がいるのかね?)

彼女はパパに助けられ、無事に家の中へ。
(ちなみにこの家、ずっと扉を破られないのである。)
ママは噛まれるし、外では人が襲われて喰われてるし、呆然とする彼女。
なお、パパは娘に厳しいガンコおやじなのですが、娘の仕事中の様子まで監視している模様。コエー。仕事を休んで病院に行ったらしい娘は、そのことをとがめられるものの、妊娠のことを話せず……?

ニコラスがいいやつだと認めつつ、「外国人はすぐ女を捨てる!」とのたまうパパ。た、たしかに……(欧米の人に限らず、日本人もタイとか中国とかでそういうトラブルを起こしている印象)。
だからこそ、別のマジメな男と結婚してほしいというパパさんです。
なお、扉を開けて外を覗く父ちゃん。ゾンビが入ってきそうになるという展開がありますが、それでも扉は壊れない。木製っぽいけど強いドアであります。

ニコラスは友達(同じ会社の人)に電話をして、彼女を助けてもらおうとしますが断られます。
政府のはからいでアメリカ人だけは国外脱出できるようですが、果たしてどうなるのか?彼女を置いていくか、連れていけるのか?そもそも、ニコライは間に合うのか?

とりあえず、給油しに行くニコラス。しかし途中でゾンビを轢いてしまうわ、さらに人の足を土下座スタイルでもぐもぐ食べてるゾンビと目が合うわでショックを受けます。
なお、ニコラスは武器としてトンカチ(仕事道具)を使います。脳梁まで飛び出るほど殴るのでなかなかにグロイ。ただ、トンカチは途中で使わなくなるのよね。銃が出てくるから。

さあ、ガソリンスタンドに着きます。
もちろんここの店員(ニコラスの友人)も噛まれています。店は血だらけだし、友達はゾンビになってるし、携帯電話は通じないし。しかし店の電話から彼女に電話したら、パパに妊娠のことがバレてしまいます。
彼女はパパにビンタされ、携帯電話も壊されます。
こういう時に携帯電話を壊せるのがすごい。連絡手段でしょ。

店のまわりにゾンビがたくさん集まってきたので、パラセイリング?っていうのかしら? あの、落下傘みたいなパラシュートみたいなものを広げて、そこに機械で風を送ってふわっと浮くアクティビティで逃げることにするニコラス。
店の屋上から飛び立とうとしますが、階段が狭すぎてゾンビが列になって並んでいるのがかわいい。
何とか飛びますが、ニコラスがゾンビぎりぎりのところを飛んでいるので、ゾンビたちが手を伸ばして「たべたい」感じのポーズで追いかけてきます。
このドキドキ感はけっこう面白い。逃げるための手段として、そこまで有効そうじゃないのもスリルを倍増させます。

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さて、某村では、少年・ジャベドくんがゾンビに襲われています。女の人が助けを叫び、子どもすらも助ける人がおらず、食べられそうになっている状況。ジャベドはもっと小さな子どもをかばいながら逃げますが、木に引っかかってるニコラスを見つけたところでまた襲われます。
逆にニコラスに助けられるジャベドくん。

その頃、ムンバイでは軍隊が助けにきますが、あんまり助けにならないまま死んでいきます。
「お金持ちばかりが助かるのね」と彼女は毒を吐きますが、そんな次元じゃないみたい。軍隊すらガブガブされてますもの。

ムンバイに行きたいニコラスのために、ガイドをかってでるジャベド。車を手に入れ、奇妙な旅が始まります。車の中で、ジャベドはニコラスを質問攻めにします。
「どうしてムンバイヘ?」「彼女に会うため」「恋してるの?」「恋してるとどんな感じ?」とか聞きたがるジャベド。

なお、ニコラスにもある後ろ暗い過去があるのですが、ジャベドも捨て子だというトラウマを持っています。でも、明るく生きてる健気な少年です!

検問にひっかかるニコラスたち。感染者は容赦なく殺されていきます。感染ではなく、ケガをしているだけでもすぐに射殺されるということに気付くニコラス。
手をケガしているジャベドのために検問から逃げて、車を別の方向に走らせます。
しかし途中で、崖から車が落ちてしまい(狭い道で大型車とすれ違った)、そのせいで徒歩に逆戻りです。

休憩タイム。
なお、インドの伝説がここで語られるのですが、ニコラスとダブるような話です。
・王様が身分の低い娘を見初めた
・だが、反対されて政略結婚させられそうになった王様は、娘と一緒に死んだ
・でも後に墓を開けると、そこは空っぽだった
という話を聞かされます。
駆け落ちしたってことかな?それとも、愛を貫いた結果、神に助けられたのでしょうか?

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ハンターの山荘で銃を探すことにした彼ら。でも銃はないし、ゾンビはいるし……。
でもバイクを見つけてそれで逃げることになります。
夜道で街灯なし、しかも舗装されていない道をバイクで走るという怖さ!しかもゾンビが時々飛び出してくるというスリリングな展開。いや~この場面はドキドキします!
電灯のない夜道って怖いよね。でも、ホラー系のバラエティで見る夜道って怖くないよね。あれは何でだろう。

ムンバイでは、パパがずっと外見てます。好奇心旺盛ですね。
(扉を開けて見てんだぜ、このおやじ)
なお、お父ちゃんは説法者らしいのですが(ヒンドゥー教の教えを説く仕事らしい)、なんでこんなことになったのだろう!と嘆く娘に「これは神の計画だ」「我々が自分で、この事態を招いたのだ」と説きます。
ホラーにおいてはどこの国の人も、宗教家の方は言うことは同じなんだなあ。

ニコラスたちは途中で車を見つけますが、その中にはゾンビが。中から激しくアタックされ、物音をたてられたのでまたバイクにまたがるしかありません。腰が疲れそうですね。

小休憩をとるニコラス。
そういや、アメリカ人専用の飛行機での脱出には余裕で間に合わなかったみたいですね。そもそも、飛行機自体も飛んだのかどうか……??
砂漠の中に生える木の実を見つけて、モグモグ食べるジャベドとニコラスたちは、心を通わせます。

ここでニコラスは以前、付き合っていた彼女が妊娠した後に怖くなって捨てた……とか、その彼女が赤ちゃんを諦めたけど合併症で体を壊して……とか、子どもに聞かせていいのかわからないほどヘビーな話を始めます。
いやあ、クズだなあ……ニコラス……。「父親になるのが怖かった」という話を聞いて、ウンウンワカルワカルーとかならねぇだろ!
だからこそ、今の彼女は守りたい!ってことなのかね。元カノがかわいそすぎます。シンプルに「子どもを失って妻とは別れた」とかにすればよかったのでは?「父親になりきれなかった男」なら、精神的におかしくなっていた妻が子どもを虐待しているのに気付けなかったとか、お話の作りようはいろいろあると思うんだけどな。あんまり好きになれない設定。

そんな話をしてたら、そのへんに停めてたバイクを泥棒されてしまいます。
「子どもが待ってるんだ!」ブルルルル~と逃げられ、なんだかアホだなーとシミジミしちゃう。
そして彼らは徒歩に逆戻りします。夜になったので、知らない家に入って2人で寝ることになるのですが、見張りとかいう概念もなしにグーグー寝られるのがすごい。

案の定、朝になるとゾンビに家を囲まれているので逃げ出すことに。
ただ、ジャベドは戻って肌身離さず持ち歩いているクマさんのぬいぐるみをとってきます。これは両親が捨て子の彼に残してくれたものなのですが「手作りだから、愛情がこもってるはずだ」というジャベド。この子は健気だなあ、ホント。

しかし、ここで唐突にヘリが現れ、生存者を拾って飛び立とうとしています。ジャベドを乗せてもらい増すが、ニコラスは乗れず。唐突な「定員オーバーだ!」ということで、ニコラスは乗れないんですね。
ジャベドは「ムンバイの砦で待ってるよ!」と叫びます。
この子がヒロインだったんだろうか?と勘違いしそうになるわ。

荒野で独りぼっちになったのに、道がわかるのだろうか?
(そもそも、ジャベドは砂漠の道よくわかるよな。)
と不安を残すニコラスですが、頑張って進みます。

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ムンバイでは、死にかけているママが彼女に進言。ママも実は好きな人と別れさせられてパパと結婚したのですが、夫に愛されて幸せだったものの、やはり心の奥で好きな人が忘れられなかった模様。「自分の心に従うのよ」というママ。

その頃、ニコラスは車に挟まれて逃げられない親子を発見。荒野でゾンビに囲まれて困っている親子を助けようと奮闘するニコラスですが、どうしても子どもの足が抜けない。決意して子どもの頭を撃ち、驚く母親も射殺して逃げるニコラス。
唐突な展開です。

ひとりでいると、さまざまな思い出がフラッシュバックします。それでも、彼女のために歩き続け、少年に教えてもらった木の実を食べて水分補給しているうちに、盗まれたバイクを発見。
そして、あの泥棒の男はゾンビ化した自分の子どものゾンビに食べられています。「子どもが待ってるんだ!」とバイクを盗んだのに、皮肉な結果ですね。
子どもたちゾンビを銃で殺し、バイクを取り戻すニコラスでありました。

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さあ、ムンバイ市内に入ることができたニコラス。一部で火事も起きてるし、ものすごく荒れてます。

一方彼女も、ママは死んじゃうし、そのまますぐゾンビになるしでなかなかのピンチ。
パパも噛まれますが、ママゾンビがいる部屋から悠々と出てきてちょっと笑った。ママゾンビはパパが始末したんですかね?そのあたりは描かれていません。

ニコラスはバイクでムンバイに着いたものの、ゾンビを避けられずに追われまくり、いったん倉庫の中に籠城することに。兵士が落とした銃を乱射して、気分は「セーラー服と機関銃」です。しかし、このゾンビ映画のゾンビたちはドアの破り方は史上最高にソフトです。スー……って開けるのね。バンバンしません。

さあ、ようやく彼女の家に到着したニコラスです。涙の再会。噛まれたパパは娘を見送り、ニコラスとがっちり握手して、自分は家に残ります。
たしかに約束を守ってちゃんと家まで来たのですから、それだけ娘を愛していることが伝わったのでありましょう。

しかしこいつら、パンデミック中に外に飛び出してどこにいくんだ?ニコライたちが手に手を取って向かったのは、ムンバイにある砦。外ではゾンビが扉をごりごりしていますが(ニコラスたちはどうやって中に入ったんだろ?)、内部は安全です。
そしてジャベドと再会するニコラスたち。

その背後にジャベドの持っていたぬいぐるみを見て、こっそり涙する女性がいます。
この人はもしや……?

ニコラスはジャベドとすっかり親子みたい。
なお、「アメリカ人とその家族は救助されるらしい」という話になるのですが、ジャベドはどうなるのか?と話をしているうちに、突然に砦に爆弾だかミサイルだかが撃ち込まれます。
なぜか、砦を攻撃してきた戦闘機。ニコラスたちは逃げますが、3人で生き埋め状態になります。ここで伝説を思い出す彼ら。これが神の意志なのか、それとも?
「墓を開けたら、その墓はからっぽだった」
という、ジャベドが語った伝説の結末を反芻するニコラス。

この終わり方がよくわからない。何で急に爆撃されたんだか、説明がありません。
前回とリンクした展開なんだっけ?とかいろいろ考えたのですが、よくわからなかったですね。そもそも、この映画から見た人には「前作が~」とかわからないだろうし。原題は「the Dead」シリーズなのでつながってるのがわかるでしょうが、邦題はわかりにくいからいやですね。

あと、「ゾンビ大陸アフリカン」で感じた良さが、やや失われていたような気もする。
というのも、あの映画の舞台をスライドさせただけなんじゃ……
とか、
主人公が感情移入しにくいほうのクソになってる……
とか(性格が横暴とか冷酷とか、ダメ人間とかならまだしも)
「インド・オブ・ザ・デッド」もう見ちゃったし……
とか、テンションが下がるのにはいろいろ理由がある。
でも、やっぱりのろのろしているゾンビのほうがいいよね。