“すれ違い”幼なじみカップルのもたらす、むず痒い関係性「あと1センチの恋」

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2014年のドイツ/イギリス映画「あと1センチの恋」。
アメリカの恋愛映画よりはポップではなく、フランスよりは甘ったるくない。イギリスの恋愛映画はさっぱりしているので、けっこう見やすいですよね!
さて、この映画に関しては……なんちゅーか、美男美女の幼なじみが「好き」と言えないあまりすれ違いまくるお話なのですが、このカップルに振り回された周囲の人たちはいいかげん怒るんじゃないかしら?とドキドキします。「いつでも“好き”って言えたのに」というキャッチフレーズを聞くとイラッとするぜ!そういえばヒロインはリリー・コリンズ。女性人気が高い次世代女優でもありますね。

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あらすじ

デビュー作『P.S.アイラヴユー』が世界的ベストセラーとなったセシリア・アハーンの『愛は虹の向こうに』を映画化したロマンティック・コメディ。距離が近すぎるゆえに恋へと踏み出せず、互いの人生を見守り続ける皮肉な運命に翻弄される幼馴染みの男女の切ないすれ違いの恋模様を綴る。主演は「白雪姫と鏡の女王」「シャドウハンター」のリリー・コリンズと「スノーホワイト」「ハンガー・ゲーム2」のサム・クラフリン。監督はドイツ出身でこれが初英語作品となるクリスティアン・ディッター。

英国の小さな田舎町に暮らすロージーとアレックスは幼なじみの大親友。青春時代をずっと一緒に過ごしてきた2人は、どんなに恥ずかしいことでも遠慮なく言い合える関係。ところが、好きという言葉だけはどうしても言えなかった。そんな2人の夢は、米国ボストンの大学に一緒に進学すること。そして2人ともみごと合格し、夢に大きく前進した矢先、ロージーはクラスの人気者との一度のセックスで妊娠してしまう。進学を諦め、地元に残って子育てをする決断をしたロージーと、ひとりボストンへと旅立つアレックス。再会を誓い合い、離ればなれになっても連絡だけは取り合う2人だったが…。

http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=350237

ネタバレ

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幼なじみのアレックスと主人公・ロージーは子どもの頃から仲良し。いつも一緒にいるカップルです。しかしながらアレックスが学園のマドンナであるベサニーちゃん(ビッチ)にアプローチされ、舞い上がりまくり。高校のパーティに行く約束をしていた2人ですが、「私じゃなくて彼女といけば!」「えっ……君がいいならいいけど、ホントに?(意味ありげチラッ)」「私は別の男の子からも誘われてるし!いいわよ!」という、イライラする意地の張り合い。微笑まC~☆(死語)胸キュン☆と思う人はいるのかもしれませんが、たしかに難しい問題ではありますわよね。「幼なじみのこと気になるけど、好きなのかはわからない!でも、付き合うとか考えるとなんか、ヤダ~!」みたいなことなのでしょうか。

結局ベサニーで童貞を卒業したアレックスくん。彼女とイチャこきまくりの日々。
一方、ロージーをパーティに誘ってくれたイケメン・グレッグは頭空っぽのハンサムくんであり、初めてのベッドインで早漏ぶりを発揮。しかも避妊具を彼女の体の中に置き忘れてきてしまう失態を犯します。このベッドインのシーンがとにかくバカバカしいのですが、リリー・コリンズの下着姿がんもう、めちゃくちゃキュート(女子が憧れる体つきという感じ、男子も好きだろうけど)!
ちなみに、この避妊具失踪事件の時にアレックスに助けを求めるロージーですが、電話で「うーん、何が言いたいのかわからないよ」「だからぁ、私の体の中にコン○ームが入ってるみたいで出てこないのよ!」と絶叫させられ、エレベーターに乗り合わせた人が絶句するシーンがあります。

そんなこともありつつ、ボストンに行くことになった2人。アレックスは有名大に進学することが決まり、ロージーもボストン大に合格します。でもまだベサニーと付き合っているアレックス。彼の家に相談をしに出かけて、ベサニーの喘ぎ声を聞いちゃったロージーはそのままカバンにゲーッとしちゃいます。アレックスの妹が「わかる。私も吐きそう」というシーンがすごい。筒抜けっていやですね。

まあ、もちろん吐いたのには理由があり、彼女はなんと初夜で妊娠していたということがわかります。本当はボストン大に進学し、自分のホテルを持ちたいという夢があったロージー。
(パパはホテルでボーイとして働いていることから、自分もホテル業界を夢見るようになった)
薬局で妊娠検査薬を売ってくれたゴスロリ少女・ルビーと仲良くなったロージーは彼女と話をしているうちに「養子に出せばいいんじゃん!」と思いつきますが、実際に出産してみるとそんなことはとてもできない。彼女はイギリスにとどまり、子育てを続けます(当然、父親は逃げた)。シングルマザーとして子育てをする彼女ですが、ママもパパもウッキウキ。かわいい孫娘をかわいがります。

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街でベサニーと出会って非常に気まずい思いをした後、ロージーの元を訪ねてくるアレックス。
そしてアレックスに子供のことがはっきりバレちゃいます。アレックスはそのことを受け入れ、ロージーとの友情が復活。

アレックスはボストンの大学に進学しており(ちなみに医学部)、気のいい男性フィル、そしてその妹のサリーと知り合います。
ベサニーはイギリス版のエッチな雑誌で“プレイガール”に出ています。
そしてロージーはホテルで働きながら娘・ケイティを育てています。
警察官とベッドインしたものの、ベッドの枠と手を手錠でつなぐプレイをしていた結果、それが外せなくなったロージー。なんとベッドの枠をかつぎながら幼稚園へとケイティの送り迎えをするシーンが挿入されています(本編とは関係なし)。

アレックスとサリーは交際を始めていますが、細かいサリーとややおおざっぱなアレックスは喧嘩ばかり。対面ばかり気にするサリーにうんざりすることもありますが、そんな時にはロージーにメールをしてきます。これ、サリーからしてみたら相当ムカつくとも思うのですが。
そのメールの内容が「今日見た夢」のことなんですね。アレックスは夢の話をロージーにするのが好きという前フリが冒頭にあるのですが、それにしても「今日見た夢はね」なんて送ってくる男はイヤだな……と思ってしまいました。

ロージーはアレックスに呼ばれて、ボストンに行くことに。ちょっと期待しつつ、ウキウキで出かけるロージー。
夜遊びもたっぷりして、ちょっと心が通じ合ったような感覚を持つ2人です。ロージーは当然期待しますが、アレックスの家にはイライラしているサリーの姿が。しかも、サリーからあてつけがましく妊娠していることを聞かされます。アレックスがずっとそのことを黙っていたことはもちろん、ボストンでの居心地の悪さからブチキレるロージー。
そのまま帰国したロージーですが、かつての恋人でありケイティの父でもあるグレッグが彼女の前に現れ、再婚することに。一方、アレックスはサリーが浮気しており、妊娠していた子どももその浮気相手との間の子だったことがわかってしょんぼり。

そして5年後。
ベサニーと再会するロージー。女優になっている彼女のワガママぶりに圧倒されつつ、アレックスの近況を伝えます。
娘は反抗期であり、両親は他国に移住してしまい、やや心細くなる日々。しかし父が急死し、そこにアレックスが駆けつけてくれて久しぶりの再会です。しかしロージーの夫のグレッグは義父の葬式なのにかなり酔っており、いかにもダメ男な匂いプンプンです。

そのことから、アレックスはロージーに手紙を書きます。しかしその手紙を夫が隠してしまい……。

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死んだパパから届いた手紙(死ぬ直前に投函したもの)を読み、「夢を追い続けるんだ!」というエールを得る(ダジャレ)ロージー。しかし旦那は非協力的ですし、なんと浮気していることもわかります。離婚することにしたロージーですが、彼の机のなかからアレックスからロージーへと宛てられた手紙を発見。旦那への悪口と、「俺をいつでも頼ってくれ!」的なラブレター風味の手紙にときめくロージーはすぐにアレックスに連絡を取りますが、スカイプ?に登場したのはなんと宿敵・ベサニー!しかも彼らはすぐに結婚することがわかります。

ガックリするロージーですが、結婚を止めるためにアメリカへ!ケイティと彼女のボーイフレンド、さらには親友のルビーと一緒に旅立ちますが、飛行機トラブルで到着が遅れ、結婚式阻止には間に合わず。しかしルビーとフィルがお互いに一目惚れしてビビビ婚(死語)することにもなります。

しかし二次会?で娘にボーイフレンドがキス→「やめてよ!キモイ!」という娘とボーイフレンドで喧嘩という展開があり、それをたしなめるロージーとアレックス。まるでかつての自分たちの姿を重ねるように、彼らの仲を取り持ちます。

結局引っ越して自分のホテルを始めたロージー。ルビーも一緒です。あと、フィルも一緒についてきました。
オープン初日、初めてのお客さんも登場!アレックスが来た!のかと思いきや、知らない男性。しかし、実は「コン○ーム失踪事件」の時にエレベーターで乗り合わせた男性がたまたまやってきたというすごいオチでした。

もちろんここにアレックスもやってきて、「離婚したんだ!」と言い出します。そして二人は熱いキスを交わすのであった……という終わりです。

よくよく考えてみれば幼なじみのすれ違いの恋×結婚式乱入モノという作品でした。
まどろっこしい恋愛を見るが好きな人にはいいのではないだろうか。ただ、好きな人と付き合えれば幸せなわけでもないということを度外視しているので、その点は気になりました。あと、簡単に離婚しすぎですよね。ロマンティックなんだけど、地に足のついたロマンティックだなあと思う。
ヒロインの相手役があんまりハンサムじゃなきゃあ、大好きになる映画だったような気もします。でもやっぱり、「離婚したから結婚しようよ!」ってのは、さすがに元妻のこと考えてなさすぎぃ!