「ヘル・レイザー」

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実はもうひとつのブログでも未紹介だった(見るのは初めてではないけどね)1987年のイギリス映画「ヘル・レイザー」を見ました。
私は「悪魔のいけにえ」「死霊のはらわた」、ゾンビ三部作は好きなんですけど、この映画を見たのはとっても遅い。でも、それでも好きな映画。
監督はクライヴ・バーガーです。私がはっきり知ってるのは「キャンディマン」ぐらいですかね。他にもちょいちょい見ているんだけど。

hellraiser

あらすじ

究極の快楽が得られるという奇妙なパズルボックスを入手した男が失踪。
その家に弟夫婦が移り住むが、その屋根裏で死んだはずの男の肉体が再生し始める。
徐々に迫りくる悲劇。一人娘・クリスティは偶然、そのパズルボックスを手にしてしまうのだが……。

登場人物

クリスティ:主人公の女の子。義母と折り合いが悪く、恋人と暮らしている。
ラリー:クリスティの父。優しくてひょうきん。
ジュリア:クリスティの義母。実はある秘密を抱えている。オールバック女ってワルっぽいよね
フランク:ラリーの兄でワル。このゴタゴタを引き起こした張本人
スティーヴ:クリスティの彼氏

ピンヘッド:頭部にピンがたくさん刺さっているのが特徴。
フィメール:ほっぺたから複雑な形状の針金を通しているスキンヘッド女子。喉がぱっくりしている。残酷な性質の持ち主
バターボール:サングラスをかけて、お腹がぱっくりしている。グラサンをとると目が縫われているのが特徴?歯がツブツブしていてとがっている。
チャタラー:お口を四角く剥き出している。目と鼻はない。歯並びが非常にキレイである。

ネタバレ

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(日本のハロウィーンもこんくらいやれよ。)

まず、謎の男がある男にパズルボックスを受け渡しているシーンから始まります。この箱はルマルシャンの箱と言われる謎のボックス。組み替えていくことで、究極の快楽が得られるというものです。しかし、これが箱根の寄木細工みたいにしか見えないのであります。
あと遊戯王が首から下げてるネックレスにも見える(遊戯王が影響受けてるの?んなわけないか?)。しかし、あんなのぶら下げてたら胸が傷だらけになりそうですよね。
箱のアップとともに、誰かの汚い爪もアップになります。

そして、そこからある光景が見えます。
フックに引っ掛かる皮膚。バラバラになる肉体。体の断片がいろいろなところにひっつきます。
クルクルまわる三角柱に皮膚が垂れ下がっているなんて、まるでハンコかアクセサリー売り場の展示みたいで素敵よ!
この体の持ち主こそ、トラブルメイカーのフランクなのであります。

そして数年後、フランクの家に引っ越してきた弟夫婦。いや、兄貴の家に勝手に住んだらダメだろと思うのですが、ゴキやらウジやらがたっぷりいるのが気持ち悪い。

引っ越しを無事に済ませたラリー夫婦ですが、どことなくぎこちない娘との関係。義母・ジュリアが彼女に意地悪というわけではないのですが、信用できない印象があります。

そして明らかになるジュリアの過去。
ある日、ラリー夫婦の家に急に来たフランク。びしょびしょに濡れていてやけにセクシーです。そしてその勢いで関係を持つ彼ら。
キスシーンがまたすごいんだ。普通のキスが「チュッ」なら「ブチュウウウウ」とフランクさんは吸いまくります。
そして思う存分いたしまくり、フランクさんはオールヌードまで披露(足で股間を隠すという、まゆゆの写真集みたいな高等テク)。そんな思い出に浸る悪いオンナ、ジュリアであります。

しかし、ここで家の屋根裏部屋が突然変化。床板がばくばくと盛り上がり、人の骨や皮膚が少しずつ形成されていきます。そして人間らしきものになった肉塊は「ジュリア!ジュリアー!」と呼びかけます。つまり、フランクさんがなぜか蘇ってきたのです。

フランクさんは元の肉体に戻りたがります。そのためジュリアが人間を釣り、家に連れてきてフランクさんに与える必要があります。
ジュリアはがっちりメイクして街に繰り出し男にナンパされ、おうちに男性をお持ち帰り。ご近所さんの噂になりそうなもんですが、そこらへんはアバウトです。
フランクさんの食べ方がまた汚いんだ。見かけもまるで『進撃の巨人』であります。

その頃、クリスティはバイト中のペットショップで変なじじいと遭遇。
虫かごに手を入れて、その虫をおやつ感覚でパクパク食べるじじいと目が合います。この意味ありげホームレスじじいは、何度も物語にカットインしてくるよ!

人間をむしゃむしゃしたフランクの肉体は徐々に蘇りつつありますが、家の中の奇妙な変化をクリスティは微妙に察知しています。
そしてクリスティはフランクを目撃。襲われつつも入院して難を逃れますが、握ったまま入だったパズルボックスをいじってしまい、異世界に突入。
やたら歯並びが悪い桜エビみたいな形状の悪魔に追いかけられるクリスティですが、魔導士たちも現実世界に現れます。

この異世界と現実がリンクする描写はとにかくきれい。レンガのすきまがキラキラ光ったり、テレビには花が咲く様子が映し出されたり。ライトは割れ、点滴には血が逆流していきます。

彼女は魔導士たちに殺されそうになり、自分がパズルボックスをいじったのは事実だが持ち主はフランクであること。そして彼がまだ生きていることを魔導士たちに告げます。

しかしその頃時すでに遅し。フランクはラリーの体を食べ、肌を奪っていたのです。その証拠によく見ると目の色が違うのですね。パパだと思って抱き着くクリスティに真相をぶちまけ、追いかけるフランク。ジュリアなんてさっさと殺しちゃいます。この変わり身の早さに驚く。

そしてフランクがよみがえった部屋で、魔導士たちはフランクを見つけ、また快楽と苦痛を彼に与えてあげるのです。
顔の皮膚をお好み焼きの生地のようにのっぺり伸ばされ、また断片にされるフランクさんでありました。イケメンが台無しだぜ。
クリスティも捕まりそうになりますが、けっこうあっさり逃げます。

最終的には家がコントみたいにバラバラになり、パズルボックスを燃やすことで終焉を迎えたこの事件。そういや、クリスティを助け出した彼氏のスティーヴが意外と頼りになったので偉い。
そしてこのパズルボックスを燃やしていたら前述の虫食べホームレスが来て、唐突にプテラノドンのような形状に変化。そしてお空に帰っていきます。
さようなら~、来年の夏もまたここに遊びに来るんだよ~!と涙を浮かべながらサヨナラするクリスティ(嘘)。

ここで冒頭のシーン「何がお望みですか?」と対話する男たちのシーンに戻ります。

「どういうことなんだ!?」というシーンと、「それでもいい!」というシーンが入り混じりなんとも面白いこの映画。
肉体の断片を展示しないでほしいわあ。
「快楽と苦痛」にしても、全然快楽要素が見当たらないような気がするのだが、究極のマゾヒストこそ究極の快楽が得られるということなのでしょうか?
こういう映画って、たびたび見返すと記憶と違いますよね。 その記憶との落差がまた面白かったりする。そういう映画。ちなみにピンヘッド兄貴もカッコイイのですが、私はやっぱりフレディ派なんだな。なぜでしょう。ボーダーを着るフレンチな男性が好きなのでしょうか。