「ダークハウス」

darkhouse

2015年ののアメリカ/イギリス映画「ダークハウス」を見ました。 製作はジェームズ・ワン。「ソウ」やら「死霊館」、「インシディアス」。さらになぜか「ワイルド・スピード SKY MISSION」まで監督してますね。この顔触れのなかでは「死霊館」が一番好きかなあ?(ソウはあんまり好きじゃないっす)

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あらすじ

連続殺人事件が起きたという館に入り込み、心霊現象があるのかを確かめようとする若者たち。
しかし案の定惨劇が起こってしまう。
現場で唯一生き残っていた青年・ジョンに話を聞くルイス刑事だが―。

登場人物

ジョン:以前の惨劇で唯一生き残っていた女性の息子。当時、母のお腹の中にいた。最近悪夢を見るようになり、悩んでいる
ミッシェル:ジョンの彼女。
サム:ミッシェルの兄貴
ブライアン:ミッシェルの元カレ。ワルでお調子者。
ドニー:カメラ担当(ムカデ人間の日本人俳優の人??)。
ジュール:オカルト好きの女の子

ルイス:刑事。堅物である
ルイスの恋人:カウンセラーの女性。ジョンの話に真面目に耳を傾け、真相を解明しようとする

マーサ:以前の惨劇の犯人とされる女性。既に死亡している

ネタバレ

この映画では、
「惨劇に見舞われる前の青年たち」のエピソードと、
「彼らが死んだ後、警察がジョンに事情聴取をしている段階でのエピソード」で構成されています。

2~3ヵ月前から、死んだ母の亡霊が見えるようになったジョン。
憔悴した彼ですが、彼女やその兄に促され、かつて母が巻き込まれた惨劇の現場である廃墟(ママの友人・マーサの家。なお、マーサは現代では魔女的存在として語り継がれている)を訪れ、そこで降霊会をしようとします。
友人への思いやりの結果が「降霊」ってどういうことなんだろ?とも思うのですが、ブライアンはクソ、ドニーとジュールはオカルト大好きなのでこういうことをしようとするのですね。
彼らは廃墟に向かうのですが……!?

時は流れ、事件後。
ルイス刑事は「なんか近所の家がうるさいんスけど」というご近所からのクレームで、廃墟を見に行くことに。
しかし、そこには死体の山!
彼は唯一の生き残りであるジョンを発見し、話を聞くことになります。しかし、死体として残っているのはサム、ドニー、ジュールのものだけ。ミッシェルとブライアンの姿はありません。

しかし、残されたビデオテープには「あの野郎」と、犯人が男であることを示す言葉が残っています。
それでは、犯人はブライアンなのか?それとも、もしかしてジョンなのか?

ただ、怒りっぽいルイスはジョンを怯えさせるだけ。
彼は恋人であり、同僚であるカウンセラー(名前を失念しました、すまん)を呼び、彼女から話を聞きだしてもらうことにします。

まあ、どう説明しようとしても
・奇妙なことが次々起こる
・それでも降霊会をする
・バンバン人が殺される
というあらすじから外れることはありません。

キーアーテムで登場するのは「バレリーナのオルゴール」と「風鈴」(霊が通る時に音がする?)。ただし、意味があるようでないですね。

奇妙な出来事一覧
・昔からこの地方では、来訪者を迎える時に街灯をつける習慣があった。この家の街灯は古くて使われていないようだから、人を迎える習慣がないのだろうと分析されていた→のちに急に灯りがともり、悪霊たちに営業中だと表示
・悪魔の象徴となる黒い鳥が、絵画に描かれている(ちなみにカラスじゃないです)。後に、家じゅうをブンブン飛び回ります。
・突然、絵が炎上する
・手がニュッと出てきてびっくり!わあ、怖い(棒)
・美人なジュールちゃん、急になにかに引きずられてダイナミックに退室して廊下を引きずられる
・お口から黒い鳥が出てくる

まあ、こんなことがありつつも「関係ないっしょ」とジョンとミッシェルの止めるのを聞かずに降霊会タイムに突入。
床に刻まれていた魔方陣を再利用して降霊を行うと、突然ミッシェルが腹痛を起こします。
そう、彼女は妊娠していたのである!けっしてちびまる子ちゃん的腹痛じゃないです。隣のトイレにたまちゃんがいてできなかったエピ本当にすき。

と、ここで残念なお知らせなのですが、殺戮シーンはほとんど省略されて描かれています。
別に人が死なないとイヤ!殺されないとイヤ!ということではないのですが、死にざまを描かれないまま、そして死体の描写もほとんどないまま、どう殺されたんだかも本当にイメージできないので困ります。
ここらへんで証拠動画が出てきて、ブライアンが人を殺しているところが映っています。「ミッシェルはブライアンに追われて外に逃げたんだ!犯人はブライアンだ!」と決定して盛り上がるのですが、ブライアン本人は雑貨店に立てこもっており、銃をバンバン撃ちまくって人を殺した結果、射殺。
ミッシェルは邸宅の中で生きたまま、無事に見つかります。

しかし、家のなかを調べていたルイス刑事は見つけてしまったのだ。 ジョンの自殺死体を。

そう、本当は悪魔に乗っ取られたジョンが皆を殺しまくり、その罪をブライアンになすりつけたのです(ブライアンになりすまして動画に映り込んだとのこと。何そのトリック)。そして、そのジョンは悪魔に操られて自殺をして、発見されたジョンは悪魔が彼になりすましていた姿だったのであります。
何だこの話!
そして、取り調べを受けていた(悪魔のなりすまし)ジョンは、ルイス刑事とカウンセラーの前であっという間に掻き消えてしまいます。

つまり、悪魔がミッシェルの胎内にいる子どもに入り込み、魔方陣を乗り越えた瞬間に勝利確定!赤ちゃんをのっとったぞ!みたいなマイルールがあるようですね。しらんがなですけど。
そして救急車で運ばれるミッシェルのお腹の中から、小さな手が胎内からスーッとソフトタッチしているのが見えるところで終わります。

何だこの話!(2度目)
つまり、ジョンは最初の惨劇(マーサの起こした事件)の時に悪魔にツバをつけられており、今回の惨劇を起こす起爆剤の役割を果たしたのであろうということ。
そして、ジョンとミッシェルの子どもをもって悪魔は目標を果たしたのであろうということ。
ということは推測できますし、おどおどしていたジョンが実は悪魔の作りだしたまぼろしだった!とか、本当のジョンが自殺するシーンなんかはなかなか怖いような気もします。

しかし、こんなに警察がバカっぽくていいのかな。
あと、POVかと思いきや、そういう怖さの映画ではないのですね。やたらカメラがあるだけで。ちょいちょい映像は挟まるのですが、尺が短すぎて判断がつきかねる。
こういう、女性の胎内に宿って現世に出てきて人間どもを支配してやるわ!という話には飽き気味です。
「ローズマリーの赤ちゃん」を超える気概や工夫、演出、構図、どれでもいいから意欲が見たいぜ。

黒幕がわかるまでのハラハラは心地よいスリルをもたらしてくれるものの、見終わってからの感想はナンダカナーという印象です。
魔方陣と相性がいいのはやっぱり、女子高生だと思うんだよなあ。高校生の話にしてくれればもっとよかったかもしれない。ミッシェルの妊娠もショッキングだけれど必然だったのかも、と思わせられるし、高校生ならオカルト好きでも納得。元カレを挟んでプンプンしたり、やたらとカメラで撮影したがる理由も納得できる気がする。
大人のガチオカルト好きって、どうにもこうにも感情移入できません。